記者(個人)

「1対1」でできること

金森なつ実 金森なつ実
69 views 2014.03.02

 震災で親を失った子どもの家に、週に1度、家庭教師のお兄さんやお姉さんが訪ねてくる。子どもの年齢は、小学生から高校生までさまざまだ。子どもたちにとって、その時間は、悲しみで失いかけていた「勉強したい」という思いを取り戻してくれる、かけがえのないものだ。
 
 この家庭教師を派遣しているのは「セレクティー」。現在仙台市内に7教室を構える「家庭教師・個別教室のアップル」を経営する。社長の畠山明さん(44)は、震災遺児支援を始める際、アップルの特徴である「生徒1人に対して、先生1人」の「1対1」の個別指導法にこだわった。

▲遺児支援への思いを語る畠山さん=仙台市青葉区

 「1対1」の指導法によって、子どもとの信頼関係が生まれ、学習面だけではなく、震災で傷ついた精神面も同時にサポートできる。家庭教師のお姉さんが楽しそうに大学に行く姿に刺激を受け、体育教師になるという夢を持って受験に励んだ孤児の女子高校生もいた。

 東日本大震災による津波で、気仙沼市にある畠山氏の実家は被害を受けた。江戸の安政年間から150年ほど続いていた家業は、その被害が理由で廃業。店と地元地域は長い間繋がりを持っていたのに、それをゼロにしてしまうのは非常にもったいないことだと畠山氏は感じたそうだ。

 それに加えて、畠山さんの父親は、親を亡くしたことで進学を諦めたという過去を持つ。「何かうちの会社でできることはないかと考えたんです。親を亡くした子たちに、私の父親と同じような状況になってほしくない。」昔からの繋がりを利用して、遺児を紹介してもらったのが震災遺児支援のはじまりだった。 

 そのような経緯のもと、畠山氏は現在も支援を続けている。「私がこだわるのは1対1です。それはこれからもずっと変わりません」。畠山さんは語る。一貫して同じことをずっと続けてきているという自信が、今後もずっと同じクオリティでサポートを続けていけるという自信にも繋がっている。「これからも、最後の1人が大学に入るまで、支援は続けていきます」

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この記事を書いた人

金森なつ実
金森なつ実
東北大学3年
インターン生の金森なつ実です。東北大文学部で日本語の研究をしてます。祭りのために毎年帰省する生粋の祭りっ子です。ぽくないとよく言われますがダーツやってます。