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絵本の時代 これからも続く 「絵本と木のおもちゃ 横田や」

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131 views 2016.11.17
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2016年8月に一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!

絵本の時代 これからも続く

チリンチリン。
ドアを開けると、風鈴のようなドアベルが客を迎え入れる。店内は木の優しい香り。右手には木のおもちゃが並べてあり、左手には1万冊以上の絵本が天井まで連なる。子どもが自由に遊び、座り読みができる空間もある。ここでは絵本を読むのも、おもちゃで遊ぶのも自由だ。夢のような世界が広がる。

個人原稿 写真2

仙台市青葉区北山にある「絵本と木のおもちゃ 横田や」。
明治初期に建てられた築140年以上の建物は、味噌しょうゆ、文房具の店を経て1978年におもちゃと絵本の専門店になった。店主の横田重俊さん(68)が妻の敬子さん(60)と二人三脚で営んでいる。重俊さんのトレードマークは帽子。その数は30種類以上にも上る。子どもとの距離を少しでも縮めようと身に着け始めてかれこれ30年。子どもたちから「帽子のおじさん」と親しまれている。

個人原稿 写真3
▲笑顔で絵本を持つ横田重俊さんと敬子さん。絵本の魅力を語りだしたらとまらない。

東日本大震災では、幅広い人脈で、全国の仲間から絵本などを送ってもらい、「子どもの日常が早くもどるように」と、保育所や幼稚園に届けた。「子どもたちの戻ってくる場所で、震災前と同じように絵本を楽しんでもらいたくて」。当時を振り返る重俊さんの顔は真剣そのものだ。

敬子さんは「絵本を楽しみながら人としての基礎を建てることで、幸せな生涯を送ってほしい」と願う。子どもたちはもちろん、読み聞かせを担う保育士らの育成・支援にも力を入れる。特に沿岸部の津波被災地では保育士の心のケアも重要だ。

「子どもたちに五感を使って成長してもらいたい」と語る横田さん夫妻は、毎週金曜日、店で「おはなし金曜日」と銘打った絵本のお話し会を三十年ほど行っている。親子で一緒に物語を体験することで、共通の思い出を育もうという取り組みだ。

「時間に追われ、余裕のない時代。一時でも楽しんでもらえる場になればいい」。横田さん夫妻は、店の役割をかみしめる。時が移り変わっても変わってはならないものを、「横田や」は伝え広める。

個人原稿 写真1

取材後記

「こんなに心休まる場所があったのか…近所にあったら毎日通うのに」と思うほど、良いお店を取材させていただきました。店内の雰囲気や、所狭しと並んでいる商品は勿論のこと、ここは人も素晴らしかったからです。
東日本大震災後の活動について取材をしていたことろ、店主の重俊さんは何度も「当たり前」という言葉を口にされていました。「なんと謙虚な方なのだろう」と思っていましたが、それだけではないということを何度も取材をして気づかされました。「絵本屋」としてできることをしていると話す重俊さん、そして子どもの成長の手助けをする敬子さん。そのご夫妻の意志は固いものでした。
自分に利益がなければ動かない人が多い中、人のためにすることを「当たり前」という人たちはなかなかいません。そういった意味で、まだまだ自分は未熟だと思う反面、自分も見習いたいと思う、意志の強さを兼ね備えた方々に取材できてよかったと思っています。夫婦仲の良さも、将来のお手本にしたいくらいでした。(笑)
また、取材先である「横田や」には4回も取材をお願いしました。ご夫妻ともに嫌な顔一つせず、真摯に受け答えてくださったことを感謝いたします。

取材協力

絵本と木のおもちゃ 横田や

文・写真

河北新報社インターンシップ14期E班 
宮城学院女子大3年 加藤奈津海

 

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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪