記者インターン

「Volume1(ver.)」人と音楽の縁結ぶ

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980 views 2019.05.09

2019年2月から3月にかけて、一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!

人と音楽の縁結ぶ

仙台市青葉区立町の改装アパートの3階にある、中古レコード店「Volume1(ver.)」(ヴォリュームワン・ヴァージョン)。一歩入ると、棚いっぱいに並べられた約3000枚のレコードとCD、大きな音量で流れる音楽に迎えられる。ジャズやロック、民族音楽など、扱うジャンルは幅広い。

店主の三浦尉(やすし)さん(48)は、一度聴いて気に入った作品を厳選し、店頭に置いている。「この店が音楽との出会いの場になってほしい」。
好きなバンドや音楽を聴く習慣などの会話を通して、お客さんにぴったりの1枚を見つけ出すこともある。

仙台市出身の三浦さんは、両親の影響で幼い頃からレコードを聴いて育った。専門学校への進学を機に上京し、学校に通いながらバンド活動やレコード屋でアルバイトをした。その後、仙台に戻り、現店舗の前身である「Volume1」に通う中で、店の手伝いをするようになった。

2011年3月、東日本大震災が発生。店の被害は小さく、1か月後に再開できたが、世の中の空気は一変していた。被災地は自粛ムードに覆われ、店頭に置かれたサザンオールスターズの「TSUNAMI」を見て、「不謹慎ではないか」と責めるお客さんもいた。

震災から4年、Volume1は閉店が決まった。仙台のレコード店が相次いで閉店していく中、音楽好きの集う場所が減っていくことに危機感を覚えた。
「自由に音楽を楽しむ場を、仙台に残したい」。三浦さんは店を引き継ぐことを決意し、2016年春に現店舗をオープンした。

店員は三浦さん1人、面積も7分の1に縮小して再出発した。店内の端と端にいても声が届く広さは「音楽談義の場としてちょうどいい」と、三浦さんは微笑む。
以前の常連客も、次々と顔を出してくれた。「昔ながらのレコード店のように、音楽について好きなだけ話せる。良心的な価格設定もありがたい」。多賀城市の渡邉洋さん(65)は週1回、店に通う。

「個性あふれるジャケットを眺めながら、重厚感のある音を楽しめる」。インターネットを通して、誰でも手軽に音楽を購入できる現代。多くの人が“形の無い音楽”に親しむようになった今、改めてレコードの魅力を感じている。

取材後記

coming soon

取材協力

Volume1(ver.)(リンク先はTwitter)

文・写真

河北新報社インターンシップ19期D班 
東京大学2年 足立 愛音さん(2019年3月当時)

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この記事を書いた人

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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪