記者インターン

仙台木地製作所 伝統があるから今がある

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147 views 2017.05.25
記者と駆けるインターン_アイキャッチE

2017年2月に一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!

仙台木地製作所 伝統があるから今がある

「新しいものの方が、魅力が分かりやすいのかもしれない。でも、伝統の中に良いものはたくさんある」。
仙台市青葉区芋沢にある仙台木地製作所のこけし職人、佐藤康広さん(41)は力強く語る。これまでの常識を破る藍色の「インディゴこけし」を生み出したことで注目を集めている。
「青いこけしってないよね」。きっかけは、ファッションブランド「ビームス」のレーベル「フェニカ」のディレクターとの出会いだった。フェニカは「デザインとクラフトの橋渡し」をテーマとし、全国各地の民芸品を基にしたアイテムを取り扱っている。東日本大震災後は、復興を後押ししようと、宮城の伝統的な工芸品を多く紹介した。康広さんはディレクターと話し合い、考え方に共感。青いこけしを作る挑戦が始まった。

青色は発色が薄く、退色が早いことから絵付けにあまり使われてこなかった。染料として何を用いたら良いのか。答えを大正時代から仙台で愛されてきた藍染の中に求めた。何度も染め直すことで色を濃くする従来の藍染とは異なり、こけしの絵付けは二度書きすることができない。色を強く出すのが難しく、試作期間は一年近くにも及んだ。見た目のモダンさから一見新しいもののように見えるが、その原点は古くからの技術なのだ。

最近では「こけしブーム」が起こっている。本来のこけしの他にも、こけしをモチーフにした可愛いグッズが人気だ。「ブームはありがたいが、伝統こけしの良さも知ってほしい」。伝統こけしには道具や形、模様など全てに型がある。木の削り方などを新しい方法で試したこともあったが、受け継がれた方法にはかなわなかった。決められた型には理由があった。仕事をするたびに江戸時代から続く技術の偉大さを実感する。
「顔を描く仕事だから、人柄が出ると思う。真面目にコツコツ生きてたら良いこけしになるかもしれないね」。先達の声を聞きながら、康広さんは今日もこけしと向き合う。

※佐藤さんは2種類の「青いこけし」を制作しています。藍で絵付けをしたINDIGO KOKESHI(インディゴこけし)と、調合した青い染料をつかうBLUE KOKESHI(ブルーこけし)です。

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▲こけしに絵付けをする佐藤さん

取材後記

こけし工人と聞いて、私が想像したのは寡黙で背中で語るような職人だった。一方で、佐藤さんはお話が上手で、取材に不慣れな私の質問にも答えてくださる気さくな方だった。私は今回の取材で、二つの「伝える」ことの難しさを実感した。
一つは、自分の意図を正確に伝えることである。取材先にインタビューする際、聞きたいことをうまく言葉にできなかった。その結果、質問とその答えの解釈が先方とずれてしまい、何度も事実を確認することになってしまった。具体的な質問をしたり、分からないことがあればその場で追加の質問をしたりする必要があったと思う。
もう一つは、読者に分かりやすく伝えることである。インタビューの中から情報を取捨選択し、伝えたいことを明確にするのが大切だ。しかし、どの要素を取り上げるかを決めることが難しく、原稿の構成を何度も考えた。例えば、インディゴこけしが生まれた経緯について触れたいが、BEAMSが関係しているためにその説明をしないといけない。丁寧に伝えようとするあまり、気が付けば佐藤さんではなくBEAMSの話になっていたこともあった。初めて読む読者に事実と思いを正確に伝えるのが難しかった。
取材する機会はなかなかないかもしれないが、今回感じたことを日常の会話の中で実践して「伝える」ということを考え続けていきたい。

取材協力

仙台木地製作所

文・写真

河北新報社インターンシップ15期E班 
東京農業大学1年 吉田萌香 (2017年2月当時)
※取材後記は2017年10月に改訂しました

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この記事を書いた人

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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪