生き残り それを語るメッセージ「ニュー・イースト」
生き残り それを語るメッセージ
「企業は生き続けることに意味がある」。仙台市内などでネットカフェやコーヒーショップのフランチャイズ店を展開する「ニュー・イースト」(仙台市青葉区)の社長・新田秀悦さん(49)は、言葉に力を込める。
▲未来を見据え、「地域のために必ず生き残る」と語る新田さん=仙台市青葉区にあるセガフレード仙台中央通り店
2010年に設立した同社は、柔軟性とスピード感に富んだ事業運営が持ち味だ。まずは同年、フランチャイズ契約でネットカフェ「自遊空間」を一関市にオープンさせた。
翌11年3月の東日本大震災から4カ月後の7月には、アイスクリーム専門店「ゴールデンスプーン」の仙台一番町店を開業。12年にはコーヒーチェーン店「セガフレード・ザネッティ・エスプレッソ」も仙台市中心部に開いた。
スクラップ・アンド・ビルドを行いながら、店舗展開は関東方面にも及ぶ。建装業なども手掛けている。
「事業を多分野に広げれば、ビジネスチャンスも広がる。一つがダメでも他で生き残る。大事なのは絶対に失敗しないこと」と新田さん。経営ノウハウがパッケージされているフランチャイズ契約に力を入れる理由だ。
石巻市出身で、もともとは家業の運送業や建装業に携わっていた。地域経済の一翼を担う中で培った自らの哲学が「生き続けること」だった。
震災で石巻などの知人や友人を何人も失った。自分が生き残った意味は何か。地域での自分の役割は何か-を自問した。
炊き出しなどのボランティアもしたが、経営者だからこそ被災地再生に果たせる役割があると思った。「地域復興のために利潤を生み出し、税金を納め、雇用を生み出す循環を作っていくことが大切」。行き着いた「答え」だった。
震災当時、新田さんは東北ブロック商工会議所青年部会長を務めていた。震災の2週間後、全国の青年部会員2万6000人にメッセージを送った。「自分の会社を成長させ、継続させることが一番の地域貢献」。直面した困難から再生の道を切り開く決意を込めた。
このメッセージには、被災した故郷への思いがあるという。「いずれは石巻にセガフレードを開きたい。地域の人が戻ってくるきっかけになれば」
起業からまだ3年目であり、仙台を拠点に事業を安定させることに今は集中している。新田さんはその先に、故郷を含めた5年後、10年後の再生の未来図をいつも描いている。
笹山 大志(立命館大 2年)
ボハーチ ダービッド(東北大博士課程 2年)
遠藤 有紗(山形大 1年)
佐藤 知佳(東北学院大 3年)
※名前をクリックするとその人の個人原稿が見られます。
この記事を書いた人
- 一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪
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