お仕事

【動画】仙台・まちなか映画館~桜井薬局セントラルホール~

根本 もっさん
674 views 2014.12.05
sakura-centralhall

まちの中心にある映画館

今日ご紹介するのは、知ってる方は知っている、仙台の商店街にある映画館「桜井薬局セントラルホール」です。今回は、桜井薬局セントラルホール支配人の遠藤瑞知(えんどうみずとも)さんにお話しを伺いました。

仙台じょぶすとりーむ~桜井薬局セントラルホール~

こちらの記事では、動画インタビュー内容に加えて、動画に収まりきらなかったさらに詳しいお話を収録し、インタビュー内容の文字起こしを行っています。映画好きの方、今まで前は通ったことはあるけど、どういう場所なのか気になっていた方、ぜひ読んでみてください。

有賀:それでは桜井薬局セントラルホール支配人の遠藤瑞知さんにお話をお伺いします。

ちょっと変わった名前の由来

有賀:こちらの映画館なんですが、薬局の名前がついているということでとてもユニークだと思うんですが、そういった名前の経緯など教えていただいてもよろしいですか?

遠藤さん:はい。今から35年くらい前にできた映画館なんですけれども、そのときは映画を興業とする会社の方がこの映画館を作りました。ところが時代が変わるにつれ、そこが去り、別の会社が経営したのですが「ちょっと難しくなってきた」と手を引き、一時途絶えてしまうんですね。

遠藤さん:そのときに、「街にある映画館をなくしちゃいけない」と、このビルのオーナーである桜井薬局さんが「私がやるよ」と言ってはじめたのが「桜井薬局セントラルホール」だったんですね。

遠藤さん:それで続けていたのですが、「やっぱり映画と薬は違うよね」という話になり、じゃあどうしようかという話になったときに、「仙台資本の映画館をなくすべきじゃない」という熱い思いの仙台人が集まって「合同会社仙台セントラル劇場」という会社をつくりました。今はこの会社が(桜井薬局セントラルホールを)運営しています。

遠藤さん:我々としてはネーミングライツをした形で「桜井薬局セントラルホール」という名前をネーミングライツという形で引き継いでいるんですね。「映画は心の処方箋」というキャッチフレーズを桜井さんがおっしゃってましたけれども、まさにその通りなので、その精神も引き継いでいます。

有賀:みなさん(の協力)で出来た映画館という感じなんですね。

気になる映画館のお仕事

有賀:普段のお仕事はどういったことをされているんですか?

遠藤さん:はい、まずはこの「番組(上映する映画)」を決めるということが重要な仕事になってきます。日本で1年間で公開される新作映画って約1000作品くらいあるんです。

有賀:そんなにあるんですね!

遠藤さん:TVや雑誌でもそんな多くの映画を紹介しきれない。でもね、その中でも「あぁ、これはぜひとも見ていただきたいな」と思うような作品もたくさんあるし、「ええっ!こんな作品もあるんだ」というものもある。観客のみなさんに選択肢を多く出せる映画館でありたいと思っています。

遠藤さん:というのも、いい作品ばかりじゃなくて、さまざまな表現の仕方があるのが映画の面白さなんです。さまざまな表現手法、日々進化する視覚効果や技術、カメラワーク、知らない世界の話題など、その「映画の奥行き」を感じてもらうためにラインアップには気を使っているんです。

遠藤さん:さらにこの映画を持っている「配給会社」というところと交渉した上で、「こういうタイミングで貸してください」とお願いをする。また、作品を多く見てくれそうな人たち、あるいはそういうことに興味のありそうな人たちに、「こういう作品ありますよ」という働きかけをして1人でも多くの動員を図るというようなことで日々動いていますね。

有賀:なるほど、そうやって作品が決まっていくんですね。

遠藤さん:これは、まだ前段階ね。決まった作品を(映画館に)かけるということになると、今度は毎日映画館を開けるというのが大事ですよね。時間までに清掃等々を済ませて、そして今日は「フィルム」の素材なのか、あるいは「デジタル」の素材なのかに合わせて、画角の調整とか、ちゃんと(映像が)出るかどうかの確認をした上で、お客さんをお待ちするという感じですね。

sakurai4桜井薬局セントラルホールでは現在も作品によってはフィルム映画が上映されている

スタッフの採用は?

有賀:こちらのスタッフの方々はどういった形で採用されているんですか?

遠藤さん:ほんの数人でこの映画館を毎日まわしています。スタッフはみんな(勤続年数が)長いんですよ。それは、根っからの映画好きの人たちがやってきてくれているから。

有賀:あぁ。

遠藤さん:自分が映画に関われる、自分が映画と一緒にいることをすごく喜んでくれている人たちが来ています。だから(スタッフ募集は)誰かがいなくなってしまったタイミングのときにするだけで、定期的に採用はしていません。

有賀:なるほど。

建物内に吹き抜けのホールが

有賀:こちらのビルの中に、これだけ立派な設備があって驚いたのですが、収容人数はどのくらいなのでしょうか?

遠藤さん:はい、この劇場は3階と4階が吹き抜けになっていて、天井が高いんですよ。それで、客席数は154席あります。

sakurai33階と4階が吹き抜けになっている桜井薬局セントラルホール

有賀:そうなんですね。

遠藤さん:入ってもらうと分かるんですけども、横に広くなくて、わりとまっすぐな形。
それと昔ながらの映画館なんで、小さいながらもステージがあるんです。今はお笑いライブをやったり、毎月定例の寄席(落語や漫才)をやったり、お酒でも飲みながら楽しむ音楽ライブもしています。

有賀:映画だけじゃないんですね。

遠藤さん:そうですね。

遠藤さん:以前、街中にあった映画館が「シネコン(シネマ・コンプレックス)」となって郊外へ行っているでしょ? うちは、ひとつのスクリーンしかないけれども、映画だけじゃなくて、お笑いだったり、音楽だったり、あるいは講演会だったり、いろんなアートができるような場所、シネマコンプレックスではなくて、アート(芸術)なコンプレックス、アトコンになれればと思っています。

sakurai2ロビーには、仙台で活動するアーティストの作品が飾られている

有賀:なるほど!

支配人が思う映画の見方

有賀:ちなみに、たくさんある映画の中で、遠藤さんのオススメの映画というのはなんでしょうか?

遠藤さん:そうだね、おすすめの映画はありすぎるので、僕が思う映画の見方の話をしましょうか。

有賀:あ、はい!

sakurai1
遠藤さん:映画館って、いろんな人たちがあの暗い劇場の中にいますよね。知らない人たちと一緒に映画を見てるのね。皆さんは普段、家にいてTVでドラマなどを見る時に、一緒にいつも決まったメンバーで見るでしょ? そうすると、いつの間にか思考がだんだん同じ方向を向いていっちゃうのね。

有賀:あぁ、たしかに。

遠藤さん:そうすると「あぁこれはこんなもんだよね」というふうになっていってしまったりもするんだけども、劇場で見ると「え、ここ笑うとこ?」って驚いたり「なんだろうな、このシーン……」と思って見てると周りがシクシク泣いていたりもする。別に、みんなが正しいわけじゃないし自分がおかしいわけでもないんだけども、そういうふうに、みんながどう思っているかを一緒に共有できるじゃないですか。だからね、僕は『映画館は心のリトマス試験紙』だと言っているんですよ。

有賀:心のリトマス試験紙?

遠藤さん:そう、自分がどういう気持ちでいるのかとか、多くの人はこれを見てこんな風に感じるんだということをも含めて感じられる、体験できる場所なんだよね映画館は。

映画館で映画を見る意味

有賀:それでは、ちょっと大きな質問になってしまうかもしれないんですが、遠藤さんの思う『映画の魅力』というのはどういったところでしょうか?

遠藤さん:ほら、あの重たい扉があるでしょ? あれを開けて劇場の中に入った途端、いろんなところに行けちゃうんですよ。まるでドラえもんの「どこでもドア」のように。あるときは青い海がまぶしい南の島だったり、はたまた未来に行ったり、ずぅっと過去に遡ってみたり、いろんなところにあっという間に誘われるのがこの映画館の素晴らしいところ。だからリラックスして楽しんでくださいね。

有賀:それでは、これまでのお仕事の中で印象に残ったことを教えてください。

遠藤さん:何よりも、お客さんがとっても嬉しそうな顔をして帰っていかれるというのがね、すごく嬉しいですね。

遠藤さん:それから「作品力」って言うのかな、作品の力がいかにあるかということをまざまざと感じることがあるんですよ。

遠藤さん:作品力のある作品を上映するとね「どうしても誰かと作品についてしゃべりたい」という欲求にかられる人がいます。僕にだったり、エレベーターを待っている全然知らない人たちに声がけをして、お話をしたりしているんですよ。そういうシーンを見ると、「作品がそうさせたんだ」ということをまざまざと感じます。そういう「作品力」のある作品を選べたことにすごくやり甲斐を感じますね。

桜井薬局セントラルホール・今後の展望

有賀:最後になりますが、今後の展望を教えてください。

遠藤さん:はい。「セントラル」ってどういう意味だか分かる?

有賀:「中央」とか、そういう意味ですか?

遠藤さん:そうそう、つまり(桜井薬局セントラルホールは)仙台の真ん中にある映画館なんですね。だからここからいろんな情報を発信していきたいんですよ。
僕らが若かりし頃は、映画館の前で待ち合わせをして、映画を見て、そしてその映画を肴にデートをしたもんだったんですね。つまり、映画ってデートの前菜だったんですよ。

遠藤さん:そういうデートをしてもらうときに、ここは商店街の中にありますから、(映画を見たあとに)こっちに行こうかな、あっちに行こうかなといろんなプランをチョイスできる。 だから、いつも決まった店に行くのではなくて「今日はこういう映画を見たからあの店に行ってみよう」というふうにね、映画から始まるデートをクリエイトして、知的な大人のデートを楽しんでいただければ嬉しいです。その前菜になれればいいなと思っています。

有賀:今日は桜井薬局セントラルホールの遠藤瑞知さんにお話をお伺いしました。ありがとうございました。

遠藤さん:ありがとうございました。

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