記者(個人)

東北を救う金儲け

笹山大志 笹山大志
381 views 2014.02.01

「成功することよりも、失敗しない事業に取り組みたい。企業は生き続けることこそ価値がある」。新田秀悦さん(49)が代表取締役を務める株式会社ニュー・イーストは「走りながら考える」柔軟性とスピード感が持ち味だ。

▲「地域への思い」を語る新田社長=仙台市青葉区にあるセガフレード仙台中央通り店

同社は2010年設立。フランチャイズ契約で同年、ネットカフェ「自遊空間」を一関市にオープンさせたほか、東日本大震災後にはアイスクリーム専門店「ゴールデンスプーン」を3店出店した。12年からはコーヒーチェーン店「セガフレード・ザネッティ・エスプレッソ」も仙台中心部にオープンした。

フランチャイズ契約で出店する理由がある。「フランチャイズは、経営ノウハウがパッケージされており、人の能力が損益に左右されないメリットがある」。これも生き残りの処世術と言えるだろう。

生き残りへのこだわりに地域への特別な思いがある。震災で多くの友人がなくなり、自分が生き残った意味を考えた。自分に出来ることは何なのか。炊き出しボランティアを行いながら、自分の役割を模索した。

「自分の役割は一企業の社長として、利潤を生み出し、税金を納め、雇用を作ることではないか」

この思いを震災直後全国の日本商工会議所青年部の2万6000人の会員にメッセージを送った。「自分の会社を成長させ、継続させることが一番の地域貢献だ。私たちが、活気ある街、活気ある地方、活気ある日本を創るチャンスを握っているのだと思いましょう」

その初志を貫徹するために、まずは事業を安定させることに集中し、企業として生き続けなければならない。企業としても人間としても大きくなって地元を担えるように。新田さんは5年後、10年後を見据えている。

新田さんは震災で過疎化が進んだ故郷への思いも語る。「いずれは私の故郷、石巻にもセガフレードを開きたい。地域の人が集まるきっかけになれば」

next_action

この記事を書いた人

笹山大志
笹山大志