【動画】新しい農業を作り出す舞台!株式会社舞台ファーム
仙台から新しい農業を
最近、メディアで聞くことも増えてきた「6次産業化」という言葉。
「聞いたことはあるけど、どんなものかは分からない」
そんな方が多いのかもしれません。
今日ご紹介するのは、仙台市若林区から、世界と戦える「新しい農業」を作っているアツい方のお話です。
インタビュー動画を作成いたしましたのでぜひご覧ください!
こちらの記事では、動画インタビュー内容に加えて、動画に収まりきらなかったさらに詳しいお話を収録しています。
新しく農業をはじめたい方には必見の内容になっておりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
挑戦する舞台を作る!「舞台ファーム」針生社長
金森
本日は、舞台ファームの針生社長にお話をお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
※いぐするクリエイティブ班インターン生。秋田出身。生粋の祭りっ子。
針生社長
こちらこそ。※株式会社舞台ファーム代表取締役。「うちは農業界の鹿島建設になる」と豪語する。
金森:「舞台ファーム」という名前がとっても印象的だなと思ったんですけれども、名前の由来を教えていただけますか?
針生社長:仙台市の若林区に15代続いている我が家の屋号なんですね。15代ですから300年くらいは古い家ということになるのですけども。屋敷の中に西と北の方に杉の木がずぅっと並んでいて、岩手県と宮城県には「いぐね」というものがありましてですね、そのいぐねの西と北の角に屋敷を守る神様がひとつと、またうちの屋敷の横にですね、地域を守る護国豊穣の神様があったんですね。
※いぐね……仙台平野に伝統的に存在する、屋敷の周囲に設置する林群。主に防風や防雪のため植えられる。
針生社長:田植えや稲刈りの時に、「神様なんとか今年も豊作に」であるとか、秋になると「このような実りをいただいて本当に有難うございます」ということで、仮設の舞台を組んで、奉納神楽をやりまして、そこで小作の方とか、地域の方が集まってですね、代々神様に感謝をしていたと。その仮設の舞台があった家なので、屋号が舞台と言われていたんですね。ですから僕が小学校の頃には「仙台市舞台」って書くとですね、郵便物が届くくらい、屋号でよく名前を呼ばれていました。
針生社長:私が会社を興す時にですね、「舞台」というのはステージでありますし、壇上でもありますから、これから新しい21世紀の農業をやるのに、絶対舞台の上に跳ね上がって、そこで活躍をするという強い思いがあること。
また、全国の農業の仲間が活躍する舞台を我々がつくることで、そこから仲間たちが大きく飛躍できる可能性がありますので、これは「舞台」という屋号と「農場」を足して、
舞台農場。ちょっとカッコつけて「ファーム」という名前にしようということで「舞台ファーム」と名づけました。
金森:昔からの由緒正しい屋号と、社長自身の思いが込められているんですね。
針生社長:そうですね。
「6次産業化」って何?
金森:舞台ファームさんは「農業の6次産業化」を行っていらっしゃるということなんですけれども、大学生にとって「6次産業」って言葉自体があんまり分からないとか、聞いたことがないという人も多いと思うので、「6次産業化」について教えていただけますか?
針生社長:分かりました。「6次産業」というのは、元々農林水産省が作った言葉なんですね。その前は経済産業省で「農商工連携」という言葉があり、「農商工連携」と「6次産業」というのは基本的に同じような概念で考えましょうということだったんですけれども、どちらの言葉がより強く生き残ったかと言いますと「6次産業」という言葉の方がいろいろなマスコミに今出ているというのがひとつあります。
針生社長:6次産業には、1次産業の、我々のような農業・水産業・林業といった方と、TOYOTAさんのような製造業とか、食品加工業の方々のような2次産業、そしてみなさんどこかでは買い物をされていますから、出口というのは商業やサービスベースの3次産業ということになる。
足しても掛けても「1」「2」「3」は6になるということで、俗に言う「一気通貫」。全ての工程を一つの土台の上に乗せましょうというのが、6次産業の根底にある考え方ですね。
針生社長:また、経済産業省の「農商工連携」という考え方も、今改めてリパックされ、大きなビジネスモデルは「農商工連携」という概念で考えた方が分かりやすいのではないかというふうに変わってきています。
今仙台の農業者の中では、総売り上げが1000万円を超える農家が数パーセントしかいないんですが、1億とか10億というビジネスになってきますと、「6次産業で売り上げを作る」というより、大きな産業形態が連結連合していくことになるので、これは「農商工連携型」と表現した方が分かりやすいのではないかということですね。
針生社長:逆に「道の駅」で売るまんじゅうやおにぎりなど、なんとなく「家庭の味」と思えるようなものを最終商品としてお店に並べる場合には「6次産業」と言った方がいいよねと、大きく分けると、このような分け方になっているのかなと思います。
金森:そうしますと食品を作って加工して売るまでのその過程を、全部連携させてひとまとめにするのが6次産業、ということですか?
針生社長:そうですね。
歴史をふまえて土地と生きる農業
金森:舞台ファームさんでは、6次産業化に向けてどういうことを行ってらっしゃるんですか?
針生社長:まず舞台ファームでは、お米と野菜というカテゴリをやってるということです。農業というのは家畜とか水産業とか。例えば家畜と言っても豚がいたり牛がいたり鶏がいたり、いろいろなものがいるわけですね。他には果樹。モモを作ってる人もいたり、ブドウを作ってる人もいる。どれも一言で言うと農業なんですが、農業の中でも大変多く分かれているわけです。そういった特性をうまく生かしながら、いろいろやっていくためには、今までの背景や歴史というものを調べた上で取り組んでいかなくてはいけないということがまずひとつあります。
針生社長:そういったことを考えて、我々が若林区という地域の中で15代続いてきた歴史をふまえると、お米と野菜というところが1番メジャーであるし、(若林区の中では)非常に多くの農業者の方がお作りになってる。ここに突然果樹を持って来たり、突然家畜を持ってくるとですね、過去の歴史の流れから見ても地域性から見てもうまくはいかない。儲かれば何をやってもいいんだということではなくて、しっかりとエリアごとに伝統文化があるということや、農業の生い立ちを見たうえで「我々は何をやろうか」と考えると、お米と野菜の6次産業化をしっかり行っていこう、ということになるんですね。
針生社長:我々舞台ファームがやっている最も特徴的なことは、東北にはセブンイレブンというコンビニが1050店舗以上ありますけれども、そこにキャベツの千切りとか生食のコールスロー、そういうものが100円から138円くらいの値段帯で、東北にある全てのセブンイレブンに入っているんですね。その裏を見ると全部「舞台ファーム」と書かれています。それを24時間体制でしっかり作って、大手のスーパーとか地元スーパーにも、野菜の生食をどんどん供給している。
あとは今ご承知いただいている、生活応援のアイリスオーヤマと我々舞台ファームが共同会社を作って、「お米事業」にも大きく踏み出しております。
この2つの、「コネクターハブ」と呼ばれている巨大な出口に、我々が供給しているという仕組みなんですね。
※コネクターハブ…ビジネス用語。中小を束ねて大手企業との懸け橋となる中核企業。
アイリスオーヤマと共同のお米事業
金森:ここに今お米があるんですが、こちらはその舞台ファームさんとアイリスオーヤマさんで共同で作られた商品ですか?
針生社長:そうですね。ぱっと見た時に、今までのお米の袋というのは平べったくて、2キロ入りとか5キロ入りのものが多かったと思うんですが、これは立体的ですよね。正方形に近いような。
金森:そうですね。
針生社長:この中に、小パック化した「アイリス新鮮パック」というものがあるのですが、実はこれは、今までの日本の販売形態では初めての仕組みを作ったんですね。
この中には脱酸素剤というものが入っておりまして、お菓子とかに湿気が入らないように吸湿して空気をぐーっと吸い込んでるんです。ですからこのパックの中では真空に近い状態になっていて、精米をしたまんまの風味を閉じ込めている。
針生社長:大人数で食べるとご飯ってすぐなくなっちゃいますけど、1人暮らしの方に「毎日食べろ」と言っても、そうそう食べられなかったり、うどんやパンも食べますから。そうすると丁度このぐらいの量を3日くらいで食べ終わるんですね。3日ごとに新鮮な、精米したてのご飯を食べられるということになりますと、「今までのご飯と味が全然違う」と思えるわけです。
改めて「おいしさ」について考え、みなさんが食べているご飯をもっとおいしくできないかということで、パックをすることによって、鮮度を維持しようと。工業界の考え方を農業界の商品に落とし込んでいる初めての事例なんですね。
若者が農業に挑戦できる仕組み
金森:そうなんですね! 舞台ファームさんでは、若者がこれから農業に携わっていくことに関して、他社とは違うことを実施されているということをお聞きしたので、そのことについて教えていただけますか?
針生社長:農業には興味あったけど大変なんだよねということで、農業をあきらめざるを得ないということは、どの農業会社にも多くあった事例だと思うんですね。我々舞台ファームは、大きな転換を迎えた際に考え出したのが、農業で「ダブルワーク」をできるようにしましょうという考えです。
針生社長:基本的に今の日本の社会システムというのは、俗に言う正規雇用、正社員でないと、若者に年金を掛けたり、保険を掛けるという仕組みがないんですね。非正規雇用ということになると、もしかして国民健康保険を掛けているか、下手すれば掛けていないという人がたくさんいると。また、一生涯の収入を見ますと、正社員は2億2~3000万の獲得金があるのですが、非正規社員の場合は、1億円くらい少ない。そうしますと、保険もかけてもらえない、収入も低い、そして農業で頑張れと言われただけで「え?大丈夫なの?」ということになってしまいますので、我々は大学や様々なところで、新しい提案を始めております。
針生社長:これは1日6時間以内で働いて、週休2日にして、なおかつ、保険、年金は舞台ファームが掛けるという仕組みです。農業という分野を勉強したい、もしくは農業を勉強しながらいろんな資格を取りたい、もしくはプロスポーツを目指したい、といったあらゆる可能性を追っかけながら、まずは舞台ファームに就職することによって働く場を得られる。1日4~6時間働いてもらう以外の時間は、自分のキャリアアップのためにどんどん別な仕事や学習、スポーツをやってもらいたいと思っています。
月給で言いますと15万円以下くらいで、社会保障・年金は舞台ファームがしっかりかけて、週休2日と1日6時間以下の労働を保証します。
舞台ファームで月の半分働くことによって、しっかり食べていける。どこかでアパートも借りられる。勉強をするためのお金もあって本も買えると。1日10時間も12時間も働かされては、いくら若者といっても疲れてしまいますから、そういうダブルワークができるような、そしてなおかつ、舞台ファームとしてもしっかり若者を応援したいという、そういった仕組みをはじめまして、先般も、大変ご好評をいただいています。
針生社長:若い人が農業に興味を持ってもらうのは大変ありがたいので、まずは働きやすい環境を作って、なおかつ、農業に挫折するかもしれないのでね、1年2年なりとも、ダブルワークのような柔軟な仕組みを我々が持つことで、農業に片足を入れながら、もうひとつ自分の夢もどんどん進めてもらいたい。ぜひ若い人も、この制度を利用して舞台ファームに就職していただいて、自分のキャリアアップも目指していただきたい。そのように考えています。
金森:その制度というのは、今年から実施しているんですか?
針生社長:はい、今年からやっています。加えてですね、若者が頑張ると、まずもってお腹が空いちゃうわけです。勉強して働いてスポーツをしたら、さらにお腹が空いてしまう。その点舞台ファームはお米や野菜、セブンイレブンに提供するような、ものすごい量のサラダを作っている。そうすると当然余る部分も出てまいりますし、米も人にお売りするくらいあるわけですから、我々は社食、社員食堂もしっかり作っていて、週に2回くらいはカレーライスや親子丼なんかも出しながらですね、若者にも1日1食や2食めいっぱい食べてもらってます。
針生社長:一人一人の夢を実現するために我々は最初にもお話しました「舞台」、その人、一人一人の土台をつくる。そのためには若者にやはり頑張ってもらいたくてですね、
いつまでも舞台ファームにいなさいというのではなくて、挑戦するために、社会システムも、食べものを供給して、もっとよりよくジャンプしてもらいたい。
その人一人一人が成功していったときに、「やっぱり舞台ファームにいてよかったよ!」「あの時に応援してもらったからここまで来ました!」っていう言葉を僕も10年後20年後に若者から聞かせていただければ、僕もやった甲斐があったなと思いますから。
そういうことが、仙台市を襲った津波と、農業復興から出てきた新しい挑戦になると思うので、ぜひ、みんなに跳ねてほしいですね。
金森:本日は、舞台ファームの針生社長にお話をお伺いしました。今日はどうもありがとうございました。
針生社長:こちらこそ。
仙台から世界を狙う農業をつくる針生社長。非常にエネルギッシュで面白い方でした!
舞台ファームに関心を持った方は、ぜひ下記のHP等からアクセスしてみてください。
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