カフェがつなぐ 虹の架け橋「ぶれいんゆに~くす」
カフェがつなぐ 虹の架け橋
トン、トン、トン。みずみずしいダイコンが、サイコロ状に切られていく。
まな板には、赤い1センチ四方のマス目が描かれている。「マス目があることで、繰り返し安定して切れるようになりました」と、40歳の男性が語る。
仙台市青葉区大町のカフェ「Schale(シャーレ)おおまち」。自閉症や発達障害がある男女10人が、就労トレーニングの場として働く。料理の下ごしらえ、菓子作り、皿洗い、まかない作り、食器やテーブルセッティングなど、運営の一切が、社会に出る訓練の役割を果たす。
午前11時半の開店と同時に、近所の家族連れやお年寄り、OLでにぎわう。野菜たっぷりの日替わりランチ、8種類のカレーランチなどと並び、人気を呼ぶのが手作りの菓子だ。
ロールケーキやシュークリームに、ブランド名を付けている。「虹のおかしやさん」。カフェを運営する『ぶれいん・ゆに~くす』(仙台市)の事業担当、福原美樹さん(47)は「虹は希望のシンボル。障害のある人と社会をつなぐ架け橋になれば」と、命名の由来を話す。
カフェの片隅に、アロマセラピーの本や雑誌などに混じり、自閉症に関する本が並ぶ。「身近な存在として、理解してもらうきっかけにしたい」。発達障害の子どもがいる福原さんは言う。
開業は2011年3月1日。10日後に、東日本大震災が起きた。全国のNPOが寄せた支援物資に、菓子があった。「つらいとき、甘いものが心に染みました」。震災から間もなく2年半。福原さんは「ほっとできる時間を提供すること」が、地元で出来る恩返しと考える。
▲真剣なまなざしで、丁寧にスコーンの生地を引き伸ばす女性=仙台市青葉区大町のカフェ「Schale(シャーレ)おおまち」
ランチの客が引き揚げたころ。調理場に、バターの香りが漂い始めた。
玉ネギとマスタード入りのスコーン生地を麺棒で引き伸ばすのは、18歳の女性。「自分の作ったお菓子が『おいしかったよ』ってみんなに言われることがうれしい。いつか、街のお菓子屋さんで働きたい」とはにかむ。
「オニオン・マスタード・スコーン」。新商品として、この秋にもお目見えする。
この記事を書いた人
- 一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪
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