学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

土地と地域の独自の思いを受け継いでいく建築へ「株式会社関・空間設計」

いぐみん いぐみん
485 views 2020.12.03
いぐみん いぐみん 永遠の大学生
祖父母が建物のリフォーム業をしているので、小さい頃から建築について興味を持っていました。私は今回が初取材ということで、数ある企業の中から興味があった建築関連の企業を取材してみたいと思い、関・空間設計さんに取材しに行ってきました。建築業の中でも、安心安全な建物をつくる上で重要な、設計の部分を主に行っている事務所です。関・空間設計さんは、「Spirit Of Place」という、その地域に根差した建築というのを大切にする理念を持っていると聞いていたので、それはどういうことかというのも取材前から気になっていました。

関・空間設計ってこんな会社

 関・空間設計は学校や道の駅、保育所などの公共施設や、オフィスビル、銀行など様々な建物の建築設計を行う会社です。実は宮城大学の食産業学群のキャンパスや、東北大学のマルチメディア総合研究棟など、私たちに身近な施設の設計を行っている事務所でもあります。

業務は主に設計業務と監理業務です。設計業務は発注者からの要望を基に、計画を立て、図面におこしていく業務です。これは通常私たちが、設計事務所といえばイメージする仕事ではないでしょうか。しかし設計事務所の仕事は、設計以外も行っているんです!工事監理業務という、施工者に対して、現場で設計図の通りに施工されているかを確認する工程も担っています。

社員は全体で30人おり、20代の若手から60代のベテランまで幅広い世代が活躍しています。近年は新卒を多く採用しており、若手の社員が増えてきているそうです。

今回は設計監理部のリーダーである三浦さんに話を伺いました。普段、建物の設計と工事監理をしていらっしゃる方です。

仙台の企業魅力

土地固有の精神を建築に継承する「Spirit Of Place」

 関・空間設計では、建築を「モノ」としてより、人や地域にどういう影響を与えるかを考えています。つまり、中の人の活動、思い、地域の風土を総合的に考えることを、建築において大事にしており、設計する際に社内で共有しています。

また、建物の発注者だけではなく、建物の周りの関係にも考慮する「地域デザイン」も設計に活かしています。

「地域デザイン」とは例えば、地域住民や、建物、道路、樹木、景色などの周りの環境があげられ、地域住民に対しては声を聞いたり、建築する建物についての説明会を開いたりします。周りの環境に対しては、建築する建物の配置や向き、高さ、見え方などに配慮しています。また、地域に特有の素材、伝統的な建物のデザイン、文化・風景を取り入れることもあります。

例えば、今年完成した、陸前高田市の「奇跡の一本松ホール」は、震災前の白砂青松(はくしゃせいしょう)の景色をモチーフとして取り入れています。音を拡散するために客席のコンクリートをラフな表面仕上げにして砂浜を表現したり、松原や松ぼっくりを想起させる三角形の木製の拡散体を壁面にちりばめています。

その他にも、緞帳には奇跡の一本松を織り込み、音響反射板の凹凸で海の水平線を表現したりなど、工夫を凝らし、風景の記憶を建物に取り込んでいます。

関・空間設計は、その場所にしかない魅力を創り出すことを大事にしているのです。

社員主導での魅力的な職場づくり

 今でこそオフィスは開放的で、社員さんがのびのびと働いているという印象を受けましたが、昔は残業が多く、社員さんは昼夜問わず長時間働いたそうです。また、自分の仕事で精一杯であり、社員同士のコミュニケーションも少なかったそうです。

ですが、ワークショップの実施や労働基準監督署の査察などをきっかけに、社内全体で労働環境を改善する動きが広まりました。また、中堅の社員で構成された、社内の問題を出し合い解決する組織であるチーム「カイゼン」も発足されました。(これによって、月曜日に社内全体でランチを取ったり、無意味な会議を改善したりしたそうです。)これらの改善により、社内がいい方向にむかい、コミュニケーションも活発になりました。

関・空間設計では、設計屋さんであることを活かし、オフィスの内装にも、社内の環境改善の意見を反映しています。

 例えば昨年は、若手中心の「カイゼン若(かいぜんわか)」で、会議スペースを開放的にし、自由に発言しやすくしたり、図面をデータ化し社内のスペースを有効化するなどの改善が行われました。今年はセキュリティの強化や、ドアレバーをハンドル式にしたり、トイレのドアを足で開けられるようにしたりなど、新型コロナウイルスに対応したオフィスへと改善されました。

 この魅力的な職場づくりの一環として、数年前に会社のホームページも大幅に改変されました。私が今のホームページを拝見した時、デザインがきれいで、見やすいなという印象を受けました。デザインを仕事にしている会社のため、きちんとしたデザインのホームページをつくろうという意識と、自分たちの活動を外に発信することで、次の活動につなげられるという目的で行われたそうです。
 これらの働き方改善の一連の取り組みは、仙台市の「四方よし大賞」で評価され、優秀賞を受賞されました。

今後の課題・将来への展望

三浦さんは「様々なところで外とのつながりをつくるのが大事と思うようになってきた」と話していました。

現在行われている、一人一人が企画して、行きたいところに行き勉強するSOP研修や、ボランティア、四方よし大賞の活動を今後強化していくことで、各々の成長や会社全体のレベルアップを図り、視野を広げることができるのではないかと考えているそうです。

また「デザインで評価され、多方面で認められたい」とも話していました。

構造・設備を整え、使いやすい、地域の精神、特性に合致するような建築をつくるために、よりデザイン力を強化し、地域の人々や、客観的に建築業界からも認められるようになりたいそうです。そのために現在、研修や社内の技術力を磨くために設計のやり方の工夫などを通して、様々なところでレベルアップを図ろうとしています。

学生へのメッセージ

「いろんなものをみて、いろんな経験をしてほしい」と話されていました。例えば、海外に行く、外の人と関わるなどして、自分の価値観が正しかったかどうか、若いうちに自分の価値観を変えさせる経験をしてほしいそうです。

 三浦さんにインタビューしたときに、「建築は一品生産で、どんな建物でも過去に作ったことがない。どれとして全く同じものが存在しない」とおっしゃっていました。その言葉に、建物には一つ一つ思いを込められていることに改めて気づき、感慨深くなりました。

関・空間設計さんが設計しているような大規模な建物には、たくさんの工程と手間がかかり、たくさんの人がその建築に携わっています。したがって、その建物には、その分様々な思いや願いが込められているはずです。皆さんも、そういった施設を利用する際には、建物の外観だけではなく、その建物の中身にも着目してみると、新たな発見があるかもしれませんよ。

いぐみんいぐみん永遠の大学生
写真:齋藤美緒 横浜市立大学
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株式会社関・空間設計
http://www.sopnet.co.jp/

この記事を書いた人

いぐみん
いぐみん
「いぐする仙台」のマスコットキャラ“いぐみん”
学生記者のみんなの活動を見守ったり、たまにふらっと取材したりするのが仕事。
趣味は寝ることと、学生記者のみんなの記事を読むこと。
永遠の大学生だけど、それなりに荒波も乗り越えてきてるらしいことが、言動の端々からうかがえる。