学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

【造園業】自然から学び、自然に委ねる。プロフェッショナル集団「竜門園」

‎立田 祥久 立田祥久
2,010 views 2014.07.18
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‎立田 祥久 ‎立田 祥久 東北大学3年
ビールが美味しい季節となりました。緑豊かな庭を眺めながら飲むと、格別なんだろうなぁ(おじさんか)。
ところで、「庭」って、手つかずの自然が作り上げた賜物なのでしょうか。いえいえ、美しく整った庭の背景には、庭造りのエキスパート「庭師」の存在があります。はたして、その仕事内容とは―。
全国屈指の高い技術を持つという造園会社の評判を聞きつけました。その名も「竜門園」。晩酌の適地を求めて…いえ、庭造りの秘密を探るため、取材してきました。

竜門園って、こんな会社!

訪れたのは仙台市泉区松森。林に囲まれた小高い丘のふもとに、竜門園の事務所とモデル展示場「グリーンゲート」があります。

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創業は1974年。今年で40周年を迎えました。
これまで手掛けてきた庭や公園は、全国各地に500か所以上。社長の齋藤千明さん(63)を筆頭とする社員23名で業務にあたります。一般家庭の庭だけではなく、企業の駐車場整備や神社の鳥居の復旧工事など、施行内容は多岐に渡ります。公共工事を受け持つこともあるそうです。

庭は「建物の附属物」という脇役として見られることが多いと言いますが、「建物と庭は、夫婦のように切っても切り離せない関係」と語る齋藤さん。
そこで庭の存在をより身近に感じてもらおうと、県内の中学生や高校生を対象に、学校の要望に合わせて職場体験を実施しています。また、各地で開かれる企画展やイベントには積極的に参加。これまでに輝かしい成績を収めてきました。

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2004年にイギリスで開かれた世界大会「チェルシーフラワーショー」では、シティガーデン部門で最優秀賞を獲得。2006年から出場している「とうほく蘭展&バラとガーデニングフェスタ」では、出展のたびに高い評価を得ています。
こちらは、今年1月の「とうほく蘭展2014」において日本造園組合連合会理事長賞を受賞した庭です。

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現在は、7月下旬に岩手県雫石町で開催される「森の風フラワー&ガーデン選手権」に出展する準備を進めています。

仙台の企業魅力3つ

お客様の「想い」を「形」に

「まずは現場を見るのが一番さ!」
 そう齋藤さんに言われ、現場で午前10時に待ち合わせ。
 やってきたのは青葉区中心部のオフィス街です。

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一体、庭はどこに?
「これからこの空間に息を吹き込むよ」。齋藤さんが指さす先はビルの入り口。
階段の下、灰色の砂で覆われた3畳ほどのスペースです。

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今回の依頼主は、ビル内に設計事務所を構えている設計士さん。「空間を作るのは設計士、活かすのは造園師」と、建築物を映えさせる庭の力を熟知しておられる方です。事務所の入り口を「訪れる人が見て幸せな気分になれるような空間」にしたいといいます。

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齋藤さんは作業の前に、お客さんと相談して庭の「テーマ」を決めます。体裁を整えるのだけではだめ。「建物を映えさせる」という庭の役割を最大限に高めるべく、「お客さんの願いを言葉にしてから形にする」という信念があるからです。

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この日作業を担当したのは、一級造園技能士の大見了輔さん(42)と、二級造園技能士の早坂晋也さん(28)、それから齋藤さんの3人です。
齋藤さんは2人の作業を見守りながら指示を出していきます。光の当たり方や、角度による見え方の違いなど、考慮すべき点は山ほどあります。
いったん現場に入ると、齋藤さんは設計図をほとんど見ません。40年間の経験をもとに、石の配置を伝えます。2人は真剣な表情で、齋藤さんの指示を仰ぎます。

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作業開始から1時間ほど。齋藤さんは車で次の現場へ向かいました。残りの作業は、指示を受けた2人が担当します。

5時間をかけて「高砂の庭」が完成!

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殺風景だったビルの入り口は、和の趣に満ちた、幸福感ただよう空間へと変身を遂げていました。

若手が集うプロフェッショナル集団!

竜門園の強みは何と言っても、専門的な資格をもつ「プロフェッショナル」が集まっているという点です。国家資格の「造園技能士1級」や「土木施工管理技士1級」など、23人の社員全員の資格を合わせると、20種類以上にもなるそうです。ちなみに、齋藤さんは13種類の資格をお持ちなんだとか。

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それでも、竜門園の皆さんがこだわるのは資格の有無ではなく、「いかに高い成績で資格を取るか」という点です。齋藤さんは資格を受けに行く社員に「競技会に出る気持ちで臨みなさい」と諭します。事実、各資格で成績トップの首席を何人も輩出しています。

「資格を取って終わり」ではなく、技術の研鑚も惜しみません。年に1度、高い技術を持つ職人に会ったり、高度な庭造りを見学したりするために、研修旅行を実施します。京都や九州、はたまた香港やシンガポールなどの海外へも足を運びます。
 
「プロが集まる竜門園」は全国的にも知られていて、青森、秋田、岐阜など、日本各地から造園業に携わりたいと考える若者が集まります。

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 「高砂の庭」を手掛けた早坂晋也さん(28)もその中の1人。
仙台市出身の早坂さんは大学進学のため東京に上京しましたが、高校時代に竜門園の職場体験で汗水流した経験が忘れられず、門をたたきました。早坂さんは「若手が切磋琢磨できる環境が整っている」と目を輝かせます。

竜門園では月に1度の全体会議では「あのねコーナー」という時間を設けています。社員全員に日々の気づきを発表してもらう場です。「盛岡のじゃじゃ麺が美味しかった」など、和やかな意見交換が交わされます。社内の風通しを良くすることがねらいです。
齋藤さんは働く環境を整え、若者は互いに力を伸ばし合う。社内で好循環が生まれています。

「庭戯」~時代に合わせた庭造り

若いときに京都で修業を積んだ齋藤さん。起業後は一貫して伝統的な日本庭園を追い求めてきました。
 しかし50歳になって考えます。「庭とは何ぞや。このまま同じものを作り続けても良いのだろうか」と。生活スタイルの変化によって、眺めるだけだった旧来の「庭」の意義が薄れているように感じられました。
そこで考え付いたのが「庭戯(にわざれ)」(2001年に商標登録)という庭造りでした。「庭」に「戯れる」と書いて庭戯。「観て、触れて、遊べる庭」を造ろうと考えました。庭の役割の新たな側面に着目したのです。

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本社に隣接するモデル庭園「グリーンゲート」では、「庭戯」を表現したモデルケースを展示しています。

例えば、こちらの庭は子どもたちがのびのびと遊べるようにと考案したものです。写真の奥に見えるトンネルから上へ出られる作りになっています。

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身長1メートルほどの目線からみた「庭」を検証しました。「使う人たちの立場に立った設計ができるようになりました」と齋藤さん。

こちらは、壁で庭を囲んで居住空間として造り上げたものです。

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庭を1つの部屋として機能させ、一家団欒を楽しむことができます。
「造園は答えのない世界。お客さんの要望次第で『何でも 』だと思うのです。伝統的な日本庭園を尊重しながらも、時代に合わせていく勇気が必要です」。

自然とともに「生涯現役」

全国に名を馳せる企業へと上りつめた竜門園。今後の展望は―。

齋藤さんの答えは、以外にも「自然に委ねる」というものでした。

造園業は自然と隣り合わせの仕事です。材料の石や、木、花など、天然の材料を使用します。当然、一度造った庭が修復の必要に迫られることもあります。だからこそ、引き受けた庭に責任を持ち、いつまでも寄り添い続けることが竜門園の流儀です。制作時を庭の「誕生日」と考え、30年、50年をかけてでも育て上げていく。竜門園が手がける庭に、「完成」といえる日が来ることはありません。
齋藤さんは「自然に委ねることさえ忘れなければ、オレのやり方を踏襲しなくてもいい」と言い切ります。次代を担う若者を信頼しているからこその言葉。職人さんたちが齋藤さんを慕う理由が、分かったような気がしました。

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 現場と本社、モデル展示場を行き来する取材。4時間にもわたって、齋藤さんに同行させて頂きました。印象的だったのは、動植物に語りかけるような優しい話し方です。相手に考え方を押し付けるのではなく、比喩を用いたり自分の意見を述べたりすることで、相手の気づきを待つ。まさに、「背中で語る方」でした。
 自分がマイホームを持つときは、竜門園さまにお世話になりたいです。もちろん、晩酌に最適な「観て、触れて、遊べる庭」をお願いします!

‎立田 祥久‎立田 祥久東北大学3年
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株式会社竜門園
http://ryumonen.co.jp/
住所宮城県仙台市泉区松森字前沼48-2
電話番号022-373-3934

この記事を書いた人

‎立田 祥久
‎立田 祥久
東北大学3年
高校陸上あがりの自称市民ランナー。走って食べて飲んで寝る。欲求に忠実に生きています。東北大学新聞の記者も兼任。今は学生記者として駆け回っています。息切れしないように頑張ります!