学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

10万冊から1冊との出会いを「萬葉堂書店」

斎田涼裕 斎田涼裕
325 views 2018.07.26
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斎田涼裕 斎田涼裕 東北大学
とある休日、商店街を1人歩いていてふと目をやると、店先に懐かしい雑誌や小難しそうな全集が…。ちょっと気になり、そのまま開け放たれた店の中へ。僕は昔から本が好きなこともあり、新刊・古本問わずよく書店に行きます。
仙台にもいくつか古本屋があると知り調べてみると、1店舗で10万冊もの本がある店を発見しました!どんな古本屋なのか、取材に行ってきました!

萬葉堂書店ってこんな会社

JR長町駅からバスで20分ほど走ると、にぎやかな市街地から打って変わり、閑静な住宅地へ。バス停「鈎取(かぎとり)」で降りると、目の前に萬葉堂書店はあります。
創業から20年近くになり、社長の松﨑のり子さん(65)をはじめ、現在9人の従業員で切り盛りしています。

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古本屋の仕事は主に、買い付け→値付け→品出しの3つの仕事から成り、力仕事が多いといいます。店の営業と並行してこの3つの仕事をしており、常に店内の本が新陳代謝を繰り返しています。

仙台の企業魅力

個人からの買い付けで本を生かす

古本屋の仕事は、まずは本の買い付けから。業者間の取引やインターネットでの買い付けもあるそうですが、萬葉堂書店では100%個人から買い付けています。お客さんが店に直接、本を持ち込むこともありますが、宮城県内や山形・福島まで月に何度も車を出して、一度に数千冊もの本を引き取りに行きます。4日連続で同じお宅に本を引き取りに出かけたこともあるそう。

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お客さんが本を売る理由としては、家や書庫の整理、遺品整理などさまざま。「私たちが引き取らなければ、その本が死んでしまう」と松﨑さん。どんな本であろうとなるべく引き取り、持ち帰ってから店舗で販売する本と処分する本を決めます。本を処分することも、古本屋の大切な仕事の1つです。

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本を手に取って見てもらうための店舗づくり

「10万冊もの本を取り扱うのは、ひとえにたくさんの本の中から選んでいただきたいという思いです」。松﨑さんは、結婚を機に夫が経営していた古本屋の仕事に携わり始めました。仙台市内で何度か移転し、20年前に現在の鈎取で店を開きました。その決め手は、土地の広さ。市中心部では、本を置くのに十分な広さを確保するのが難しかったためです。

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ネットショッピングの台頭で、本を店頭で見て買うことが少なくなっている現代ですが、「内容は知っていても、実際に本を開いてみることで、違う印象を持つ」と松﨑さん。「本棚でふと目についた本を取り、ページをめくることで思わぬ出会いがあり、興味が広がっていく感覚。そういった体験を大切にしてほしい」。

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▲記者も気になる本を見つけました

その一冊を手元に届ける喜び

外観では平屋建てに見えますが、実は1階と同じ広さの地下室があり、日本文学や海外文学から理工系の専門書、さらには美術全集など、ありとあらゆる分野の本がびっしりと並んでいます。

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▲1階の階段を下りていくと…

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▲鉄骨むき出しの広い地下室が出現!

お客さんの中には、探したい本を念頭に毎週訪れる常連や、ある1冊の本を20年~30年も探し続けている人もいるといいます。探し求めている“その1冊”を届けられるよう、従業員もお客さんにも探しやすい陳列を心がけています。
お客さんが探していた本を実際に見つけられたときが、一番やりがいを感じる瞬間です。口では言わなくても、会計をしに来たときに、本の持ち方や雰囲気で、その本に対する思いが分かるといいます。

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ふと立ち寄ってみよう、そんな気持ちで気軽に誰でも入ることができる、そして思わぬ出会い・新たな刺激を得られる場所。僕自身の古本屋のイメージです。萬葉堂書店は、そんな古本屋の醍醐味をお客さんに味わってもらうため、10万冊という冊数をはじめとする工夫をしていました。
「適切な値段でお客さんに本との出会いを楽しんでもらいたい」という、お客さんと本への深い思いをベースとした商売魂というよりは“商売観”が印象的でした。仕事を生きがいにする人の信念を教えてもらえたような、1時間の取材でした。

斎田涼裕斎田涼裕東北大学
文章:斎田 涼裕(東北大学4年)
写真:古舘 凛子(東北大学3年)
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萬葉堂書店
http://www.geocities.j...

この記事を書いた人

斎田涼裕
斎田涼裕
東北大学
「さいたあつひろ」と読みます。栃木県のとある田舎町出身。
バリバリの理系で、現在は研究室で実験の日々。
研究室の外の世界を見るべく、色んな企業を見て回りたいです。