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【地質調査】日本で2社だけ!? 安全を支えるボアホールカメラ「株式会社ボア」

長崎 陽平 長崎 陽平
93 views 2017.12.07
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長崎 陽平 長崎 陽平 東北大学
自分の知っている世界と離れたものに触れたいと思い、取材先を探していたときに見つけた株式会社ボア。地質の状態を確認するために、岩盤を円筒状に採掘する「ボーリング調査」で、孔(穴)の中を撮影するカメラ(ボアホールカメラ)を作る会社のようでした。
これこそ僕が探していた会社だと思い、早速調べてみると、現在このカメラを専門に事業を行っている会社は日本で2社だけとか。ところが、それ以上のことは理系の僕にも全く分かりません。果たしてその実態とは…

ボアってこんな会社

仙台市から高速道路を走り、1時間程で到着した栗原市。

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仙台市内とは打って変わって、広々とした土地に位置する株式会社ボアさんの研究所。巨大な工場をイメージしていたのですが、あれ…建物が思ったより小さい。本当にここで作っているのか?という疑問を持ちつつ取材が始まりました。

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ボアの由来は、ボーリング孔(穴)のことを「ボアホール」と呼ぶことから。ボアの事業は、ボアホールカメラの開発や貸し出しなどです。一般的なボーリング調査では、削孔して(穴を開けて)岩石を採取するだけで、カメラの撮影は必要ありません。ボアホールカメラが使用される場面は、原子力発電所やダムなどの“絶対に事故があってはならない場所”の地質を確認するとき。岩石を採取するだけでは分からない地質の構造を写真で見て確認することができるほか、方位磁針がついていて地層や割れ目の向きを調べることもできます。

仙台の企業魅力

わずか6人で開発から営業までを担う少数精鋭の会社

取材に応じていただいたのは、社長の佐々木孝幸さん(60)、専務で営業を担当している米光功雄さん(47)、研究開発部主任の三ケ田伸也さん(32)の3人。驚くことに、社長を含めて6人で会社を回しているといいます。
会社を立ち上げ、成長させてきた佐々木社長。米光さんは、主に公共事業を請け負っている建設会社を取引先として、埼玉を拠点に全国で営業をしています。ボアホールカメラの開発、制作やメンテナンスは、三ケ田さんが1人で担っています。本来、ソフトウェアの開発が専門の三ケ田さん。「専門外の制作などもやらないといけないのが大変」と言いますが、充実しているように見えました。
社員の人数は少なくても、一人ひとりが担当分野を持って働くことで、全体として会社が成り立っています。

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△左から米光さん、三ケ田さん、佐々木社長

ボーリング調査からボアホールカメラへ事業転換

15年ほど前までは「佐々木ボーリング」という社名で、ボーリング調査を主に行っていた佐々木社長。事業転換のきっかけは「ボアホールカメラの方が儲かるから」。収益性の高い事業にもかかわらず、現在国内で専門にしている会社はわずか2社。なぜ他の会社は参入しないのでしょうか?
それは、初期投資の費用が高い上に、ボアホールカメラを使う必要のあるダムなどを建設する機会が減っていて、リスクが高いからです。ボアホールカメラ1セットあたりの金額は約400万円。これを各地の建設現場に貸し出し、事業として成り立たせるためには、15台ほど所有する必要がありました。
新たな事業を軌道に乗せるため、初めはボーリング調査のついでに、ボアホールカメラの仕事を無料で行ったといいます。こうした工夫のおかげで会社が認知されるようになり、今ではボーリング調査の会社ではなく、ボアホールカメラ専門の会社へと事業転換に成功しています。

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△ボアホールカメラ1セット

ボアホールカメラ開発の現場に潜入!

ボアホールカメラの開発や制作をしている現場も見てきました。
工場で大きな機械を使っているところを想像していましたが、お話を聞いた部屋の奥にあるコンパクトなスペースでした。

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△最新のボアホールカメラは、タッチパネルで操作がより便利に!

ボアホールカメラは、大まかにプログラムのソフトウェアと、機材自体のハードとの2つに分かれています。電子部品は数年経つと、必要な部品が手に入らなくなってしまうため、メンテナンスが大変だといいます。以前は別の業者からボアホールカメラの機材を買っていましたが、現在はすべて自社で開発しています。最新の機材では、プログラムをタブレット端末に入れることで、後付けや改良をしやすくしました。

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ついに対面したボアホールカメラ、意外に小さい。これで、最深地下750メートルまで観測できると聞き、驚きました。

インターネットで検索しても、ボアホールカメラについて詳しくは分からず、ほぼ知識ゼロの状態で取材に臨みました。しかし、カメラの説明や会社の様子を聞くのはとても楽しく、あっという間に時間が過ぎました。今までの中小企業のイメージは、大きな会社の関連会社か、規模があまり大きくないというようなものでした。しかし、原発やダムなどの地質調査のためのカメラという、日本でも数少ない安全を守る仕事をしていることを知り、中小企業に対するイメージが変わりました。
取材をしていく中で、佐々木社長の人柄に強く惹かれました。ボアホールカメラの値段が高いために、資金繰りにはいつも悩まされていたそうで、大変だったことはうかがえました。それでも「困難はあったかもしれないが、難しいことに突き当たることを楽しんできたから、困難と思ったことはない」と言う佐々木社長。普段、大学で楽ばかりしようとしている自分の心に、この言葉は突き刺さりました。
聞くことのすべてが新鮮で、頭をフル回転させっぱなしでした。新しいことを聞くたびに、また疑問が広がり、取材して良かったと思いました。
長崎 陽平長崎 陽平東北大学
文:長崎陽平(東北大学2年)
写真:稲葉史恵(ワカツク)
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株式会社ボア
http://www.boanet.co.jp/

この記事を書いた人

長崎 陽平
長崎 陽平
東北大学
富山出身、いつまでも食べ盛りの大学生。仙台は安くて、食べ物の量の多い店がたくさんあるので、誘惑と戦う日々を過ごしています。目標は仙台のラーメン店制覇!最近は自炊に奮闘中。