モニター会で感じた人気のヒミツ「パンセ」
大学生が記者となり、さまざまな業種の会社や商店など、仙台の中小企業や団体を取材し、紹介していきます。「イケてる会社」とは、新しい取り組みを行ったり、人材育成に力を入れたり、常に挑戦を続ける 「魅力ある企業」のこと。若者の視点で地元企業の魅力や強みを見つけ、さらに、現在抱えている課題や将来のビジョンにも触れることで、その会社の「今」を伝えていきます。
モニター会ってどんなことするの?
モニター会では、店頭やホームページで参加者を募り、人気商品や新作のパンを実際に試食してもらい、味や価格などを評価してもらいます。「石窯パン工房パンセ」の独立店舗7店で年1回ずつ、木曜の定休日を利用して実施しているそうです。
遠見塚本店におじゃますると、すでにスーツ姿の男性が!一番乗り?と思ったら、なんと、社長の菊地肇さん。社長自ら、ほぼ全部のモニター会に参加するそうです。この会をとても大切にされていることが伝わってきます。
次々に参加者が集まってきました。この日はすべて女性で総勢30人ほど。パンセのパンが大好きなリピーターから友人の誘いで初めて参加したという人まで様々です。
菊地社長からモニター会の趣旨が伝えられます。続いて遠見塚本店スタッフが自己紹介。気取らない挨拶で緊張気味の場が和みます。
参加したみなさんと直接、話をしやすいように、菊地社長をはじめ、店長や販売チーフ、製造スタッフがテーブルの輪に一緒に座ります。
いい香りの焼き立てパンが続々!
いよいよお待ちかね!パンセ自慢のパンが次々と配られていきます。商品ごとに材料へのこだわり、作り方の工夫なども説明されます。
試食するパンは一口サイズではなく商品まるまる1個!食べごたえ満点です。食パンの場合はそのままとトーストしたものの2切れを食べ比べ。バターも用意され、いろいろな食べ方が体験できます。
この日は8品のパンが用意されました。それぞれに『見た目』『味』『価格』などチェック項目にそって、見て、食べて感じたことをみなさん、真剣に記入していきます。
お店側のご厚意で、取材チームも試食させていただきました。学生記者こずえ、実はパンが大好きなのです♪
バターの香りを漂わせながら運ばれてきたのは、焼き立ての個性的なカタチのパン。バターをたっぷり使った特製あんぱんです。中のあんこがホクホクで、おいしい!
「このあんぱんにさらにバターを付けて食べても、もっとおいしくなりますよ」との説明があり、リッチな味わいに参加者もうっとりです。
製造スタッフが試食中のパンの焼き型を見せてくれました。使いこまれたプロの道具を間近で見ながらパンの説明を受けると、会場から「なるほど~」と声が上がりました。
お客様に喜ばれていること、または、改善したほうがいいところなどを直接聞くことができる貴重な機会です。そして何より、パンを召し上がって笑顔になる様子を間近で見られるのがうれしいです。
モニター会は社員研修でもある
モニター会の意義について、本部課長の細野亨さんに聞いてみました。
細野さんは、社員と定期的に面談をしたり、社員の希望を集めて研修を企画したり、社員が働きやすい環境を整える業務を担当しています。
モニター会は社員にとって研修のひとつなんです。
特に日頃、お客様との接点の少ない製造担当のスタッフがモニター会で「生の声」に触れることで、お客様が「どんなことを思ってパンを買い、食べてくれているのか」を知るチャンスになる。さらに参加者と会話することを通じて、通常業務中でもお客様に積極的に声を掛けられるように練習も兼ねているそう。
パンも生きているイーストを使って作るでしょ。だから、お客様の言葉も、直接聞いたほうがいいんですよ。お客様の「生の声」は私たちにとって、何よりの活力になるんです。
お客様のあたたかくも厳しい指摘が、今後の改善に結びつくこともたくさんあるそうです。
特別な時間が過ごせる場所に
おいしいパンがあるだけではなく、パンセに来るだけでワクワクしてもらいたい。
その信念は普段の接客にも表れています。パンを購入したお客様にコーヒー1杯を無料サービスしているのもそのひとつ。夏にはレモン水や麦茶など冷たいドリンクも用意しているとか。
店内にはイートインスペースもあり、購入したパンを飲み物と一緒にすぐに食べることができます。地域のみなさんの憩いの場、コミュニケーションの場にもなっているそうです。
商品に込めた思いを「見せる」
ただ、おいしいだけでは、お客様には満足していただけないと考えています。パンが作られる過程や、作り手の思いを「見せる」のも大事だと思います。
「出来立てのおいしさを味わって食べてもらいたい」という思いから、人気商品の『牛肉ゴロゴロカレーパン』は1日に50回近くも揚げ立てを店頭に並べています。
モニター会でも、揚げ立てアツアツのカレーパンは大好評。みなさん、夢中でかぶりついていました。
そのカレーパンを頬張りながら、オレンジ色の包装紙が目に留まります。手書きの文字がいい味、出してます。
実は、この包装紙は社員がデザインしたものなんですよ。
なんと、この文字を書いたのは、普段はパンを製造している石巻本店の店長さん。担当業務にとどまらず、自分の得意分野を生かして、いろいろな仕事に取り組んでいるそうです。そんなふうに一人一人が積極的に活躍できる雰囲気が、パンセの温かい雰囲気に表れているのではないかと感じました。
店内の手書きのPOPや売れ筋ランキング表など、こだわりは尽きません。
(上記ランキングの価格は2013年11月当時のものです)
みんなを笑顔にするパンを目指して
2時間ほどのモニター会も無事に終了。いつも食べているパンについて普段は、なかなか聞けない話を聞くことができ、おなかだけでなく心も満たされ、みなさん、いい笑顔です。最後は感謝の気持ちをこめて、スタッフ一人一人がお礼の言葉とともに参加者にお土産を手渡し。続いて全員で店の外に出て、駐車場を出る車の最後の1台までお見送りする姿がありました。
「パンセ」とはフランス語で「気高い、崇高な」という意味なのだそう。たくさんのお客様に笑顔になってもらえるように、地道な努力を欠かさず、情熱を持って仕事に取り組む、そんな「気高い」姿勢が「石窯パン工房パンセ」の人気につながっているのだと感じた日でした。
資本金 | 3,000万円 |
住所 | 〒983-0005 宮城県仙台市宮城野区福室字明神西12番地 |
電話番号 | 022-258-1555 |
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