記者インターン

新しい世界 このスクリーンから 「桜井薬局セントラルホール」

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416 views 2014.10.16

2014年9月に一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が班ごとに取材した記事を紹介します!

新しい世界 このスクリーンから

開演間際、駆け込んだ客が席に着くのを見届けて、支配人の遠藤瑞知さん(52)は映写機を回し始める。
仙台市青葉区のクリスロード商店街にある「桜井薬局セントラルホール」は、スクリーンが一つしかない小さな映画
館だ。

見終えた客は、ロビーに置かれた上映プランのチラシに手を伸ばす。
1960年代のチェコ映画「ひなぎく」や昭和の名作「放浪記」…。
遠藤さんが選ぶ古今東西の作品を常連が心待ちにしている様子がうかがえる。

郊外型のシネコンが主流となった今、休日でさえ154の席は半分も埋まらない。
それでも、客は「車がない私でも来られる」「買い物のついでに寄れる」と親しんでくれる。
帰りに喫茶店に寄り、コーヒーを片手に映画のワンシーンに思いをはせる。
街をぶらぶらしながら、上映後の余韻をかみしめられるのも魅力だ。

e-2街の映画館としての魅力を語る支配人遠藤瑞知さん(52)=11日午後 仙台市青葉区

「客が入るから」という理由で人気作品を安易に流すことはしない。
派手なアクションや壮大なファンタジーが全てではない。
遠藤さんは、有名無名に関わらず作品を選び抜く。

学生時代、見たい作品が仙台で見られなかった悔しさを経験した。
上映スケジュールには、遠藤さんの「見られる映画の幅を狭めたくない」との思いが込められている。

東日本大震災の発生から2年の節目に合わせて、4本の震災関連映画特集を企画した。
「まだ気持ちの整理がついていない」
客の反応は芳しくなかった。
3年半経った今でも、振り返りたくない人がいると実感した。
それでも彼らが当時を見つめ直そうと思えた時、いつでも背中を押せるよう上映の機会を用意していく。

10月中旬から、ドキュメンタリー「365日のシンプルライフ」を県内で唯一公開する。
自分にとって必要なものとは何かを考え直す内容だ。
「みんなの知らない世界がこんなにも広がっていることを知ってほしい」
遠藤さんは商店街の一画からメッセージを送り続ける。

河北新報社インターンシップ8期 E班
早稲田大3年 中嶋泰郁
東洋大2年  松岡知里
早稲田大修士1年 栗原彩乃
東北学院大2年 藤本智慎 
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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪