お仕事

地域シゴトラボ第7回 地域創造基金さなぶり 鈴木祐司さん

シズカ シズカ
70 views 2016.11.10
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橋を架ける人

8月17日に開催された地域シゴトラボ第7回のゲストは公益財団法人地域創造基金さなぶり専務理事の鈴木祐司さんです。
「財団は、橋を架けるのが仕事です」。開口一番、財団の役割を問われ、資源の流れやコミュニケーションがスムーズに行われるように、橋を架けてつなぐようなものと説明してくれました。
「橋を作っているのかというと、それは少し違う。『作る』ではなく、『架ける仕事』なんです」。
自己紹介よりも先に「財団の在り様」の解説を始めた鈴木さんのキャリアは、財団で始まりました。
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小学5年生の時に不登校になり、東京都内にあるNPOが運営する不登校の子どものための居場所で過ごし、1997年に米国を本拠地とする青少年を支援するための財団の日本事務局に入局。不登校や子どもの問題に対して「自分のこと」だとの思いがあり、仕事を決める上での軸になっていたといいます。財団の立場で企業と協働し、企業の社会貢献事業の企画に取り組み、全国の子どもにかかわるNPOへの支援を実施。2006年に退職するまでに1億円弱の資金支援を行ったといいます。その後、都内の大学で非常勤講師をしたり、短期ながらも商社にも勤め、2011年の東日本大震災発災後には避難所支援プロジェクトのために期間限定で4月2日に山形空港経由で仙台へ。そんな中、仙台に拠点をおく財団を立ち上げるという話が持ち上がり、「財団運営をやったことがある人はいないか?」と、白羽の矢が立ったのが鈴木さん。一般財団法人 地域創造基金みやぎの立ち上げに奔走し2011年6月に設立を果たしました。2014年には公益認定を受けて「公益財団法人地域創造基金さなぶり」に改称し、現在まで財団の運営に携わっています。

お金の地産地消を生む

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「さなぶり」では2011年から2015年までに申請件数1500件、申請額38.2億円の内、752件、15.9億円を東北地域の非営利組織や起業をしようとする個人等に支援を決定しました。震災関連だけでなく、創業支援、地域の文化芸術など幅広い分野に渡っています。
東北では初めての支援地域を特定する「コミュニティ財団」のさなぶり。支援する組織の範囲を地理的に限定することで、地域の状況をよりよく理解した上で、必要に応じて組織の状況に関われる距離を保ち、資金提供と経営支援の面で支えてきたといいます。目指すところは資金循環を生むこと。「いわばお金の地産地消。『近い!早い!柔軟!』どこかで聞いたことがあるような感じですよね」と鈴木さん。
さなぶりを活用している「ユーザー(関係者)」には3通りの立場があります。寄付をする立場、(寄付を原資とする)資金助成を受ける立場、資金助成をうけて実施された事業の受益者の立場。「私たちが創り出そうとしている価値は笑顔や地域の課題解決でも、我々財団自身がその効果を創出しているわけじゃない。支援を獲得し、努力しているのは常に現場の団体です」。

理解や協力を得るには「ストーリー」だけでは難しい

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2015年、地域の状況を物語る各種統計や調査結果について、わかりやすく簡素化したグラフ等を掲載したデータ集を作成しました。「第三者が作ったデータをまとめることで、数字の面から同じ現実を共有・確認できるようになることを目指しています。また、地域の課題や支援先となる住民や被災者の方々の状況を表す調査までは手が回らない組織もたくさんあります。つまり、定量的な情報がなく、地域の課題や支援を必要とする『ストーリー(個々の事情や状況)』だけでは、理解や協力まで結びつかないケースがあるのです。」。第3者が調査をした結果や情報があることで、現場の組織と、行政や関心をもつ企業などとの話し合いがスムーズに貢献できれば一番ということです。「自分で調べなくても地域の課題について物語る定量的なデータがあるということが、現場の組織が活動する地域の課題を浮き彫りすることを助け、関係者に理解を得やすくなるといいですね」。

財団と向き合った時間の終わり

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支援される側と支援する側の単純な構造ではないこと。資金だけが支援ではなく、仕組みづくりや、寄付を集めるノウハウ、信頼を得るツールづくりなど、財団ができることは多岐にわたる。「財団ってなにをやっているかわからなかったけど、よくわかった」。スライドやデータ集を多用した濃密な時間の最後、参加者から吐息とともに漏れ出た声です。一方、鈴木さんは「財団とこんな風に向き合ってもらえるなんて」と嬉しそう。
参加者の仕事と比較してお互いの理解を深めたり、わからないことには質問を挟んだり。自己紹介してからゲストの「シゴト」を聞く「地域シゴトラボ」ならではの時間でした。

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地域シゴトラボは毎月第二月曜日に開催しています。
また、あの会社で働く人の話を聴ける!「いぐするテラス」も随時開催しています。
ぜひ参加してください!

文章・写真:安部静香(いぐする仙台)

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この記事を書いた人

シズカ
シズカ
ライター
「そんなに寒くないよ」と言われる仙台の冬が苦手な冬生まれ。
おいしいもの大好き。美味しいお店から発せられるオーラ(?)を感知するのが得意。
活字中毒気味。働いてなければ間違いなく冬ごもりします。