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【記者インターンシップ】学生たちが体当たりで取材した仙台の中小企業「奥江呉服店」

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202 views 2014.02.27
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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。3月5日から春の回が始まるのを前に、昨年8月と10月に参加した学生たちが仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪

着物でつながる、世代を超えた思い

母との思い出が詰まった着物の無残な姿に、言葉を失った。東日本大震災からひと月余りたった2011年4月中旬。仙台市若林区荒浜の南部くに子さん(72)は、津波で3キロ流された自宅から、泥とカビにまみれた薄紫の着物が見つかったことを、娘からの電話で知った。

震災前に、孫娘に成人式の振袖をあしらってくれた呉服店の名が浮かんだ。若林区荒町の奥江呉服店。27点の着物や小物が、「着物が好きだから、元に戻したい」という南部さんの思いと一緒に託された。

奥江呉服店は1921年創業。若女将の佐藤東代さん(45)によると、荒浜地区には同店の常連客が多い。震災直後には、津波をかぶった着物や小物ざっと400点が同店に持ち込まれた。

洗いや加工は、それぞれの専門業者に依頼する。繊維が縮んだり、溶けたりした着物は直せないが、わずかでも修復の可能性があれば、全国各地に電話をかけ続けた。

「復元を頼んだ取引先も、うちと何度も連絡を取り合いながら苦労してくれました」。佐藤さんは振り返る。

▲奥江呉服店若女将の佐藤東代さん=仙台市若林区荒町

辛かったのは、修復不能な着物の処分。「着物は何世代も受け継がれるものだし、宝物なんです。それなのに捨てなければいけないのは、心苦しかったですね」

薄紫の着物は、幼かった南部さんが蚕から絹糸を紡ぎ、母親が糸を染めて作った母子の共同作品。南部さんは現在、若林区の七郷中央公園仮設住宅で暮らす。居室が2部屋しかなく、収納も狭い。まだ薄紫の着物は手元に戻っていないが、修復の工程を聞いた南部さんは「あんなに一生懸命直してもらってねえ、奥江呉服店さんには本当に感謝しています」と話す。

「着物には、世代を超えて家族のつながりを感じさせてくれる力がある。呉服店は、できることをしているだけ」と佐藤さん。「だって、私達は90年間お世話になっているんです」と、老舗の誇りを少しだけのぞかせた。

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