地域に生かされ、生き続ける企業
「企業は生き続けることが、大事」。大きな成功をしてすぐに消えてしまう企業より、地道に何年も続いていく企業に価値があるのではないか、と語るのはニュー・イーストの新田秀悦代表取締役(49)だ。
ニュー・イーストは建設業やネットカフェ、などジャンルを超えた事業展開をしている。の中でも看板事業になっているのはイタリアに本社を置く飲食店「セガフレード・ザネッティ・エスプレッソ」である。去年の4月、東北での第1号店を仙台市青葉区一番町にオープンさせた。
若い女性から、外国人観光客まで幅広い層で賑わうセガフレード。本格的なエスプレッソが味わえる。
企業には企業のやるべきことがある。新田さんは利益を生みだすことで、税金やサービスを通じて地域に貢献できると考えている。
東日本大震災を経験し、生き残った自分たちが企業としてやるべきことはなんなのか考えた。一関市にあるネットカフェの「自遊空間」は建物に被害を受けた。変わりはてた姿を見た時、再開は無理だと考えた。呆然とするなか、そばにいた店長がひとりごとのように呟いた。「4624人の会員はどうするんですか」。この言葉で新田さんは決意する。4000人以上いる会員のうちの一人でも、また来たいと思ってくれる人がいるならば、やるしかないと考えた。事業の一つである内装業を活かして3カ月後のリニューアルオープンに漕ぎつけた。
事業のスピードを大切にし、地域貢献することが目標になった。「笑顔と笑い声」、そして「仕事」を生み出すことが、地域に生かされている企業としての義務だと気づいた。
いずれは地元の石巻市にも、セガフレード・ザネッティ・エスプレッソをオープンさせたいと考えている。「地域に人が集まるきっかけになってくれれば」と新田さんは前向きだ。人が集まれば、地域への投資も増える。投資が増えると地域の魅力も高まる。自分たちの利益が地域の利益と繋がっていく。
「成功することより、失敗しないことに取り組みたい」。消極的なのではない。今は事業を安定させ、企業として生き続けることに集中する。
企業としても人間としても大きくなって地元を担うため。新田さんは5年後、10年後を見据えている。
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- 山形大学人文学部法経政策学科
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