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【地域で働くってどういうこと?】 売り込まない営業。お互いに惚れ込む関係がお客さんの悩みを解決に導く

菅野 智佐 菅野 智佐
291 views 2017.03.30
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地域で働くってどういうことなの?

大学4年生を目前に控え、改めて将来について考える時間が増えました。山形や仙台、福島などこれまで縁のあった地域のために働きたいという思いは日に日に強くなっています。一方で、この地で自分がどのように働いているのかをイメージするのは難しく、自分の強みを地域にどう生かすことができるのか、不安が残っている…というのが正直な気持ち。そんな中、学生インターン経験者との出会いからひらめきました!地域で働く魅力を熱く語るインターン生たちに、地元企業で働いた学生代表として話を聞けば、私が「地域で働く姿」を描くヒントが得られるのではないかと。

お話を伺ったのは、東北大学経済学部3年の古川浩汰さん。仙台市にある「株式会社ゾウケイ社」で2015年7月から2016年11月までの間、インターンをし、終了後もアルバイトとして働いていました。ゾウケイ社は、飲食店の開業支援や、店舗リフォーム、店舗設計や施工といった商業空間のプロデュース事業を行っています。「食を通じて地域活性を目指す小島社長率いる『創業支援』『繁盛店づくり』のプロフェッショナル。お客様と強い信頼関係で結ばれた、まさに『二人三脚』という言葉がぴったりの会社です」と古川さんはいいます。インターン期間中は大学の講義に加え、主将を務める空手部での活動と両立していたにも関わらず、約1年半で300人以上もの人と直接会って話し、沢山の学びを得たそう。悩みながらも成長に繋がる充実した日々だったなあと楽しそうに振り返る様子に、もっともっとお話を聞いてみたくなりました!

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古川浩汰さん(21)東北大学経済学部経営学科3年 
インターン先:株式会社ゾウケイ社
千葉県出身

小島社長との出会いで、当たり前の日常が変わる

中学生くらいから意識していた「食を通じて一人でも多くの人を幸せにしたい」という夢があります。3歳から包丁を持ち始めるなど、食が好きで興味はありましたが、大学に入ってからは、授業・部活・アルバイトを繰り返す毎日。アルバイトでは、料理長を任せられ、商品開発や値段設定、仕入れまでこなしていました。しかし、このままでは、夢を実現するために必要な知識が足りないと気づき、食に関する業界についてもっと知りたいと思ったことがインターンをしようと思ったきっかけです。ゾウケイ社の小島社長と話した瞬間、この人の側で学びたいと強い衝撃を受けました。「当たり前だと思っていることを当たり前と捉えない」という小島社長の言葉。全てのことに疑問を持ちながら受け入れるという姿勢を教わり、物事の見方が大きく変わっていきました。

経験して変わった、お客さんに寄り添う営業

「Nダイナー」という自走式のキッチンカーと牽引可能なトレーラーカーを使った創業支援に関する新事業の立ち上げにほぼゼロの状態から関わりました。初めの頃はニーズのありそうな飲食店や福祉事業施設に電話をかけて営業をしていたのですが、自分のやっていることはただの押し売りではないかとハッとしました。気づいたきっかけとなったのは、小島社長にキッチンカーのお店をやってみることを提案され、自分で米粉パンケーキを販売した時。仕入れから商品開発、広報まで全てをこなし、いざ売り始めたのですが、なかなか売れません。いくら自分が良い商品だから売りたいと思っても、欲しいという相手との関係が成立しない限り商売にならないと痛感。相手の悩みや希望に寄り添い、解決しようとする姿勢からお客さんとの関係が生まれるのだと実体験から学ぶことができ、今までの営業の概念が変わりました。

確かに、他の社員さんを思い返してみると、ゾウケイ社では相手に売り込むような営業をあまりしていません。お客さんのことを思うがゆえに時には厳しい言葉をかけることも。こうして、信頼関係を築くことができているため、お客さんがお客さんを紹介してくれるような仕組みができているのです。小島社長と一緒にお客さんに会いにいった時に、ただ談笑しているように見えたのも、実際は信頼関係を築き合い、会話に潜んだ悩みをひも解いていたのだと気がつきました。インターン当初に聞いた、「出会いと出会いから何かが始まる」とご縁を大切にしている社長の言葉を本当の意味で理解することができました。

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▲米粉の仕入れでお世話になった、宮城県加美町にある菅原商店のおかみさんと。(提供:古川さん)

地域に飛び込んだからこそ実感した、人と人との繋がり

学んだことを実践しようと、インターン中は沢山の人に会いに行きました。1年半で、300人以上。最初は、話を聞きに行っても、相手の心の鍵を開けることが出来ず。面白い話はしてくれたとしても本当の悩みや弱い部分を引き出すのは難しかったです。状況を打開しようと、相手に興味があると誠意を持って伝え、何度も会いに行ったり、自分から心を開いて悩みを相談したりしていました。その結果、キッチンカーを必要としている人を紹介してくれたり、新しい取引先が見つからないなどと悩みを打ち明けてくれたりするようになりました。ただ相手に売り込むのではなく、お互いに人として惚れ込むこと。それから必要としている提案をする、そんな営業の形を身につけることができました。

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私は現在、一人でも多くの人を幸せにしたいという夢の実現を目指し、就職活動をしています。インターン期間中、目の前で喜んでくれる人のために一生懸命働く宮城の方々に出会い、給料や福利厚生という基準だけでなく「何のために、誰のために働くのか」ということを自分に問いかけながら会社を選ぶことができるようになりました。小島社長に「何のために働くのか?」と問いかけられ、常に意識していたおかげです。

最初は地域で働くことを意識していたわけではありませんでしたが、数々の出会いを通じて、地域の中での人と人との繋がりに気づき、「地域で働いている」と実感しました。さらに、この人とこの人が出会ったら面白いんじゃないかと思って紹介したところ、新しいものが生まれるなんてことも起きました。自分が地域のネットワークに入って、新しい提案をする側になっていたのです。自分から地域に飛び込んだ行動力だけでなく、受け入れてくれた地域の皆さんの優しさのおかげですね。

取材者の気づき

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古川さんと話していて、「話しやすい!」と感じたのもインターンでの経験を聞いて納得。相手のことを知りたいという気持ちが相槌や言葉から伝わってきたので、初対面にも関わらず、私が自分の話をしたり、悩みを相談したりしてしまいました(笑)。地域の良さとして、「人との繋がり」という言葉はよく耳にしますが、実際に体感した古川さんの言葉はとても説得力がありました。現在も、インターン中に出会った人達のいる場所の近くに用事があった時は、挨拶をしに行くことを心掛けているそう。私も取材などで関わった方々とお話した経験が、自分の将来へのヒントになっているので、今まで以上に出会いや繋がりを大切にするよう心掛けていきたいなと思います。


取材協力:株式会社ゾウケイ社、東北大学経済学部経営学科3年 古川浩汰さん(2017年2月取材当時)
文章・写真:菅野智佐 山形大学3年(2017年2月取材当時)
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この記事を書いた人

菅野 智佐
菅野 智佐
山形大学
生粋の田舎娘、‘すげのちさ’ と読みます。仙台は都会ですね。よく迷子になります(いつもか)。グーグルマップが手放せません。でも地図を読むのが苦手なので使いこなせない…。笑 こんな私ですが、読者の皆さんを取材現場に連れて行くことが出来るような記事を書いていきたいです!