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【起業家支援】「何か始めたい!」という挑戦を応援する「ゆいネット」

‎立田 祥久 立田祥久
3,026 views 2014.09.29
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‎立田 祥久 ‎立田 祥久 東北大学3年
「起業したい!」「飲食店を始めたい!」
将来独立して働きたいと野望を抱いている人は、学生にもいるのではないでしょうか。しかし夢実現への道は、決して平たんではありません。「どういう業務形態がいいの?」「いくらで販売すれば売り上げが出るの?」「パソコンソフトの使い方は?」などなど、考慮すべき点は星の数ほどあります。そんな時、新規事業の立ち上げに力添えしてくれるのが、株式会社ゆいネットです。「人材教育」を行う企業の仕事内容とは一体…?

ゆいネットって、こんな会社!

ゆいネットは仙台市青葉区花京院のオフィスビルにあります。IT関連事業や起業家支援などを手掛ける会社で、27人の従業員(パート含む)が働いています。

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創業は平成12年。社長の稲葉雅子さん(52)が、IT関連サービス会社として立ち上げました。

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当時はパソコンが一般家庭に普及し始めた時代。世間では、パソコンを巡るトラブルが頻発していました。

そこで仙台市からの委託を受け、一般市民対象のパソコン講座を開催します。はじめは電源のつけ方やマウスの操作方法から、時代に合わせてワードやエクセルの使い方、建物などの設計図面を作成する「オートCAD」まで、幅広い分野のウェブ技術支援へと展開していきました。パソコン技術が進歩し、問題がより専門化した現代では、パソコン教室での講義よりも1対1での対応が多いそうです。

IT事業だけでもすごい!しかし、近年ゆいネットが力を入れているのは別の点にあります。それは「人材育成」というコンセプトの下、起業家支援にむけた新規事業を次々に立ち上げていくことです。

仙台の企業魅力3つ

働く女性に生き方を紹介

ゆいネットが「起業家支援」や「人材育成」に力を入れるきっかけになったのが、働く女性に焦点を当てたフリーペーパー「Actaleia(アクタレイア)」です。

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7年前の発刊のきっかけは、稲葉さん自身の葛藤にあったといいます。15年間の会社勤務を経て、38歳でゆいネットを起業。会社の第一線で活躍し、仕事のやりがいを実感しながらも、一方では子どもを持てなかったことに後悔がありました。

「女性たちに、自分らしい生き方や働き方を見つけるきっかけとなる情報を提供しようと思いました」。
当時のゆいネットは、女子大学生のインターンを受け入れていました。彼女と一緒にフリーペーパーの制作に取り組み2007年7月、創刊号が誕生します。タイトルは「アクティブ(活動的)」と、ギリシャ神話の女神で豊かさと開花を司るといわれる「タレイア」を組み合わせました。

取材執筆は内部スタッフが行います。現在は隔月で2万部を発行しており、9月に節目の40号に到達しました。全16ページで、仙台市内の地下鉄改札や医療機関などにラックを設置して配布しています。

表紙を笑顔輝く女性たちが飾っています。

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ページをめくると、表紙を飾った女性が巻頭インタビューに登場しています。食品製造の経営者やパン屋のオーナーなど、職業も立場もさまざまな女性が、その仕事を選んだ理由や、家庭と仕事との両立の仕方などを語っています。

ほかにも最近オープンしたお店やイベントの情報、起業したいと考える人への案内など、働く女性に多様な生き方を紹介する情報が満載です。

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事業展開で挑戦を応援

ゆいネットはActareiaでの取材を通して、起業志望者とのつながりを強めていきました。そんな中、東日本大震災が発生。震災を体験して「いつか始めたい」と考えていた人が「今始めなければならない」と感じるようになり、仙台市内で起業の動きが活発化します。

そこで、ゆいネットは起業家支援に着目し、新規事業を次々に立ち上げていきました。「社会の動きに臨機応変に対応できるフットワークの軽さ」こそ、ゆいネットの強みです。

ちっちゃいビジネス開業応援塾

ビジネス開業の基礎を学べる講座を提供しています。東日本大震災後に減った雇用を生み出すべく、仙台市からの委託を受けて平成23年10月スタートしました。事業形態や年齢、性別に関係なく、新しいビジネスを立ち上げたいという人が対象です。

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飲食店や物販業などの開業にあたっての基礎を学べる「基本講座」、夢を実現させた起業家の元を訪ねる「先輩起業家視察ツアー」などのプログラムがあります。平成25年度には延べ1585人が受講。受講生の数は年々増加傾向にあります。

ちゃんとゴハン食堂みやカフェ

飲食店を始めたいと考える人が交代で厨房に立ち、営業体験ができる飲食店です。青葉区一番町の壱弐参横丁にあります。今年の1月にオープンしました。
「ちっちゃいビジネス開業応援塾」に参加する人の多くは、飲食店の開業を目指す人。そこで、実際にお客さん相手に料理を出す経験ができる場を設けました。

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基本の営業時間は11時から15時で、肉もしくは魚がメインの2種類のランチを提供しています。

メニューの最新情報はみやカフェのホームページをチェック!
http://miyacafe.net

さらに、みやカフェを会場に起業家のための勉強会を開くこともあります。メニューの原価を計算する勉強会「チャレンジカフェ」や、1日オーナーになれる「ワンデイカフェ」などがあります。

ほかにも、被災地を訪ねるツアーを企画して、農、商、工の現場を学習できる「まなび旅」事業※や、宮城県から委託を受けて復興イベントの企画・運営にかかわる「復興応援隊」事業などを展開しています。
(※平成23年6月に稲葉さんが代表を務める「株式会社たびむすび」を設立し、現在は同社が運営しています)

ikesya-yuinet13(南三陸町で活動する復興応援隊)

どの事業にも共通することは、何か新しいことを始めたいという人々の挑戦を応援することです。

人と人を結ぶ起業家支援

ちっちゃいビジネス開業応援塾で学んだ女性が5月にドーナツカフェを開いたと聞き、お話を伺ってきました。

太白区東中田にあるドーナツカフェ「Café nijineco」です。

(ホームページはこちら!→ http://nijineco.com/ )

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手作りのケースには出来たてのドーナツが12種類並んでいます。
うーん、どれも美味しそう!1番人気は上段中央の「きなこ」とのこと♪

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店主の佐々木まゆみさん(52)が気さくに迎えてくれました。

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昨年8月から10月にかけて行われた全9回の講座に参加し、販売計画やマーケティングの基礎を学びました。そして今年5月20日に、念願のお店をオープンさせました。

――受講のきっかけは
「17年間ドーナツチェーン店で働いていましたが、2013年の3月に体調不良が原因で退職しました。年齢とキャリアを考えても、他の職種への再就職は厳しい。もう一度働くならば、自分の店を持ちたいと思ったんです。仙台市政E企業だよりで講座の案内を見て受講を決めました」

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――講座の内容はいかがでしたか
「全9回の基本講座は、自分が実現したい夢を思い描く座学から始まり、目標達成へ向けた決意のプレゼンで終わります。回を追うごとに実践的な内容になるよう構成されていて、段階を踏みながらビジネスの基礎を学ぶことが出来ました。最後日のプレゼンでは、自分の店をオープンさせる予定日や提供したい商品について、参加者同士で具体的に発表し合います。これまで漠然と思い描いていた『開業』という夢が、期限の設定によって、より現実的な目標に変わりました」

――講座での経験が今の仕事に活きていると感じることは
「ゆいネットを通して出会った人々との繋がりです。講座では、料理講師を目指す人や、パワーストーンの販売店を開きたい人、マッサージ師になりたい人など、様々な業種の起業志望者とお会いしました。彼らがドーナツを買いに来てくれたり、Facebookやブログで店舗情報を紹介してくれたりします。前職での17年間でできた人脈よりもずっと密度の濃い『人と人との繋がり』を実感しています」

店内では手作りの雑貨も販売しています。

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――雑貨も扱っているんですね
「これから雑貨屋を始めたいという知人や、網かごを販売する店を持ちたいと考えている友人に声をかけ、店内で販売させて頂いています。今度は自分が、起業志望者のお手伝いをしたいんです」

見事、自らの夢を達成された佐々木さん。今年の夏に開かれた講座では「先輩起業家」として講座に参加し、「起業家の卵」の参加者に自らの経験を語りました。
受講生の間では、業種の壁を超えて、起業家が起業家を応援する流れが生まれています。

これからのゆいネット

IT関連会社としてスタートしてから現在に至るまで、「人材教育」を念頭において事業展開し、起業家支援に携わってきたゆいネット。今後の目標として、稲葉さんは2点を挙げています。

1点目は、仙台市からの委託事業として展開している「ちっちゃいビジネス開業応援塾」を、委託期間が終了した後も自社で継続すること。委託期間の終了を迎えると、市との契約が終了するため、継続が厳しくなってしまいます。講座が途絶えると、年々増加傾向にある起業志望者の芽を摘んでしまうことになるのです。7月からは、仙台市に加えて岩手県一関市でも講座を開始しました。徐々に開催地を広げていき、講座を増やしていきたいといいます。

2点目は、各事業の連携を深めることです。初めは「点」でスタートした事業も、「Actaleia」と「ビジネス開業応援塾」、「ビジネス開業応援塾」と「みやカフェ」のように事業同士が繋がり合い、一つひとつが「線」で結ばれてきました。先輩起業家との交流をさらに深めて、市民が互いに主体的に教え、教わる「面」の構築を目指します。

すべては「1人でも多くの人に自らの夢を形にしてほしい」から。ゆいネットの切なる願いです。

雇用は自然に生まれるのではなく、裏には必ず起業者の存在があり、そのまた裏には起業者を支える企業がある。当たり前のようでなかなか意識しない事実を、就職活動前の大切な時期に知ることができました。取材後、街中を歩くたび、会社や飲食店の看板に目が行くようになりました。そして、ここでは開業までにどんなドラマがあったのか、と考えてしまいます。もしも自分が起業者だったらという視点で、過去のいぐする仙台の記事を読み返してみようと思います。

‎立田 祥久‎立田 祥久東北大学3年
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株式会社ゆいネット
http://www.55yui.net/
資本金2,000万円
住所宮城県仙台市青葉区花京院2丁目 1-14 花京院ビル12F
電話番号022-726-0341

この記事を書いた人

‎立田 祥久
‎立田 祥久
東北大学3年
高校陸上あがりの自称市民ランナー。走って食べて飲んで寝る。欲求に忠実に生きています。東北大学新聞の記者も兼任。今は学生記者として駆け回っています。息切れしないように頑張ります!