テラス

「アンデックス株式会社」三嶋順さん【いぐするテラス】

伊藤 優宏 伊藤 優宏
833 views 2018.06.28

水産×IT事業

2018年5月22日のゲストは、アプリやシステム開発などを手がける、アンデックス株式会社の三嶋順さん。去年2月にもゲストとしてお話しいただいたので、1年3か月ぶりの出演です。
アンデックスが現在、力を入れているのは「水産×IT事業」。今まで漁師の“経験”や“勘”に頼って行われてきた漁業に、IT技術を導入しビックデータを活用することで、さらなる効率化を目指します。
いつものいぐするテラスとは違い、宮城県企業人材支援協同組合(TASUCO)の企業の方々や、仙台市職員なども参加し、にぎやかな雰囲気の中で始まりました。

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なんでもいいから「一番」になる

三嶋さんは、幼い頃からずっと野球をやってきていて、甲子園に3回も出場したことがあるとのこと。がっしりとした体格と小麦色に焼けた肌からも、野球人としての風格が漂います。
高校卒業後は食品メーカーや水産商社に勤め、そこから知り合いに誘われてITのベンチャー企業へ転職。従業員10数名という少数精鋭の環境の中で、営業や企画をはじめ、さまざまな業務についてスキルを身につけました。そして2008年、41歳のときに「アンデックス株式会社」を起業。会社を立ち上げる際に掲げたのは、地域で信頼される会社の「一番」になるということでした。
「クラスでも学校でも、どんなに小さくニッチなところでもいいから、まず一番になる。そうすると、頭1つ出るから周りに気づいてもらえる」と熱く語る三嶋さん。幼い頃からやってきた野球を通じて得た貪欲さが、“一番になる”という強い想いにつながっているのかなと思いました。

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地域のために何かしたい

「会社を立ち上げてから、決して順風満帆というわけではなかった」と話す三嶋さん。大きなピンチは2回訪れました。
ひとつはリーマンショックの時。起業直後に大きなダメージを受けました。そして、東日本大震災。津波で実家が流されてしまった社員の方もいたそうです。なんとか立ち直り、会社として営業を続けていく中で、「地元企業として地域のために何かしたい」という想いが強くなっていきました。そして注目したのが、水産業でした。
「農業はITの技術が少しずつ導入されてきているけれど、水産は漁師の経験や勘に頼って行われている部分が多い。ITを導入して技術を向上させることで、復興にも繋がるのではないか」。
こうして生み出されたのが、水温を計り、一定の時間ごとにクラウド上にデータを送ることができる「ブイ」。データを蓄積することで、より正確に海の状況を把握することができるようになるので、漁師が現場に出向く回数を減らすことに繋がります。将来は水温だけでなく、塩分濃度などもわかるようにしていくことで、さらに正確な分析ができるようにしていくそうです。

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すべては人との巡り合わせ

三嶋さんはこれまでの人生を振り返って、人生の分岐点には必ず人との出会い、関わりがあったといいます。
「それまでまったく知らない世界だったIT業界に入ったきっかけもそうだし、リーマンショックや東日本大震災で会社が潰れそうになったときも、支えになったのは人の力」。
IT技術を使って水産業で何かしたいけれど、何をしようかと考えたときも、水産とITについて調べているうちに、偶然、はこだて未来大学の教授と出会い、これまた偶然野球で意気投合し、その技術を教えてもらったことがきっかけでした。
「みんなも頼れる人を見つけるんだぞ」という三嶋さんの言葉には、ずっとやってきた野球から今の仕事に至るまで、たくさんの人と巡り合い、支えあって生きている、そんな想いを感じました。

取材を終えて

講演が終わった後、TASUCOの方や市職員との交流会があり、そこでお話しした人事部の方の「今回の講演ではいろいろな仕事の話が出たけれど、要は人との出会いの話だと思った」という言葉が印象に残っています。「人との出会いの話」というところに、すごく共感しました。
私は、大学3年になり、自分の将来について真剣に考えていく中で、いろいろな人と会って話を聞いてみようと思い、「いぐする仙台」の学生記者になりました。いろいろな人の話を聞く中で、自分の「軸」というものが見つかるのではないかと思ったからです。
今回のいぐするテラスでは、人との出会いの大切さを改めて感じることができました。人と関わっていく中で、自分ってこういう人間なんだ、こういうことが好きなんだ、と見えてくるものがあると思います。これからもいろいろな人と出会い、お話を聞いて、自分の人生について考える契機にしていきたいです。

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取材協力:アンデックス株式会社宮城県企業人材支援協同組合(TASUCO)
文章:伊藤 優宏(東北大学3年)
写真:寺尾 まりえ(ワカツク)、安部 静香(いぐする仙台)

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伊藤 優宏
伊藤 優宏
よく、インド人ですか?と聞かれますが、れっきとした日本人です。色黒なだけです。よく、ハワイにでも行ってきたの?と聞かれますが、日本にいます。色黒なだけです。でも実はハワイに行ったことがあります(笑)
旅行が好きです。世界一周するか、ロードバイクで日本一周するかで迷っています。あと、映画は毎年2回見に行くほどのコナン好きです。今日も話のネタ探しに奮闘中。