記者インターン

地域と生きる魚屋 「岩沼屋」

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983 views 2014.09.28
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2014年8月に一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が班ごとに取材した記事を紹介します!

地域と生きる魚屋

仙台市青葉区五橋の鮮魚店「岩沼屋」は、創業148年の歴史がある老舗だ。
開け放たれた入り口のガラス戸、店の中央に置かれた大きなショーケース。
中にはカツオ、アジ、ホヤなど旬の魚が並ぶ。
「他の食材はスーパーマーケットで買っても、魚だけはここで」という客は少なくない。

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▲自慢の魚を笑顔ですすめる徳衛さん=仙台市青葉区五橋

一度食べれば味の違いが分かるよ」
5代目店主の岩沼徳衛(とくえ)さん(60)は自信満々だ。

常連客の心をつかんでいるのは、魚の良さだけではない。
客の注文に応じ、魚を3枚におろす。
食べやすいように切り身の骨を抜く。
来店が困難な年配の客には、魚とともに、トイレットペーパーや洗剤などの日用品も届ける。
暑い夏には、郵便配達員やゴミ回収業者に、冷たい飲み物を差し出す。

客や取引先を第一に考え、損得抜きで行動しているのは、
「人に良くしたことは、子どもや孫にかえってくる」という、徳衛さんの信念からだ。

徳衛さんが店を継いだのは大学4年、22歳のとき。
先代である父の急死が理由だった。
店の手伝いはしてこなかったため、「もっと父に学んでおけば良かった」と後悔した。

若い5代目を支えたのは、代々親交があった常連客や仕事仲間だった。
「あいつの息子だから」と丁寧に面倒を見てくれた。
世紀を超えて築き上げてきた信頼関係が岩沼屋を支え、今に続く財産となった。

2011年の東日本大震災では、流通が止まり多くの店が営業を停止する中、岩沼屋は翌日から炊き出しを行った。
食材は全国の仕事仲間から届けられ、2トントラックで運んでくれた知人もいた。
「日頃お世話になっている地域の人々のために、できることは何でもしよう」という一心だった。
温かい食事は、地域住民に心から喜ばれた。

徳衛さんの長男徳太郎さん(29)は、現在東京・銀座のすし店で修業に励んでいる。
いずれ6代目となって岩沼屋を継ぐ予定だ。
江戸、明治、大正、昭和、そして平成。
岩沼屋と地域の人々とのつながりは、これからも受け継がれていく。

河北新報社インターンシップ7期 C班
法政大3年 北村奈々絵
東北芸術工科大3年 阿部崇史
東北学院大3年 只野佑貴
東北学院大2年 横山葉月
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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪