学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

東北唯一の伝統技術!お客様の喜びを創造する「高橋写真製版」

高橋夏海 高橋夏海
1,387 views 2014.11.21
高橋夏海 高橋夏海 東北福祉大学3年(執筆当時)
みなさんは製版についてご存知でしょうか。印刷は金属やゴムなどの「版」にインキをつけて、紙などに押し当てることで文字や絵を写します。そして版をつくることを製版と言います。今は版が必要ないデジタル印刷のほうが身近で、私たちにはあまりなじみのないものです。しかし、仙台市若林区には今もなお、技術を受け継いでいる会社があります。私、高橋夏海と同じ名前の「高橋写真製版」にお邪魔してきました!

高橋写真製版って、こんな会社!

創業46年。代表取締役を務める2代目の高橋健一郎さん(41)は、社長になるための修行として20代後半までは東京の印刷会社に勤務していました。そこで新しい印刷技術の必要性を痛感したそうです。

6年前にお父さんから事業を引き継いだのを機に少しずつ、オンデマンド印刷やオフセット印刷などを導入していきました。現在は、健一郎さん夫婦、お父さん、お母さんの家族4人と、社員8人の計12人で業務にあたっています。

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仙台の企業魅力3つ

東北オンリーワン!世代を超えて受け継ぐ亜鉛凸版

高橋写真製版は、亜鉛凸版を扱っている東北唯一の会社です。亜鉛凸版とは、写真製版を応用したもので亜鉛版の版面を硝酸溶液で腐食させて版を作ります。昔は扱っている会社は東北にもありました。しかし、普通の製版と比べて手間がかかり値段が高くなってしまうことや版をつくる職人技の技術が受け継がれないという理由から、少しずつ姿を消していきました。

厳しい状況の中でも、健一郎さんは「創業者のお父さんが苦労して磨き上げた技術を受け継いでいきたい」と強く思っています。亜鉛凸版は商品に付加価値を与えるための箔押しとして今もなお必要とされています。例えば、雑誌の表紙やお酒のラベル、卒業アルバムなどで表紙の文字がきらきらと光っているのをよく見ますよね。光沢感や高級感を演出できるので、同じ商品でも亜鉛凸版で箔押しするだけで売り上げが伸びるんだそうです。

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世界にたったひとつだけのオリジナル絵本

オリジナル商品のひとつとして、家族をテーマにした世界にたった一冊しか存在しない絵本があります。主に小さい子どもに誕生日プレゼントとして贈るために考えられました。
基本となる物語があって、出てくる動物の名前や歳の部分を好きな名前や数字に変えられるようになっています。ストーリーは健一郎さん自身で考えました。「この絵本で、家族からの愛情を感じ取ってもらいたい」と願います。

「世界にひとつの絵本」は、顧客に喜んでもらいたいという一心で考えられたもの。強い思いは、高橋写真製版が掲げる「人の喜び創造業」という経営理念に表れています。この言葉が生まれたきっかけは、以前、社員全員で話し合った際に「うちの会社は何をつくっているのか」という話題になったこと。ある社員の「最終的にお客様に喜んでもらうことが大切なんじゃないですか」という言葉に全員が納得したそうです。「誰かに喜んでもらうために僕たちは仕事をしているということに気付かされた」といいます。

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17時半退社と月1回の特別休暇を実現

高橋写真製版では、社員の17時半退社を実現しています。社員に残業をさせないために、会社全体として作業のスピードを意識して、時間内で作業が終わるように日々、心掛けているそうです。

また、月1回の特別休暇を設けていて、年初めに年間の休暇を自分で決めます。家族の誕生日や結婚記念日など、社員が自分で休暇を決められるという珍しい制度。社員が活力を持って仕事に励めるよう、「家族や大切な人との時間をたくさん過ごしてほしい」という思いが込められています。

また、新しい手帳を買うと、必ず最初に家族と社員の誕生日を書き込むという健一郎さん。社員の誕生日当日には、朝のミーティングにみんなでお祝いし、万年筆などのバースデープレゼントを渡すそうです。「お客様に喜んでもらう仕事するために、まずは身近な社員に喜んでもらうのは当然です」と話します。

働く先輩

プリント事業部 入社10年目 三浦将太さん(31)
三浦さんは印刷オペレーターの仕事をしています。高校時代に専攻していた自動車整備とデザインの専門学校で学んだ知識をどちらも生かせるところに惹かれたそうです。三浦さんは17時半退社や月1回の特別休暇を利用して、家族との時間を大切に過ごしています。
「仕事を頑張った後、夕飯を妻と5ヶ月になる娘と一緒に食べる時間が幸せです」と顔をほころばせていました。

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社員の失敗も精一杯支えたい

健一郎さんが常に気を付けていることは「確認」です。6年間の東京勤務中、顧客への確認をしなかったことで発注ミスをしてしまい、会社に大きな損害を出したことがありました。途方に暮れ、会社をやめようと思ったとき、同僚が自分の失敗を徹夜でフォローしてくれたそうです。

確認の大切さを痛感すると同時に、「あのときの同僚がいなかったら今の私にはなっていない。私も失敗をして困っている人には出来る限り手を差し伸べてあげたい」と考えています。「もし社員が何か失敗しても精一杯支えるつもりです」ときっぱり言いました。

また、取引先の喜びを考えて「納品前納品」も徹底しているそうです。1時間でも2時間でも早く納品することで、取引先の印刷会社から信頼され、「ありがとう、助かるよ」と声を掛けてもらえます。「取引先から感謝されることは私たちの喜びにもつながり、モチベーション向上にもつながっていきます」と笑顔を見せました。

こうして高橋写真製版はたくさんの人の喜びを創り出し、その喜びがまた次の喜びを創り出す原動力となっているのです。

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東北で唯一の亜鉛凸版の技術を受け継ぎ、伝統を守りつつ、現代の印刷技術も取り入れている高橋写真製版。その背景には「人の喜び」がありました。「どうせだったら高橋写真製版に」と言ってもらえるように小さなことでも、真剣に思いやる健一郎さんの姿勢に感動しました。健一郎さんも社員さんも、それぞれの家族をとても大事にしていることが伝わってきて、「家族の時間ってやっぱり必要」と再確認しました。私も、お父さんお母さんとの時間を大切にします!

高橋夏海高橋夏海東北福祉大学3年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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有限会社 高橋写真製版
http://www.takahan.com/
資本金5,000,000円
住所宮城県仙台市若林区鶴代町5番30-1号
電話番号022-236-9818