記者インターン

【記者インターンシップ】学生たちが体当たりで取材した仙台の中小企業「創栄出版」

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378 views 2014.02.24
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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。3月5日から春の回が始まるのを前に、昨年8月と10月に参加した学生たちが仙台の中小企業や団体を取材した記事を本日から10日間連続で紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながらチームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪

記憶をつなぐ自費出版

「人は誰もが物書きになれる」
 創栄出版(仙台市若林区五橋)社長の新出安政さん(71)は、創業以来41年間、力を入れてきた自費出版への思いをこう表現する。これまで書き手や語り手たち1万人と出会い、思いや体験がつづられた3100冊の本を世に送り出してきた。

▲創栄出版から自費出版された数多くの本に囲まれて微笑む社長の新出安政さん=仙台市若林区五橋、同社内の「あゆみの図書館」

3歳で終戦を迎えた新出さんは、幼いころから数多くの戦争体験を聞かされて育った。悲惨な記憶の数々に、「本として形に残し、後世に伝えていかなければいけない」と強く思った。市井の人々が自ら書き記すことが大切だと考え、自費出版業を興した。

東日本大震災から約半年後、新出さんが自ら企画、編集し、『あの日のわたし―東日本大震災99人の声』を出版した。全国から震災体験を募り、99話を収めた。「100人目はあなたに語り継いでほしい」との願いを込めている。それぞれの記憶の文は、人々が語り手となり、書き手となり、そして読み手となって、後世に受け継がれていく。「書き残すことで、生きた証が残る」。新出さんはそう信じる。

「本にしたことで、自分の足跡を残せた」と話すのは、仙台市内の主婦齋藤康子さん(79)だ。当時1歳の次男を事故で亡くしたのを機に文章を書き始めた。齋藤さんは、「書くことで自分の内面を見つめ、強く生きようとする決意が生まれた」と振り返る。

2年前、夫の死に寄せた追悼文を新出さんが目にした。温もりのある文章に、新出さんから自費出版を勧められた。「あなたの文章は、読み手の共感を呼ぶはず」。昨年、これまで執筆してきた文章を47編に厳選した『さんさ時雨』を出版した。

新出さんは、自費出版を「生き様を形にすること」とも表す。本になったひとつひとつの「生き様」に、読み手は自分を重ね合わせ、時には生きていく道しるべにする。

「便利で物にあふれる一方、忙しく、人とのつながりが希薄になった現代。生きる意味に向き合い、他者の生き様に触れる機会が減っている。その手助けをしたい」。それぞれの人生を一冊の本にしてきた新出さん。これからも自費出版を通して記憶をつなぎ続ける。人々の心を豊かにすると信じて。

河北新報社インターンシップB班
井上 健人(日本大 3年)
渡辺 裕也(東北学院大 3年)
阿部 梢(東北大 3年)
藤井 かをり(中央大 3年)
※名前をクリックするとその人の個人原稿が見られます。
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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪