学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

国内シェア率ほぼ100%!日本のアニメ業界下支えのトップ「ピー・ソフトハウス」

いぐみん いぐみん
1,172 views 2021.04.08
いぐみん いぐみん 永遠の大学生
 私は今年度の後期に、同じ大学の先輩方のキャリアを聞く授業を取っていました。その時に、山形県内にあるのに国内ナンバーワンのシェア率を誇っている会社の先輩の話を聞くことがあり、自分の地元である宮城県にも同じように日本に誇る技術を持つ会社がないか気になりました。

 そこで今回、宮城県にあるにもかかわらず日本のアニメを作るためのCGのソフトウェアで、シェア率ナンバーワンを誇るピー・ソフトハウスさんに取材する運びとなりました。ピー・ソフトハウスさんは事前にウェブサイトやパンフレットなどを見て、他にも数多くの素晴らしい技術を持っていることがわかっていたので、取材前からお話を聞くのをすごく心待ちにしていました。

ピー・ソフトハウスってこんな会社

 JR榴ヶ岡駅から徒歩ですぐのビルの5階にあります。このビルは、仙台駅東口からつながる大通りに面しているので利便性が高く、他にもたくさんの会社のオフィスが集まっていました。

 代表取締役社長の畠山慶輝さんからお話を伺いました。

 ピー・ソフトハウスさんはコンシューマーゲームのソフトの開発や、独自の画像処理・音声信号処理技術を生かしたコンピューターソフトウェアの企画開発販売を行う会社です。

 コンシューマーゲームソフトとは家庭用のゲーム機のことで、ピー・ソフトハウスさんは大手メーカーの製品のプログラム面の開発を担っています。
また、自社開発のソフトウェア「PSOFT」は、日本のアニメ業界において標準的に使われているコンピューターグラフィックスのソフトウェアです。TVアニメやアニメ映画の製作現場で、幅広く使用されています。

 その他、モバイルアプリの開発や、受託されたソフトウェアの開発も行っています。このモバイルアプリについてはその高い技術力が評価され、Apple製品やSerfaceProの店頭展示品にインストールされているので、皆さんももしかしたら見たことがあるかもしれません。

 ピー・ソフトハウスさんが評価されているのは、日本のスタジオがもとめているようなソフトをつくっているからです。CGソフトウェアは元々海外のソフトしかありませんでしたが、日本とは文化・慣習・環境が異なるため、国内のクリエイター達は苦労していました。
ピー・ソフトハウスさんはそこに着目し、日本人特有の漫画のように手で書いた表現が可能なソフトを世界で初めて制作しました。

 会社は元々、コンシューマーゲームソフトの下請けからスタートしました。しかし、次のソフトを作る間隔が空く上、プログラマーの中にもアニメや音楽など特定の分野に詳しい人が多いことから、会社設立から10年ほどたった2002年に、音・絵の素材をつくることに特化したソフトウェアをつくりました。音関係のソフトウェアでは、一番最初の商品が「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2004」を受賞されるなど、高い評価を受けました。

 ピー・ソフトハウスさんは常に新しいハードウェアに対応したソフトウェアを作っていきたいと調査研究しています。パソコン用として開発したソフトウェアから約10年後には、高速化してきて映像もパワフルになったスマートフォンに、今まで蓄えたソフトウェアの技術が使えるのではないかと考えました。そこで、ソフトウェアでの画像処理・音声信号処理の要素技術に少しの企画を加え、新しくモバイルアプリの販売に着手し始めました。
 
 社員は総勢21人。その多くが男性です。ほとんどが理系の学部出身で、そのうちの8割が工学部の大学院を卒業した方だそうです。実際の仕事場を見学させていただいたのですが、皆さん黙々とパソコンに向かわれている姿が印象的で、研究室のような雰囲気でした。


△仕切りで区切られており、仕事に集中できる環境です

仙台の企業魅力

すきをシゴトに!「クリエイター主導のモノづくり」

 社員は基本的に新卒を雇用しています。
 先ほど紹介したように世界規模で評価されている会社なので、私のイメージでは日本中にいる素晴らしいエンジニアの引き抜きが多いと思っていましたが、そうではないとのこと。

 中途の方を採用すると、コストや高齢化、会社への馴染みといった問題も出てきます。それでは、教育がすごいのか!?というと、そうでもないそうです。

 ピー・ソフトハウスさんの仕事はソフトのプログラミングが基本なので、プログラミングができることが最低限の条件。工学部でもプログラミングを直接学ぶことができるところは少ないので、社員は趣味でプログラミングに親しんできた人が多いとか。

 社員さんはゲームコンテンツに慣れ親しんだ人はもちろん、多趣味であったり、新しい物好きだったりするそうです。畠山さんは「大学で何を学んだのかではなく、この会社で仕事ができるだけの技術を持っていることが最優先」と話されていました。
育てるというより、もともと個々の持っている趣味や特技の技術を活かすことができる「クリエイター主導のモノづくり」の会社なのです。

 また、仙台は学都と呼ばれ学生が多い地域でありながら、首都圏と比べて、優秀な人材を雇うための競争が比較的少ない地域となっています。よって、企業側も優秀な人材を集めやすく、働く側も仙台で世界レベルの仕事を経験することができるため、仙台に本社を構えることは双方にメリットがあるのです。

営業部がない?!?場所を問わないオンラインでの取引

 ピー・ソフトハウスさんの取引の多くは、オファーからミーティング、納品を含めてすべてウェブ上で行われています。畠山さんは「世界中にモノを売るのに場所は関係ないんだよ!」とおっしゃっていました。ソフトウェアというデジタル媒体だからこそ、どこでもオンラインでやり取りが可能です。

 また、ピー・ソフトハウスさんには、営業部が現在存在しません。初めは無理な企画のコンペに参加したり、コンテストに出品したりなど、名前を周知させるための営業に苦労したそうです。

 しかし、開発されたソフトウェアは一つの技術に特化しているため、それを必要としている人たちに目に留まるようになり、営業が必要ではなくなりました。

 さらに、首都圏であれば本来埋もれてしまうものの、地方都市である仙台にあるからこそ常に取引企業から目をかけてもらえるメリットもあります。

学生へのメッセージ


 畠山さんは「学生のうちに、一流の人に触れるべき」とおっしゃっていました。「学校で学ぶだけでは、外部からの刺激を受けることが難しい。だから、ばりばりやっている人の環境におくと、伸びるのではないか」とおっしゃっていました。

 畠山さんのお話を聞きながら、すごいなと驚くばかりでした。それは技術や評価もそうですが、私が予想していた答えと異なる返答が多く返ってきたので、新たなものごとの見方を教えてもらったような気がします。私たちが一般的にイメージする企業像ではなく、独自の視点を持っているからこそ、会社設立30年という短い期間でここまでの実績を持てたのだと思いました。

 しかし、その道のりには、数々の苦労も多くあったそうです。音楽系のシンセサイザーが売れなかったり、営業をたくさん行ったりなど、様々なことに挑戦してきた分、苦労や失敗もたくさん経験していらっしゃいました。私もあと2年、わずかながら学生生活が残っています。成功には失敗が付き物。失敗を恐れず、学生のうちに様々なことに挑戦し成長していければなと思います。

いぐみんいぐみん永遠の大学生
写真:平田みなみ 東北学院大学
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株式会社ピー・ソフトハウス
https://www.psoft.co.j...

この記事を書いた人

いぐみん
いぐみん
「いぐする仙台」のマスコットキャラ“いぐみん”
学生記者のみんなの活動を見守ったり、たまにふらっと取材したりするのが仕事。
趣味は寝ることと、学生記者のみんなの記事を読むこと。
永遠の大学生だけど、それなりに荒波も乗り越えてきてるらしいことが、言動の端々からうかがえる。