記者インターン

海の町をもう一度 『ART CAFE BAR SEA SAW』

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464 views 2016.10.13

2016年8月に一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!

海の町をもう一度

更地と防潮堤が続く道、一軒の小さな建物が目に飛び込んでくる。宮城県七ヶ浜町。古くからのリゾート地として有名な菖蒲田浜海水浴場の、入口そばに店は立つ。「ART CAFE BAR SEA SAW(シーソー)」それが店の名だ。木の香りが心地よいログハウスの店内では、流木や貝殻の装飾が溢れ、海を感じさせてくれる。店の内外ではレゲエ調の音楽が訪れた人をワクワクさせる。「このお店が菖蒲田浜復興ののろしになれれば」とオーナーの久保田靖朗さん(33)は語る。

店がオープンしたのは2016年5月3日。4カ月が経った今も地域住民だけでなく、全国各地から客はやって来る。店一番の人気メニューは1日10食限定の「ワタリガニのトマトクリームパスタ」だ。七ヶ浜沖の海で獲れた新鮮なカニを丸ごと使った一品は、食べた人を海へといざなう。店を訪れた人は口々に「すごくおいしい」と笑顔で話す。客の喜ぶ声を聞いたとき、店を作って良かったと実感する。

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(▲店の看板メニューのワタリガニのパスタ、迫力ある大きなカニが載っている)

東日本大震災で七ヶ浜は津波で多大な被害を受け、自然の恐ろしさを味わった。千葉県出身の久保田さんはボランティアとして12年6月に町を訪れた。どこからでも海が見える自然の豊かさに引かれ、この町の復興に携わりたいと強く感じた。
思いを胸に、地域の人と共に歩み始める。「訪れた人が楽しめて、人を繋ぐ場所が必要だ」と地域住民との話し合いで意見が出た。多くの人の想いが繋がり、このお店は誕生する。

菖蒲田浜の通りにはまだまだ店が少ない。自分の店が結果を残せば、他の店も続いて出店をしやすくなる。浜に店が増えれば、町を元気にできるという思いがある。そのための「のろし」にこの店がならなければと意気込む。
店は七ヶ浜を再生に向かわせる拠点となる。今後も困難や不安が待ち受けているだろう。それでも久保田さんは「絶対に逃げずに挑戦を続けていたい」と熱く語る。津波で海の恐ろしさを知った町で、海の素晴らしさを感じてもらうため、歩み続けている。訪れた人の楽しむ声が前に進む力になる。

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(▲コーヒーをいれる久保田さん、訪れた人にこだわりの味を届ける)

取材後記

今回のインターンシップを通して、私は初めて「取材」という体験をすることができた。実際に取材に行くと、簡単な仕事ではないと実感すると共に、多くの発見をした。私が記事を書いた「ART CAFE BAR SEA SAW(シーソー)」にはお互いの予定の都合もあり、2回しか行くことはできなかった。しかし、2回の取材は非常に有意義なものであったと思う。店のマスター久保田靖朗さんからは取材を通して、社会・地域問題を抱える場所で、問題を解決するために自分から行動を起こすという強い意志を感じた。言葉で言うだけならば誰でもできるが、実際に動くことのできる久保田さんの行動力に、私は驚かされる思いだった。自分はまだ、同じように行動することは難しいと感じたため、私は自分に出来ることから少しずつ行動したいと思う。久保田さんに比べるとはるかに小さな一歩であるが、「一歩でも踏み出す」という気持ちを私は大切にしたい。今回の取材を通して学んだことを自分の糧とし、今後の人生に向けて活用していきたいと心から感じた。

取材協力

ART CAFE BAR SEA SAW

文・写真

河北新報社インターンシップ14期D班 
弘前大学3年 工藤 俊

 

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この記事を書いた人

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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪