学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

時を経ても変わらない一生ものを届ける「三好堂」

野上貴 野上貴
2,115 views 2014.03.03
野上貴 野上貴 山形大学4年(執筆当時)
3月3日はひな祭り。女の子の健康を祈ってひな人形を飾り、錦糸卵や桜でんぶできれいに彩られたちらし寿司を食べる家庭が多いのではないでしょうか?
ひな祭りの起源は、平安時代。女の子の厄を払うため紙人形を川に流したことが始まりだといわれています。現代では、人形は川に流すものから飾るものへと変わりました。変わらないのは、ひな人形は1人に1体ということ。ひな人形は一生ものの買い物です。
今回は、仙台市青葉区でひな人形を販売する「株式会社三好堂(みよしどう)」を取材しました。

ひな人形を販売するお店に行ってみた!

見過ごしてしまいそうな場所に入り口を発見!

miyoshi1

中に入ると落ち着いた雰囲気の廊下が!お店はこの先です。

miyoshi2

三好堂は明治42年創業、105年続く老舗。1月の初売りから3月3日まではひな人形、それが終わると5月5日まで五月人形、7月から8月15日までお盆の提灯と、季節によって店舗の雰囲気は、ガラッと変わります。今回はひな人形たちが出迎えてくれました。

miyoshi3

miyoshi4

実はこの店舗、元は店の倉庫でした。以前はアーケード街に面した店を構えていましたが、5年前、テナントとして貸し出すことにし、倉庫を改装し店舗を奥の方へ移動しました。店内の柱には三好堂が仙台とともに歩んできた歴史が刻み込まれています。現在は4代目の三好一夫さんが妻の和加子さんと2人で経営しています。

miyoshi5

時代の変化に合わせた商いを

nogami
野上貴(のがみたか)
季節ごとで違った商品を扱っていますが、何屋さんですか?※勉強も趣味も広くて浅い、自称「器用貧乏」。ひとりの時間を愛する男子。

miyoshi
三好一夫さん
際物(きわもの)屋です※漂わす雰囲気が素敵な紳士。

怪しいものを扱うお店ではありませんよ!際物屋は、季節に合わせたその時期の商品を取り扱うお店のことです。
三好堂は創業当時、造花とお葬式や開店の際に使う花輪を取り扱う専門店でした。戦後はクリスマスやハロウィンの飾りを先駆けて販売していたこともありました。三好堂では「専門店にしかないものを届ける」という信念のもと変化し続け、ひな人形や五月人形といった節句人形を扱うようになったのは55年前。今では節句人形が三好堂の主力商品です。

miyoshi6

最近のひな人形は一点豪華主義

ひな人形を買うお客様の多くは、孫ができた祖父母や娘が生まれた若い夫婦です。現在の相場はだいたい20~30万円。三好堂では、毎年20~30セット販売しているそう。

nogami
野上
ひな人形の売り上げに変化はありますか?

miyoshi
三好さん
売り上げ自体は落ちてないけど、ニーズの変化はありますね。

nogami
野上
どんなニーズですか?

miyoshi
三好さん
最近は、お内裏様とお雛様だけの親王(しんのう)飾りで質の良いものを求めるお客様が多いです。

マンション住まいで置く場所がなかったり、昔のように親子3世代で暮らす家庭が減り、飾り付けや片付けができなかったりなど、段飾りの需要は近年すっかり少なくなりました。最近は7段飾りと同等の価格で親王飾りを買うお客様が増えたそうです。

miyoshi7

商人は“目”が命!

nogami
野上
ずばり、三好堂の強みを教えてください!

miyoshi
三好さん
「目利き」だと思います。

目利きとは、ものの真贋(しんがん)や善し悪しを見極めること。三好さんは展示会に足を運び、メーカーから直接ひな人形を仕入れています。ひな人形の主要老舗メーカーは埼玉県を中心とした関東圏と京都府に多く、毎年5月、6月に京都と東京で行われる展示会に出展します。

「良いひな人形は、実際の価格以上に仕上がっている。お客様にはできる限り良いものをお届けしたい」と三好さん。父親である先代の仕事を手伝う中で養われた目が、商売の要になっています。

miyoshi8

雑貨にも力を入れてます!

三好堂では近年、節句商品に加え、手作りの和の雑貨も販売しています。東京のギフトショーやインターネット、口コミ、普段の生活も含め、気になる商品があったらどんな物でもメーカーと直接、交渉をするのだとか。店に並ぶのは、どれも三好さん夫婦の目利きにかなったものばかりです。
三好さん夫婦はそれぞれ違った“目”で良い商品を見極めています。男性向け雑貨を担当する三好さんは「いいものは、形として美しく機能性に優れている」という信念のもとに探しています。一方、「作っている人の手元が分かると安心する」と女性向け雑貨担当の和加子さん。消費者目線になって「手に馴染む」ものを探しています。

miyoshi9

例えば、柔道着や酒屋の前掛けを使った店名入りのトートバック。小さいメーカーと一緒に商品開発もしています。和加子さんは「一緒に商品を考えることが楽しい」とうれしそうに話してくれました。

miyoshi10

宮城県の女性職人が作るお香は、口コミで評判を聞きつけて直接仕入れの交渉をしました。「ほかにはない、いい香りがする」と和加子さんは言います。

時代が変わっても、変わらない目で見つめる

「良いものを見つけるには時間がかかる」と三好さん。「なるべく東北地方の良い雑貨を店に置きたくて探しているが、こればかりは運だから」と難しさを話してくれました。

miyoshi11

際物のニーズはこれからも時代と共に変遷するでしょう。三好堂は、商品が変わっても時代に左右されない“目”を持って商売を続けてきました。それは「お客様に良いものをお届けしたい」という変わらない信念があるからなのだと分かりました。

大学生になって、一人暮らしを始めてから年中行事を意識せずに過ごすことが多くなりました。行事自体を見ても、形式は守られているが、そこに込められる意味や思いはどんどん薄れているように感じます。取材を通じて、いろいろなものが効率化する現代社会にも忘れてはならないものがあると教えていただきました。

野上貴野上貴山形大学4年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
next_action

株式会社 三好堂
http://www.miyoshido.a...
住所仙台市青葉区中央二丁目2-29
電話番号022-261-2361
営業時間10:00~18:30
定休日不定休