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「高進商事」日常見守る 飾れる防災

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64 views 2017.10.26
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2017年8月に一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催した、記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!

日常見守る 飾れる防災

「こんなに大きいのは置けないよ」。自信の防災用品に苦言を呈されたことをきっかけに、3年間で1万箱を売り上げる「THE SECOND AID(ザ・セカンド・エイド)」を完成させた。
本棚に収まるサイズの箱には、東日本大震災の経験から厳選した13品を納めた。緊急時の対応マニュアルや、非常食のサツマイモの甘煮、保温性に優れるアルミブランケット…。目を引く白地に赤い商品ロゴが、既存品とは一線を画す「おしゃれ感」を放つ。商品名にはファーストエイド(救急箱)の「次」に活躍してほしいという願いを込めた。

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開発したのは仙台市宮城野区にある高進商事の社長、小田原宗弘さん(48)だ。普段は工場機械の販売をしている。震災直後、物資不足の不安を抱える被災者に、店を開けた地元の八百屋や精肉店が喜ばれていた。「お世話になっているお客さんも助けられないなんて」。機械商社という本業の枠を超え、未知の防災商品の開発に踏み切った。
アイテムのひとつ「ウォータータオル」は、「とにかく思いっきり顔を拭きたかった」との声から生み出した。津波から避難した人たちの多くは、傷だらけ、泥まみれ。しかし断水で洗い流せない。滅菌した約150ミリリットルの飲料水と手ぬぐい大のタオルを、一緒に真空パックに詰めた。開封すれば水が飲め、体を拭くこともできる。傷の応急手当にも役立つ。2015年9月の「関東・東北豪雨」では、栃木県の現場で実際に活用された。「当時の教訓が生きたのなら良かった」と胸をなで下ろす。

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「でも本当は、役に立ってほしくないんです」と災禍の混乱を振り返り、胸の内を明かす。願うのは、多くの家庭や職場ですぐ手に取れるよう身近に置いてもらうこと。生活の中に溶け込んだまま、箱が開けられずに、時が流れることだ。
「震災で大きな被害を受けた仙台から出す商品。だからこそ、説得力がある」。防災セットには、震災の教訓と、平穏を望む思いを込められている。

取材後記

取材先を高進商事にしたいと思ったのは、看板商品のTHE SECOND AIDが「おしゃれな」防災グッズだったからです。なぜおしゃれな必要があるのかという好奇心が湧くと同時に、興味深い企業との出会いに胸が高まったことを覚えています。
取材では、そんな一風変わった商品が、同じ志を持つ人々との必然的な出会いから誕生したことを知ることが出来ました。原稿には盛り込めませんでしたが、特に「防災グッズこそ手に取りたくなるデザインでなくてはならない」という、共通のヴィジョンを持つデザイナーとの出会いのエピソードが象徴的でした。
甚大な被害を各地にもたらした東日本大震災だからこそ得た多くの教訓が、実際に社会で生きていることを、商品の背景を深く知ることで実感しました。
私はこの夏、高進商事への取材を通して、社会人や私と同じ学生の多様な考え方や価値観に触れました。また、それらを学ぶことで、以前とは違う自分に変わることができたのを実感しています。この先も様々な人との出会いの中で、さらに価値観を広げ、大きく成長していきたいと考えています。

取材協力

高進商事株式会社 http://www.kohshin-s.co.jp/

文・写真

河北新報社インターンシップ16期C班
武蔵大学3年 漢人(かんど)薫平 (2017年8月当時)

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この記事を書いた人

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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪