豊かな人間性を育むダイバーシティ教育で、地域社会の再興を
横田智史さん ペンギンインターナショナルスクール
名取市にある「ペンギンインターナショナルスクール」では、英語はもちろんのこと、“コミュニケーション”に重点を置いて独自の教育を行っています。代表取締役の横田智史さん(39)に、事業内容や想いについてお話を聞いてきました!
特色あるインターナショナルスクール
杜せきのした駅から歩いて10分ほど、ショッピングモールにほど近い住宅地の脇に台形の建物が見えてきます。
中に入ると、子どもたちが「ハーイ」と元気に出迎えてくれます。
ペンギンインターナショナルスクールは創立3年で、現在55人の園児が名取市周辺や遠くは福島県からも通っています。保育士は14名いて、帰国子女や外国人、留学経験のある人など、出身地や経歴はさまざまです。
「英語のシャワーを浴びせたい」横田さんは、会話を中心にいろいろな人たちとコミュニケーションを取ることができるようにカリキュラムを作っています。
1つ目は「異年齢教育」です。一般的な保育園では年齢でクラス分けをしていますが、ここでは年の違う園児同士でクラスを作り、一緒に遊んだり食事をしたりしています。「一人っ子が多い時代、年の違う園児同士がきょうだいのように関わり合ってほしい」という横田さんの思いからです。実際、けんかの時には年上の子が仲裁したり、年上の子から年下の子に教えたりすることも多いと言います。
2つ目は「保育園外の人たちとの交流」です。高校生のボランティアや大学生のインターンシップなどを受け入れて、一緒に遊んだり英語で会話をしてもらったりしています。地域のお年寄りとの交流も多く、外の散歩中に出会った人と話したり、園内に来てもらって一緒に過ごしたりもします。
「閉鎖的なイメージがある保育園だけど、うちでは園内の人の出入りを活発にして、ななめの関係づくりを大切にしている」と横田さん。これらの教育法を「ダイバーシティ教育」と呼んでいます。英語はもちろん日本語でもコミュニケーションを取れること、人との関わりを重視していることが、他のインターナショナルスクールとの違いです。
教員・塾長を通してたどり着いた幼児教育
横田さんは、中学校の恩師に感銘を受けて、高校時代から教員になることが夢でした。大学の体育学部を卒業し、22歳で教員になりました。その頃の夢は、自身がサッカー部だったこともあり「サッカー部の顧問になって、部員を全国大会に連れていくこと」でした。
しかし、最初の赴任先は、特別支援学校でした。「自閉症などの子どもたちに接する中で、自分の中での教育の幅が広がった」。
自分のやりたい教育を求めて、25歳で福島県内の学習塾へと転職。大学生のアルバイトと一緒に、塾長として勉強を教えていました。学生たちが教える様子を見ている中で、横田さんはあることに気づきました。
「学生たちは、勉強は教えられているが、コミュニケーションはあまり取れていない。子どもたちは、勉強の楽しさを知らずに、勉強している」。
危機感を持った横田さんは、どうしたら子どもたちに勉強の楽しさを伝えられるかを考え、「勉強を始める前に楽しさを知らなければ、意味がない」と“幼児教育”に注目しました。
ちょうど保育園事業を始めていた、学習塾の前塾長から声をかけられ、27歳で保育園の園長に。幼児教育に携わる中で「英語教育も取り入れられないか」と考え、現在のダイバーシティ教育の原型を考案しました。
ダイバーシティ教育をさらなる世代へ
ペンギンインターナショナルスクールの「ペンギン」は、「共働き・共育て・コミュニティ内での助け合い」という皇帝ペンギンの特徴から取っています。
「子どもたちには、答えは1つじゃない、自分以外はみんな違うといった、多様な観点から物事を見ることを学んでほしい」。横田さんの一番の思いです。
ダイバーシティ教育をより多くの子どもたちに伝えるため、横田さんにはビジョンがあります。
今年4月には、名取市美田園に1~2歳児のための「ペンギンナーサリースクール」が開園します。さらに、3年以内に「ペンギンインターナショナルエレメンタリースクール(小学部)」を設立し、ゆくゆくは岩手・宮城・福島の被災3県の待機児童の解消を目指して「保育園の増設」を目標としています。
ダイバーシティ教育は今、全国の保育園から注目されていて、横田さんはコンサルタントとしても全国を駆け回っています。「ダイバーシティ教育を多世代に伝え、地域社会の復活を目指したい」と意気込んでいました。
今、夢と掲げても、突然違うことになることもある。今は夢がなくても、これから夢ができることだってある。だから“今やりたいこと”と“やるべきこと”のどっちもやろう。人は、やりたいこととやるべきことが両方あるとき、ついついやるべきことを優先してしまいがち。プラン漬けになるのではなく、思い立ったらまずチャレンジしてみよう。
この記事を書いた人
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「さいたあつひろ」と読みます。栃木県のとある田舎町出身。
バリバリの理系で、現在は研究室で実験の日々。
研究室の外の世界を見るべく、色んな企業を見て回りたいです。
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