テラス

「veeell Inc.」武智靖博さん 【いぐするテラス】

青野 真子 青野 真子
643 views 2017.11.30

ワクワクを形に

10月10日のいぐするテラスのゲストは、veeell(ヴィール) Inc.のディレクター、武智靖博さん(34歳)です。veeell Inc.は、宮城県南部の角田市で、モバイル飲食、リラクゼーションサロン、ハンバーガーのプライベートブランドを展開。依頼されたチラシなどの紙媒体のデザインの業務も平行して行っています。また、角田市と連携した創業支援の組織にも所属しており、プレーヤーでありながら起業家のサポートも行っている企業です。

飲食事業から始まった「ワクワクを形に」をキーワードに、地域資源を活かし、さまざまな方法で角田市の魅力を伝えています。武智さんは「何のために仕事をするのか?」という、人生や働くことの意義について話しました。いぐするテラスには6名が参加し、メモを取りながら真剣に話を聞いていました。

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事実としての過去は変えられないが、「過去の意味」は自分でつくれる

開口一番、「未来は変えられるでしょうか?」と武智さんは参加者に疑問を投げかけました。続けて「過去、現在、未来の3つの中で、変えられるのはどれだろう」と聞き、参加者はそれぞれの考えを発表しました。多かったのは、未来は変えることができるが、過去を変えることは難しいという意見です。

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武智さんの考えでは、過去、現在、未来の3つの中で直接、変えることができるのは「今この瞬間だけ」だと言います。
「過去も未来も変えることはできないが、今、自分が行動することで結果的に変えられる。なぜなら、過去は現在と未来の蓄積であり、“意図を伴った現在の集積”であれば、振り返ったときに容易に過去に意味づけができるからです」。
「“過去の事実”は変えられないけれど、“過去の意味”は自分でつくることができます。未来も同じ理屈です。意図を伴った過去と現在の同一線上で解釈すると、予測や希望でしかなかった“未来”は、事実として能動的につくることが可能です」。

武智さんの仕事の未来図は、1つの事業から他の事業を生み、次々と枝分かれし広がっていく仕組みを構築することです。自分の未来を理想に近づけるために新しい取り組みに挑戦しています。

心がぐらっとすることを仕事に

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武智さんは角田市出身。県外で大学院まで建築デザインを学びました。
社会人としてのスタートを切ったのは、中国・上海の建築デザイン事務所。約3年間働きました。中国からの一時帰国の後は、建築文化が成熟しているヨーロッパで働く準備をしていました。

しかし、 veeell Inc.が運営する Restaurant&Bar Panch との出会いがきっかけで、地元である角田市に戻り、働くことを決めました。 veeell Inc.でディレクターの仕事をすることを選んだ武智さんは「角田市に自分がしたいことがあっただけだ」と話します。今まで携わってきた建築デザインから一転、業種も飲食関連になりましたが、veeell Inc.は自分の心が動くことを仕事にできる会社でした。
2016 年に就職後、武智さんはゲストハウスの企画から内装のデザイン、運営まで手がけました。他にも次々と新しい事業をスタッフとともに企画し、現在は角田市に人を呼び込む方法を考案しています。
「心がぐらっと揺れることや、興味があることを仕事にすると良い結果を生みます。だから僕にとって働く“場所”は関係ありません」。
武智さんは、参加者に自分の心が動くことや、好きなことができる仕事に就くことを勧めていました。

なぜ働くの?「仕事」という漢字から考える

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「人はなぜ働くのだろう?」武智さんは仕事をする意義について参加者に問いかけました。参加者からは、「人生のミッションを達成するため」、「人生を楽しむため」などの意見が出ました。
武智さんは「多くの人は生計を立てるために働いていると答えるかもしれない。しかし、生計を立てる=労働であり、お金を稼ぐ目的のために働くことは『仕事』ではない」と言います。
また、「“仕事”という漢字は『事』に『仕える』と書きます。人に仕えるのではなく、『何をするのか』、『何をやるのか』が大事で、お金や物、人という概念はそこにはないのでは」と話します。

大学院まで建築デザインを学んだ武智さん自身は、建築で何をするか?何ができるか?という「物」によるのではなく、建築ってなんだろう?という「事」について考えていました。 建築ではオーナー、発注者、設計者などの人や景観、環境、気候などの「物」をすべて考慮に入れ、周りに良い影響があるような建物を設計するようにしていたのだと言います。
建築の仕事を離れた今も、何かに取り組むときは “どれだけ大きい船を造れるか”を考えていると話しました。
「仕事をすることは自己の成長に繋がることであり、そこから何を体得するかが肝要です。仕事をする意義とはお金を稼ぐためだけではなく、人生を豊かにする1つの手段」と教えてくれました。

取材を終えて

私がいぐするテラスに参加したのは、今回が初めてでした!参加した率直な感想は、「貴重な経験になる!もっとたくさんの企業の方々のお話を聞いてみたい」です。 武智さんの「仕事は好きなこと、楽しいと思えることをした方がいい」という言葉が特に印象に残っています。
私も「働くということは、お金を稼ぐことも目的であるが、最も重要なのはその仕事が楽しいかどうか」だと考えていました。しかし、大学2年生ながら、就職先は給料や仕事が安定しているかなどを優先して考えるべきなのかという葛藤がありました。武智さんのお話を聞き、やはり仕事は自分が楽しいと思えることをしたいなと思いました。私は武智さんの話すもの全てが新鮮で、大学だけでは学べないものだと感じました。これからも積極的にいぐするテラスに参加し、多くのことを経験してきた人生の先輩方のお話を聞きたいと思います。

取材協力画像提供:veeell Inc.
Restaurant&Bar Panch
Relaxation Salon ひのき

文章:青野真子(東北学院大学2年)
写真:安部静香(いぐする仙台)

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この記事を書いた人

青野 真子
青野 真子
犬が大好きです。トイプードルを飼っていて、愛犬と旅行に行くのが最近の楽しみです♪何事にも前向きに取り組みたいと思います!