記念日を彩り、地域の人々に幸せを届けるアルパジョン「益野製菓」
アルパジョンでは一年中、ケーキとサンタクロースがお客さんをお迎えしています。私の祖母は、アルパジョンのケーキをよく食べさせてくれました。馴染み深い味、多くの人々に愛されるケーキ屋として、一つの企業としての秘訣は何か。幼心を思い出して、取材に行ってきました。
益野製菓(アルパジョン)ってこんな会社
アルパジョンは、石巻市に総本店を含めた2店舗と、仙台市内に2店舗、岩沼市に1店舗と計5店舗を展開する洋菓子店。来春には、6店舗目となる大河原店がオープンする予定です。店舗は、宮城県内の洋菓子屋では類を見ないほどの大きさで、外観にもこだわっています。
店内には、季節限定商品などを含めておよそ200点もの商品が並びます。一度来ただけでは買いきれない量、また来たいと思ってもらえるサービスを提供しています。
社名は「有限会社 益野製菓」、洋菓子店としては「アルパジョン」といいます。前身は、「益野製菓」という和菓子店。オーナーシェフである、益野英昭さん(50)の父親が石巻市で営んでいたお店で、社名はその名残です。
△オーナーシェフの益野英昭さん。独学でパティシエとなり、一代でお店の規模を広げてきました。
多種多様なホールケーキで記念日を彩る
「ホールケーキへの思いなら、誰にも負けない自信がある」。
創業者で、オーナーシェフの益野さんは胸を張ります。大切な人の記念日を彩るホールケーキは、その場にいる人全員に囲まれる一品。「だからこそ、特別な思いがある」。気軽に買い求められるショートケーキとは一線を画した“特別な”意味を持ちます。
△お店には「ホールケーキ専用」のショーケースが置かれ、存在感を放っています。
お店に並ぶホールケーキは、“パティシエ界随一の数”と言う益野さん。ホールケーキだけで、アルパジョン各店舗に60~70台置くことができます。ホールケーキは、お客のニーズに合わせて提供されています。食べる人数によってサイズが選べるよう、同じ種類でも大きさを変えて提供したり、旬のフルーツを使って季節限定のケーキを販売したり。豊富な種類と思いの込められたたくさんのホールケーキで、訪れるお客を魅了しているのです。
ホールケーキ以外にも、30種類もの中からケーキが選べるのだから驚きです。一般的な洋菓子店のクリスマスシーズンと同じくらいの量が、アルパジョンでは毎日売れているといいます。
サンタクロースとクマのマスコットで、「かわいい」を追求
アルパジョンを象徴する、サンタクロースとクマのマスコット。店舗の入り口でお客を迎えてくれたり、商品のパッケージに描かれたりしています。なんともかわいらしいデザインです。
買い物する際に、皆さんは商品をどうやって選びますか?
匂いや味は、実際に開封して食べてみなければ分かりません。まだ味わったことのない商品の判断基準…それは“見た目”にあります。「商品の印象で、味が占める割合は2割ぐらいだと思う。残りの8割でどうお客様に印象付けられるかが大事」と言う益野さん。マスコットやパッケージに工夫を凝らすことによって、お客の“思い出”となることを目指しています。
△パッケージに描かれたかわいらしいデザインのマスコット。
このかわいらしいマスコットのデザインは、アルパジョンで働く女性スタッフたちが発案したものです。「女性が会話でよく使う“かわいい”は、男性が考えるものでは及ばない」。“かわいい”の本質を理解している女性スタッフのアイディアが功を奏し、好調な売上へと繋がっています。
地球に優しい、人を繋ぐ「森のアルパジョン」
アルパジョンは、環境問題にも積極的に取り組んでいます。各店舗に太陽光発電を取り入れ、自社のメガソーラー施設が宮城県加美町で稼働しています。太陽光で生み出すエネルギーが、消費するエネルギーを上回る「マイナスエミッション」を2015年に達成。地球に優しい取り組みを、今後も続けていくといいます。
次なる目標は、「森のアルパジョン」。宮城県内の土地を買い取り、そこでイチゴの摘み取りやサツマイモの芋掘り体験ができるようにするほか、再生可能エネルギーによる発電施設やカフェを併設する計画です。敷地内には「バースデールーム」を設けて、ケーキ作り教室やパーティーを開催できるようにするといいます。大切な人が喜ぶ姿を思い浮かべながら、丹精込めて作り上げたケーキは、きっと忘れられない味に仕上がるはずです。計画は現在進行中で、来年(2018年)から本格的に実行していくということです。
△「森のアルパジョン」をモチーフにしたホールケーキの箱。
地元の宮城県でお店を開くことに意味がある!
宮城県ではお馴染みの洋菓子店になりつつあるアルパジョン。売上も好調だというので、「県外でも店舗を展開したら、もっと業績が伸びるのでは…」と思い、尋ねてみました。すると、にこにこ笑顔だった益野さんの表情が、キリッと引き締まりました。「土着的な理解、その土地のことをよく知っていなければ、経営は上手くいかない」。
地域によって、風土は様々です。収穫できる食材が違ったり、好みの味付けが違ったり。地域のニーズは、多岐にわたります。目先の売上や利益に囚われていては、これまでの功績が水の泡ともなりかねません。益野さんは、地元である宮城県のことをよく知っているからこそ、この土地でお店を開いて成功していたのです。
この記事を書いた人
- 趣味は野球観戦、テレビを観ること、ドライブなど。食べることも大好きで、暇さえあれば外食しがちです。色々なアルバイトをしていますが、1番良いバイト先はテレビ局!辛いながらも楽しくて、もはや趣味の領域になりつつある今日この頃です。
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- イケ社2017.12.14記念日を彩り、地域の人々に幸せを届けるアルパジョン「益野製菓」