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イケ社

この道39年のベテラン社員が伝授!営業の武器は雑談にあり!?「瀬戸屋」

野上貴 野上貴
2,205 views 2014.12.22
野上貴 野上貴 山形大学4年(執筆当時)
気温もぐっと下がって、お鍋がおいしい季節です。キムチ鍋に寄せ鍋、ミルフィーユ鍋…。お気に入りのうつわによそって食べると、一層おいしい。ハフハフと熱々のキムチ鍋を食らいつつ、ふと、「この皿はどこで作られ、誰が私たちの手に届けているのだろう?」と疑問を持ちました。解決すべく訪れたのは、卸売会社が軒を連ねる若林区卸町の一角。食器専門商社「株式会社 瀬戸屋」にお邪魔してきました。

会社概要

1949創立の瀬戸屋は、食器を専門に扱う商社です。全国各地の有名な窯元や町の小さな工房の和食器、大手メーカーが作る洋食器を仕入れます。扱う商品数は5000点以上。土鍋などの季節もの食器や、有田焼などの焼き物が主力商品です。

仕入れた商品は、宮城県内はもちろん、北海道から北関東地方の三越や東急、藤崎などの百貨店、イオンやイトーヨーカドーなどの量販店、ヤマザワなどの地元スーパーに卸売りします。取引した店と継続して商談を続ける、いわゆるルート営業をしています。

また、本社の3階にあるショールームでは、商品の直接販売もしています。

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仙台の企業魅力3つ

東北唯一!食器のスペシャリスト

食器を専門に扱う商社は全国的にも珍しく、東北地方では瀬戸屋1社のみ。専務取締役の大江昌司さんは「和食器業界は、産地によって焼き物の種類が異なるので、大手総合商社が入っていきにくい」と話します。有田焼や萩焼など焼き物それぞれに歴史や特徴があり、それを知らないと商談がうまくいかないそうです。手間の割に、大きな利益が得られないこともあり、あらゆる商品を取り扱う総合商社がなかなか参入してきません。

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食器を専門に扱うから、それだけに力を注いできました。「食器の勉強は歴史の点の部分をかいつまむ作業」と大江さん。食器に関することをまとめた本が少ないため、取引先の専門家や職人から直接、話を聞くことで地道に知識を深めてきました。

商談の武器は“雑談”?

商品を卸す際、取引先の百貨店や量販店の要望に合うものを提案します。「百貨店は高級志向だから、この食器」というように、店の品格や地域に合わせた商品選びをしています。
「どの取引も共通して意識するのは女性目線だ」と大江さんは話します。消費者の9割は女性です。女性は手が小さいため、それに合わせた料理を取り分けやすいものを基準に商品を勧めています。

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大江さんが、商談で大切にしているのは「雑談」です。雑談のネタは、窯元に長年携わる職人から直接聞いた、焼き物の歴史や特徴、製法です。「佐賀県の伊万里焼は、実は有田で作られて伊万里港から出荷したからそう呼ばれている。だから有田焼と使っている土が一緒なんです」「英国食器メーカー、ウエッジウッドの創業者はダーウィンのおじいさんなんですよ」。飛び出す雑学は洋の東西を問いません。

「食器の持ち方にもコツがあるんだよ」と大江さん。

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食器業界ではお皿をこのように持つそうです。「こうやって持つと絶対におっことすことがないだろう」。これもまた営業の現場で教わったことです。
大手百貨店の取引で、総合商社との競争の中、毎年平均3割近くの商談成立を受けていた秘訣が“雑談力”にありました。大江さんにとって、現場で見聞きしたことが、取引先から信頼を得る、商談の大きな武器になっています。

“会社の財産”を後輩へ引き継ぐ

勤続39年、会社屈指のベテラン営業マン・大江さんが現場をまわって見聞きした雑学はいわば”会社の財産”。それを後輩へ引き継ぐことも大切な仕事です。日常業務や昼休みを使い、これまで蓄えてきた食器の知識や知恵を、後輩社員へ残しています。その時の武器もまた、「雑談」です。「つまらない話にならないように工夫している」と大江さん。「これってどう思う?」と後輩に投げかけるなど、会話の中から自然と知識が身に付つくように伝えています。

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また、休日に後輩を福島や山形など隣県の焼き物の産地へ、連れて行きます。「普段は経費の問題もあり、一人で出張することが多いから、なかなか現場を見ることができない後輩のために自分の見聞きしたことを伝える機会をつくっています」と大江さん。

見学が終わったら、食事やお酒を振る舞います。楽しみながら食器のことを自然と身に付けてほしい。親心がたっぷりの”研修旅行”です。「遊び半分、仕事半分。どうせなら興味を惹いて教えないと」と大江さんは恥ずかしそうに笑いました。

ブランドイメージを守っていく

近年、結婚祝いや出産祝いなどお祝い事のお返しに食器ギフトを送る文化が薄れたことで、百貨店の売り場面積が減少しました。取引量は、全盛期の半分以下だそうです。

「これまでと売り方を変えていかなければ」と大江さんは語ります。食器のみを取り扱う、これまで売り方も見直しています。エプロンやランチョンマット、コースターなど、食に関係する和雑貨も取り扱うようになりました。

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最近は、百貨店偏重の取引も見直しています。さくら野百貨店内や宇都宮市のインターパークなどのセレクトショップと取引を始めました。また今年は、長崎県で行われた「波佐見焼(はさみやき)振興協会」にもイベント参加しました。

「百貨店など、これまでの取引先から信用される瀬戸屋のブランドイメージを保ちつつ、新たな販路での商売を模索していきます」と大江さん。今日も後輩と何気なく会話を交わしながら、そっとブランドイメージの基となる”会社の財産”を引き継いでいます。

大江さんに趣味を伺ったところ「若い頃は鉄ちゃんでさ。電車に乗って日本中を旅していたんだ」と返ってきました。全国各地を見てまわり、その土地の特産品の魅力に直に触れてきたそうです。それを聞いてハッとしました。大江さんが”現場”大切にしている理由はここにあったのか。
 大江さんの仕事の哲学は、実は趣味や生活習慣と深く結びついているな、と気が付かされました。自分にはそんな趣味や習慣はあるのだろうか?この取材を機に見つめ直してみたいと思いました。

野上貴野上貴山形大学4年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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株式会社 瀬戸屋
http://www.setoya.co.jp/
住所仙台市若林区卸町2-15-7
電話番号022-232-0135