学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

縁の下の力持ち!仙台の麺処を支える「千鳥屋製麺所」

小保内真知 小保内真知
9,186 views 2014.12.15
小保内真知 小保内真知 東北福祉大2年(執筆当時)
「うんめ〜!!!!」
部屋中に歓声が響き渡ります。取材を終えた私は家に帰って早速、お土産にいただいたラーメンを調理して、同居する兄と一緒に食べました。小麦粉の柔らかな風味。コシがあり、それでいてのどごしが良く、麺に味噌スープがよく絡む。いやあ、家で作るラーメンってこんなにおいしいものなのか。

今回が初めての取材となる私はドキドキする胸を押さえながら、絶品の麺を作っている仙台の製麺メーカー、「千鳥屋製麺所」においしさの秘密を聞いてきました!

千鳥屋製麺所って、こんな会社!

国道45線、名取の方向へ車を走らせていると突如、「ちどりや」と書かれた白い巨大なサイロが!

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煙突からは白い煙がもくもくと立ち上っています。千鳥屋製麺所は今年で63年を迎える伝統ある製麺メーカーです。中華麺をはじめ、うどん、そば、焼きそば、冷麺の麺類と、餃子や焼売(シュウマイ)の皮を取り扱っています。飲食店に卸す業務用と、スーパーなどで販売する量販用の麺を製造。販売エリアは宮城県をはじめ、北海道から九州まで広範囲に及びます。

商品の主な原料となる小麦粉は「ちどりや」の文字が書かれたサイロに貯蔵されます。同社には30トン貯蔵のサイロが2基あり、なんと、1日に10トンもの小麦粉が使われるそうです。

仙台の企業魅力3つ

理想の麺を形にします!営業マンの尽力

「ラーメン屋さんのご主人に会うことが一番の楽しみです」
営業部の伊藤俊輝さんは、顔をほころばせながら話します。東北福祉大学出身で入社2年目。私の先輩です!

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「もっと太い麺を」「もっと、もちもちした食感が欲しい」など、それぞれのラーメン店が求める麺は様々。伊藤さんは店主の「もっと」に耳を傾け、その「もっと」を追い求め、麺やスープを提案します。オリジナルの麺が完成するまでには早くても1ヶ月、長くて5ヶ月もの期間を必要とするそうです。

「地道に通い続けることがお客さまとの信頼関係につながるんです」

どんな質問にも笑顔を絶やさず熱心に受け答えしてくれる伊藤さん。お客さんの一言一言を大切にし、ひたむきに向き合っている姿が想像できました。

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営業部の仕事の中には、ブログによる広報活動もあります。
1ヶ月に10軒以上ものラーメン店を巡るそう。おかげで入社前と比べて体重は10kgも増えたそうです。努力の結晶ですね!

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「ブログ更新の利点は2つあります」と伊藤さんは言います。

1つ目は千鳥屋製麺所の宣伝ができること。ブログに掲載するお店は取引先が多いので、おいしそうなラーメンと合わせて千鳥屋製麺所の麺をアピールすることができます。

2つ目はラーメン店と情報共有ができること。ラーメン店の店主との会話からどんなラーメンが流行っているのか、お客さんの年代やラーメンの好みなど様々な情報を得ることができ、それを麺作り、スープ作りに生かしていくことができます。

工場見学をさせてもらいました!

おいしい麺が作られる現場を特別に見せてもらいました。案内してくださったのは工場長の音羽光浩さんです。

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【中華麺の製造工程】
小麦粉やかん水などの原料をミキサーにかけ、練り上げます。
音羽さんは、かん水を「魔法の水」と呼びます。魔法の水は炭酸ナトリウムが主成分となっていて、麺のコシや縮れ具合、中華麺の黄色の色合いを調整することができるそうです。

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練り上げた原料はロールを通して、2本の麺帯(めんたい)を作ります。

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麺帯を2枚重ね、ローラーにかけて1枚に。重ねることで、「コシの強い麺」になるそうです。

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麺帯をローラーに巻いた後、いよいよ麺を切る作業に入ります。ここで発見!!
このように、麺の出口にゴムがついていると…

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縮れた麺が出てきた!
ゴムに触れることで縮れ麺になるそうです。
ゴムが付いていない場合は、ストレート麺になります。

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この後、1玉ずつまとめられた麺が次々と袋詰めされます。

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音羽さんが30年間仕事を続けてきて、お客さんから言われて一番うれしかった言葉は「いつも同じ麺をありがとう」

「麺は生き物。昨日の麺、今日の麺、明日の麺はどれもまったく違うんです。一番いい状態でお客様に提供できるように計算をし尽くした上で麺を届けることを心がけています」

実は麺作りとは、とても繊細な仕事なのです。

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消費者の安心・安全を守る

女子更衣室の入り口の壁にずらりと並んでいるブラシを発見!

なぜこんなにたくさんのブラシがあるの? 休憩中の女性社員に尋ねると、髪の毛のブラッシングを含め、5つの段階を踏まなければ製造工場には入れないそうです。

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①髪をとかして毛をすべて落とす(男性も同様)

②全身を覆う作業着に着替え、髪の毛をすべて帽子の中に入れる

③粘着ローラーで服に付いたホコリを取る

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④手洗い

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手洗いのコツは石鹸をよく泡立てること。きめ細かい泡は効率よく汚れや菌を包み込みます。
また、石鹸が泡立たない人は手が汚い証拠です。
私の手は泡立ちがとても悪く、音羽さんに笑われてしまいました!恥ずかしい!

⑤エアシャワー

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すべての段階を経て、ようやく工場に入ることができます。食品を扱う会社として、衛生管理に抜かりはありません。

品質管理部のお仕事

商品の品質を守るためには地道な「商品管理」があります。
品質管理部では商品の調査だけではなく、特定の場所に貯められている市水、上水から直接供給される原水の調査、工場ラインの調査も行います。

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同部の佐々木瞳さんは「作業が細かく、プレッシャーのかかる仕事ですが、自分の仕事がお客様の安心、安全につながるのでやりがいのある仕事です」と話します。なんと佐々木さんも東北福祉大学出身。先輩方から貴重なお話を聞くことができました。

「どこに原因があるか分からないので」(佐々木さん)。主に水分、PH、微生物の基準値を満たしているか検査をします。

大量のシャーレが机に並びます。まるで理科の実験室のようでした。

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笑顔とあいさつが絶えない会社

会社の「明るさ」を大切にする社長の伊藤徳義さんは1年に2回、社長自らが全従業員100名の面接を行い、社員の近況や悩みを聞くことを実践しています。「直接顔を見て話さないと分からないこともあるでしょ」。今回の取材にゴーサインを出してくれた総務部長の玉田健一さんは話します。玉田さんをはじめ、どうしてこの会社で働く人たちは、きちんと挨拶をしてくれたり、笑顔が絶えないのだろう? 取材を始めてからずっと気になっていた疑問が解けたような気がしました。社員1人1人への心配りが会社の和やかな雰囲気を作っているのではないかと思いました。

社員食堂は、自分で作る!?

誰もが待ち遠しい食事の時間。千鳥屋製麺所には「自分で作る社員食堂」が存在します。工場で作られた中華麺、うどん、そばを社員が自分で調理し、食べることができる食堂です。いくら食べても無料!中には一度に4玉食べる強者もいるそうです。

日ごろ自社製品の味を確認できるだけでなく、「たとえ小遣いが不足したとしても、会社に来ればいつでも食事だけはできるようにしたくてね」と玉田さんはにっこり。

最近では火曜と金曜にはご飯が出るので、のりたま、ゆかりなどの各種ふりかけ、カレーが用意されるようになり、社員に大好評です。ちなみに、箸はエコのためマイ箸を持参。地球にもお財布にも優しい、千鳥屋製麺所ならではの温かい食堂です。

伝統ある製麺所の技術と思いをつなぐ

千鳥屋製麺所は今年の4月、M&Aによってシマダヤ株式会社のグループ企業となりました。来年4月にかけて少しずつ商品の見直しを行うそうです。
環境が大きく変化しようとしている今、将来について伺ったところ、「ちどりやブランドを1つでも残したい」と玉田さんは真剣な眼差しで話してくれました。

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60年間受け継がれてきた千鳥屋製麺所の技術、そして、玉田さんをはじめ社員みんなの思いはこの先も受け継がれていくのではないでしょうか。

普段、何気なくスーパーで手にしていた麺やラーメン屋さんで食べていた麺ができるまでに、こんなにも多くの過程があり、こんなにも多くの人々の思いが詰まっていることを想像もしていませんでした。しかし、今回の取材を通して1玉1玉の麺にはたくさんの人々の真心が込められていることを身にしみて感じました。これからラーメンを食べるときにはその気持ちを感じながら、2倍、3倍、いや100倍美味しいラーメンを食べることができそうです。

小保内真知小保内真知東北福祉大2年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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株式会社 千鳥屋製麺所
http://www.chidori-ya....
従業員数100名
資本金4,600万円
住所仙台市宮城野区福室字境四番65番地の1
電話番号022-258-8221