学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

ゲーム業界を仙台から支える「株式会社ピコラ」

いぐみん いぐみん
1,464 views 2018.06.14
いぐみん いぐみん 永遠の大学生
大人から子どもまで日常的に楽しく遊んでいるゲーム。私も友達と一緒にプレイしたり、一人で世界観に没入したりと様々な楽しみ方ができるゲームが大好きで、小さい頃から家族や友人と遊んできました。普段楽しんでいるゲームがどのように作られているのか、仙台でゲーム制作をしている会社はないのか、そう思い探してみたところ…ありました!
株式会社ピコラのホームページを見ると、100万ダウンロードを突破したスマートフォンゲームを作っているとのこと。ますます興味が湧いて、取材を申し込み、会社にお邪魔して代表取締役である金子篤さんにお話を聞かせていただきました!

ピコラってこんな会社

仙台駅から約10分、サンモール一番町のアーケードから徒歩3分!意外にも身近な所でゲームは作られています。
2015年設立のゲーム会社である株式会社ピコラは、ゲームの企画から制作まで幅広い分野を手がけている会社です。有名タイトルの制作・デザインにも関わっています。会社にお邪魔すると、社員の皆さんは集中して業務に取りかかっている様子。社内にたくさんのゲーム機があったり、デスクの上にキャラクターグッズがおいてあったりするところから、ゲーム会社らしさがうかがえます。

ピコラの設立は、社長の金子さんが「ゲーム制作の仕事に就くには、仙台を離れなければいけない」という地元の学生の悩みを聞いたことがきっかけでした。当時ゲーム会社の仙台支社で開発の仕事をしていた金子さんは、仙台でゲームを制作できる環境を作りたいと思い会社を立ち上げました。現在ピコラには17名の社員がいて、そのうち2名は女性です。ゲームクリエイター科がある専門学校出身の人が多く働いています。

picola-12

仙台の企業魅力

クリエイターが職人に徹する環境

picola-13.jpg

ピコラには「クリエイター」と「社長」しかいません。社長以外の役職がなく、管理職もいないフラットな組織です。社長の金子さんは人事総務から営業まで担当しているため、クリエイターはゲーム制作に集中できます。企画があれば、直接金子さんに提案します。「誰でもやりたいことを言えば検討します。新人でもアイデアを提案しやすく、チャレンジすることができます」と金子さん。フラットであることで、風通しの良い職場になっています。

どんな人がクリエイターに向いていますか?と聞いたところ、「ゲームを作る人は、技術力よりも、好きという気持ちがあるかどうかが、大事」と金子さんは教えてくれました。「技術は後から身に着けられるが、ゲームを好きな気持ちが強くないと、作っていても、こだわりや愛情がこもらないために面白くはならない。クリエイティブな仕事は、常に考えてしまうような突き詰める人が向いている」。
金子さん自身も、休みの日にも自然とゲームについて考えてしまうといいます。

少数精鋭でゲームの世界観を作り上げるクリエイター

picola-4-re.jpg

一口に「ゲーム制作」といっても完成までの過程は多岐にわたります。ほかの企業からの依頼を受ける場合には、開発内容と予算について打合せが行われます。コンセプトや目的、ターゲットとするユーザーを決めた仕様書を作成します。そして、デザイナーは世界観を構築するキービジュアルやキャラクターデザインを、プログラマーはシステム設計を行い、実際に制作する過程に入ります。テストプレイによってバグを取り除き、納品・販売されます。
私たちの手に届くまでに沢山の企業が関わっているのです。ゲームの開発は約1年~1年半かかり、大きな企画では予算は億単位になります。

ピコラでは、このような制作の過程の中でも、企画、プログラム、3Dデザイン、2Dデザイン等を担当できる人が在籍しています。社員は17名と少数ながら、なんとサウンド以外は自社で制作可能な環境なのです。
「ゲーム制作会社にとっての“設備投資”は人」と金子さんはいいます。ゲームは完璧な設計図があるわけではないので、仕様書通りに作っても面白くなるとはかぎりません。修正とテストプレイを繰り返していくことで完成させていきます。

様々な業務の内でも、デザインについて聞くと、2Dで制作しなければならないものは、キャラクターの外見、衣装、アイテム、食べ物、背景等数多くあります。それが3D で立体になると、さらにキャラクターの後ろ姿や上から、下からなど様々な角度からのデザインが必要となってきます。まさにユーザーが没入するゲームの世界観の構築を担う仕事です。

海外でも人気!自社開発のゲーム

ピコラは、受託ゲームのほかに自社開発のゲームにも力を入れています。アメコミ風のゲーム「LIMP HEROES」は「アメリカをターゲットにしていたのですが意外な国で人気が出て驚きました。赤道付近の国の笑いにあっていたようです」と金子さん。なんとブラジル・インド・エジプトなどの国々で人気が出ました。12言語で配信されている、頭以外無敵のヒーローを操作して敵を倒してゆくゲームです。

中国やアメリカで人気がでた作品の「ねこのけ」は100万ダウンロードを超えた人気作!かわいいネコをタップして毛玉を集めることで、新たなネコやグッズを集めるスマートフォンゲームです。沢山のかわいいネコによる癒しと毛玉を回収するときの爽快感が魅力。単純な作業だけでなく、ストーリー展開も楽しめます。日本のみならず世界中でも楽しまれているゲームを是非遊んでみて下さい!

picola-7-re

バーチャル空間にダイブ!

picola-15.jpg

今話題になっている「バーチャルYouTuber」を知っていますか?3DCGのキャラクターを、モーションキャプチャーなどの技術を用いて動かし、YouTubeで動画投稿しているバーチャルなアイドルです。YouTubeのチャンネル登録数が180万人を超えるA.I.Channnelのキズナアイなどが有名です。
そんなバーチャルYouTuberに誰でも簡単になれる「バーチャルキャスト」に目をつけ、ピコラでも独自の3DCGアバター「ピコラボ」を制作しました。段ボールでできたロボットのような見た目で、マスコットのような愛らしさがあるモデルです。バーチャル空間で3DCGのモデルによる自社の作品の宣伝等の配信を目的としています。

実際に「ピコラボ」を体験しました!

VR空間を見ることのできるヘルメットを装着し、両手にコントローラーを持った私が動くと、画面内の「ピコラボ」も同じように動きます。私が話すと「ピコラボ」の口も動きます。

picola-9-re

コントローラーで画面内のキャラクターの表情も調節可能です。
びっくりした表情がかわいらしいです。

picola-11-re

VR空間にパネルやカメラ、ハリセンなどのアイテムが出現し、それを持ったり動かしたりすることも出来ます。「ピコラボ」になる、という貴重な体験をしました。
金子さん自らが「ピコラボ」となって配信に参加し、ほかのバーチャルなキャラクターと交流している様子も見学しました。「ピコラボ」くんのこれからの動向も要チェックです。

ピコラの展望。仙台をゲームの中心地へ

「ピコラが目指すのは、メーカーになること」と金子さんはいいます。仙台でゲーム制作の環境を充実させるためには、自社開発の作品を増やし、メーカーとなる力をつけることが必要なのではないか。福岡に視察に行った際、ゲームメーカー企業があることで関連企業が福岡に集まっている状況を見たことで、その思いは確信に変わったといいます。仙台の会社が自社開発の作品を増やし、業界での影響力を強めていくことで、仙台にもゲームの関連企業が数多く集まるようになる。
そのためにもピコラは今後益々自社開発ゲームに力を入れ、そこにビジネス戦略を組み込んでいきたいのだといいます。

picola-12-re

取材当日(2018年5月16日)に配信開始されたパズルゲーム「0-zero-」を実際にプレイしました。シンプルな計算ゲームでつい夢中になってしまいました。この「0-zero-」は、海外市場を狙ったハイパーカジュアルゲーム。「LIMP HEROES 」や「ねこのけ」とは違うアプローチで開発にチャレンジした商品です。
さらに2018年4月、ピコラも含めた仙台のゲーム会社が集まり、業界団体「仙台ゲームコート」を設立しました。「参加企業の中からメーカーとなる企業ができたら嬉しい」と金子さんは話してくれました。

金子社長とお話するなかで、本当にゲームが好きで、作ることが好きだという気持ちが強く伝わってきました。面白いものを生み出すことは簡単なことではなく、本当に好きな気持ちを持つ人が、とことんこだわりを持って取り組むことで、魅力的なゲームが生み出され、私たちはそれを楽しめているのだと思います。
今までゲームをしている時、それが作られるまでの過程など想像したこともありませんでした。今回取材でお話を伺い、こだわりや熱意をもった人々の手によって作られていることを知り、そりゃ面白いに決まっていると感じました。多くの人の思いが詰まってできているゲームをこれからもたくさんプレイしたいと思います。そして、金子さんがゲームへの思いから会社を作り、仙台での制作環境を充実させようとしているように、私も行動し、実際に形にしてゆく実行力を身に着けたいと思います。
いぐみんいぐみん永遠の大学生
文章:古舘凜子(東北大学3年)
写真:小原結(東北大学3年)
next_action

株式会社ピコラ
https://www.picola.co.jp/

この記事を書いた人

いぐみん
いぐみん
「いぐする仙台」のマスコットキャラ“いぐみん”
学生記者のみんなの活動を見守ったり、たまにふらっと取材したりするのが仕事。
趣味は寝ることと、学生記者のみんなの記事を読むこと。
永遠の大学生だけど、それなりに荒波も乗り越えてきてるらしいことが、言動の端々からうかがえる。