「Lamp of Hope」希望の灯火きっかけに
2019年2月から3月にかけて、一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!
希望の灯火きっかけに
夕暮れ時、店の前を通る人々はキャンドルの灯りに心を奪われる。足を踏み入れると、壁にはたくさんのキャンドルが並ぶ。花柄やメッセージ入り、香り付き…。
「キャンドルの光や揺れには心を開かせる効果があるんでしょうね。お客さんの中には悩み相談をしていく人もいます」。オーナーの相原真也さん(45)は微笑む。
仙台市青葉区北山にある「Lamp of Hope(ランプオブホープ)」は、制作・販売を通じてキャンドルの魅力を伝えている。最近ではSNSから人気が広まり、隣県から足を運ぶ人も多い。
東日本大震災の時、相原さんは仙台市内で被災。食料調達が困難で電気も無い生活の中では、自分が生きることに精一杯だった。
それでも、あの混乱の中で、他人に手を差し伸べる人はいた。
「自分に何かできることはないか」。模索する中、相原さんは当時の同僚と共に、キャンドルに着眼。雑貨として捉えられていたキャンドルは、停電時、明かりとして役立った。炎の揺らめきには、人々を癒す効果もある。
相原さんは、各地でキャンドルの販売や灯し方を説明しながら、魅力を広めていった。「どこで手に入れられるの?」と聞かれることも多くなり、2012年9月、店をオープン。店名には「キャンドルの灯火で誰かが希望を抱いてくれたら」という願いを込めた。
1本のキャンドルが、暗闇を照らす明かりとなり、どれだけ明日への希望となるか─。相原さんは震災から時間が経つにつれ、人々があの時の教訓を忘れていくように感じた。2012年からはイベントを通じ、足元を見つめ直すメッセージを発信し続ける。
近年は、チャリティーライブやフードの出展も始め、より多くの人に気軽に参加してもらえるように工夫している。「キャンドルを『綺麗』と思うところからでもいい。震災のことを考え、防災に繋げるきっかけにしてほしい」。
キャンドルを介した発信を始めて、今年で丸7年。相原さんは、これからもキャンドルの魅力を伝え、人々の心に灯りを灯し続ける。
取材後記
「Lamp of Hope」は、私の所属したC班が候補に挙げた取材先の中で、全員一致で第1希望の企業でした。そのため取材を依頼し、相原さんが快諾してくださったときはみんなで喜び、胸を撫で下ろしたのを覚えています。中でも一番印象的だったのは、実際にワークショップを体験させていただいたことです。
もちろん「取材の一環として」ということは忘れずに臨みましたが、1人のお客さんとして取り組んだことで、キャンドルの魅力を身をもって知ることができました。原稿を執筆する上でも、ワークショップの経験があるのとないのでは、記事のクオリティや自分たちの満足度は全く違っていたと思います。
また、ワークショップを通して私たちと相原さんとの距離が、より近くなったと感じました。キャンドルを作りながら、お互いの趣味や大学での出来事などさまざまな話をするうちに、“取材”という壁がなくなり、メンバーそれぞれが1人の人間として相原さんと関わることができたと思います。
この取材を通して、「取材というのは、人と人との繋がりで成り立つ」と強く感じました。インターンシップ期間が終わった後にもその繋がりを続けて、Lamp of Hope が主催しているイベントに足を運んだり、友人や家族にキャンドルの魅力やお店のことを教えたりと、繋がりを周りにも広げていきたいと思っています。
改めて、取材先が Lamp of Hope でよかったと感じています。メンバー同士でも「ここで取材できてよかったね!」とよく話していました。この場を借りて、Lamp of Hope、相原さんに感謝申し上げます。相原さんとの繋がりを大切にしながら、この取材で学んだことを就職活動やこれからの人生に生かしていきたいと思います。
取材協力
文・写真
河北新報社インターンシップ19期C班
福島大学3年 佐々木 春奈(2019年3月当時)
この記事を書いた人
- 一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪
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