安全安心な卵と無添加プリンを仙台から全国にお届け!「花兄園」
そんな中、シンプルイズベストな商品を見ると、作り手の自信を感じてしまう私。今回の取材先は、安心安全な卵と、その卵を使った商品を販売している会社です。何やら卵をふんだんに使ったプリンが人気なのだとか。さっそく食べに…いえ、取材してきます!
花兄園って、こんな会社!
「花兄園」は、仙台を代表する桜の名所のひとつ、太白区の三神峯公園の近くに本社事務所を構えています。「無添加プリンと卵の専門店」として、安心安全のエサで育てた健康な鶏が産んだおいしい卵と、その卵を使った無添加のプリンやマヨネーズなどオリジナル商品を販売しています。
本社工場直売所のほか、仙台市内のスーパーやララガーデン長町店などにも出店。また、洋菓子店にもお菓子の材料として卵を卸しています。宮城県大和町と川崎町に養鶏場、岩手県内に養鶏場とGPセンターという流通機関があり、毎日新鮮な卵を産地直送しています。
子どもや孫に食べさせたい!安心安全な「花たまご」
「花たまご」の最大の特長は、安心安全であること。鶏は、雛のときから農薬不使用(PHF)かつ非遺伝子組み換え(non-GMO)の飼料で大切に育てられます。
社長の大須賀木(おおすが こだち)さんは若いころ商社に勤務し、家畜の飼料を配合する業務を担当していました。その後、商社を退社し、昭和50年に「花兄園」を創業。以来、「自分の子どもや孫には、安全な飼料で育った鶏が産んだ卵を、おいしく食べてほしい」と、飼料にこだわった経営を続けています。
「飼料の安全性は、一般の消費者には届きにくいメッセージかもしれないけど、少しずつでも知ってもらえたらうれしい」と常務の大須賀裕(ゆたか)さん。「そのために、自慢の卵を使った商品を積極的に売り出していきたい」と話します。
例えば、花兄園の代表商品である「花兄園プリン」は自社の卵を使って「子どもにも食べてもらえる製品を作ろう」と考えたことから生まれました。卵、牛乳、砂糖、生クリームだけで作る、完全に無添加のプリンは、花兄園の名を全国に広める旗頭になっています。
無添加プリンはハイテク製造室で作られていた!
裕さんの案内で、プリンや焼き菓子の製造室を見せてもらいました!
衛生面を考慮し、帽子、マスク、滅菌ガウンに身を包みます。
製造室は「陽圧室」になっています。陽圧とは外部より内部の圧力が高いこと。
「圧力によって外気が入りにくく、ほこりや雑菌の侵入が防げるので、製造室内を清潔に保つことができます」と裕さん。庶民的な直売所の奥に、こんなハイテク設備があったとは!!
さっそくエアシャワー室に入り、噴射される空気によって細かいほこりを落とし、いよいよ見学スタート。
製造室では「花兄園プリン」作りの真っ最中。3人の女性スタッフがてきぱきと作業しています。
自社農場から毎日、新鮮な卵が届きます。
「なめらかな口触りにするために、プリン液を丁寧に濾(こ)すんです」と裕さん。
最初は目の粗いザルを通します。
目の細かいペーパーを通して、さらにプリン液を滑らかにします。
プリン液を型に入れたらスチームオーブンへ。低い温度で時間をかけてじっくり蒸し焼きにしていきます。ふわりと香る卵の甘い匂いはここから来ていたのか!
無添加プリンを作るための“秘密兵器”も特別に見せてくれました。その名も、急速冷却器!
この冷却器に入れれば、出来立て熱々のプリンを80度から一気に4度まで冷やすことができるのです!「菌が繁殖しやすい30~40度の時間を極力短くすることで、無添加であっても5~6日はおいしく味わうことができるんですよ」と裕さん。
おかげで遠方からのお取り寄せなども可能になり、地元のみならず、全国で愛されているそう。
「おいしいプリンは世の中にいくらでもあるけど、花兄園のプリンは、新鮮な卵を使った無添加のプリン。無添加だけど、冷却器のおかげで日持ちがする。それを付加価値として売り出していきたい」。裕さんは自社のプリンに自信をもっています。
ファン拡大中!花兄園ブランド
花兄園では、花たまごを使った自社商品をたくさん作っています。取材中、カメラマンとして同行してくれた東北工業大の小幡くんとともに、プリンを試食させてもらいました!
一番人気はやっぱり「花兄園プリン・オリジナル」(250円)。社長の奥様が以前おもてなし用に作ったプリンが大好評で、商品化につながったそう。卵がやさしく香る素朴な味は、まさに「お母さんの味」です。
「新鮮な卵を使っているから、卵の生臭さがない。それは、卵で商売している自分たちのプライドだよ」と裕さんは力強く語ります。
味のバリエーションが豊かで、抹茶や紅茶などの定番から、季節限定まで常時10種類以上の味があります。取材当時(3月11日)では限定商品として、春の味「イチゴ」、そして「ホワイトチョコ」を販売。「ホワイトチョコ」はホワイトデーに狙いを定めて販売したそうです。
スイーツ男子・小幡くんも役得!
牛乳ではなく練乳とココナツミルクを使った「ブラジルプリン」も人気です(350円~)。味が濃く、食べ応え満点です。「花兄園プリン」が日本のお母さんの味なら、こちらはブラジルのお母さんの味と言えます。
焼き菓子では、シフォンケーキ(260円)をいただきました。新鮮な花たまごの卵黄と卵白をきめ細やかに泡立てることで、ベーキングパウダーを使わずとも、ふわっふわに!ふわふわでありつつ、口当たりはしっとり。おいしいです。
最もリピーターが多いというのが「花兄園マヨネーズ」(380円)。花たまごに一番搾りの菜種油と醸造酢だけで作ったマヨネーズです。もちろん、化学調味料は一切不使用です。卵の風味がしっかりと感じられる素朴な味に、メロメロです。
花兄園の製品はすべて無添加ですが、無添加で使える食品素材を探すのは骨が折れる仕事のようです。例えば「花兄園プリン」の抹茶味では、抹茶にクロレラなどの着色料を加えれば鮮やかで見栄えの良い緑色を保てるそう。使わなければ、少し白く濁ったような色になります。「見映えよりも、無添加であるという点に重きを置く」と裕さんはきっぱり。その実直な姿が信頼を得て、ファンに愛される花兄園ブランドとして成長してきました。
商品は店頭販売のほか、すべて自社サイトのWebショップで購入できます。ファンを全国に広げたのには、このWebショップの存在がありました。
実は、ワカツクの長期実践型インターンシップに参加した東北学院大3年の若木萌乃さんによって、2014年7月にリニューアルしました。花兄園のブランド商品を若者の視点で発信・宣伝したことで、花兄園の名はより全国へ。現在では全国版の情報誌に掲載されたり、首都圏や県外の百貨店で出張販売をしたりと、全国にファンが増えています。
販路拡大とさらなる成長をめざして
花兄園の次なる目標は「Webショップを柱にした営業を確立する」。そのために、Webショップで販売できる商品の幅を広げていきたいと考えています。冷凍保存ができるようになれば、プリンは賞味期限がより長くなり、花兄園ブランドの商品が全国各地で味わえるようになります。しかし、プリンは冷凍にすると、滑らかな口当たりが失われてしまうため、現在、最適な冷凍技術を探しているそう。持ち前の探究心を生かして、販路拡大につなげていきます。
また、4年前の東日本大震災と原発事故の影響で福島県内の農場をすべて失い、鶏肉や鶏卵の生産ができないという厳しい現状があります。鶏肉を販売していた頃からのファンに、「また花兄園の鶏肉が食べたい!」と言われるそうです。
「課題がたくさんあり、いつまでに再建します、と言えない状況。それでも待ってくれるお客さまには頭が下がります。長年のお客さまも新しいお客さまにも、花兄園の商品を届けられるよう頑張ります!」
一斉にふたを開けると、卵のあま~い香りが鼻孔をくすぐります。
「おいしい~!」「口に入れるとなめらかすぎて溶けちゃう!」
花兄園プリンの「紅茶」や「抹茶」が好評でしたが、私の一押しはブラジルプリンの「コーヒー」。甘さの中に、コーヒーの風味が閉じ込められていて、オトナの味です。
でも、やっぱり一番人気は、「花兄園オリジナルプリン」。
「おいしい卵と牛乳の味がする~!」
「子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、みんな好きな味だね!」
さまざまな感想が飛び交い、大試食会は大盛り上がりでした!
無添加で、素材の味を生かす商品から、花兄園自体の良さがにじみ出ているなあと感じました。
卵もプリンも本当においしくて、そして思いがある。頑張っている人がいる。すっかり花兄園のファンになってしまいました。
(終)
資本金 | 5,000万円 |
住所 | 宮城県仙台市太白区西の平1丁目1番3号 |
電話番号 | 022-244-3441、050-3321-8289 |
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