記者インターン

石を通して人を幸せに

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289 views 2016.09.22

2016年8月に一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。参加学生が執筆した記事を紹介します!

石を通して人を幸せに

ガラス張りの店に日光が差し込む。明るい店内は街中のカフェを思い起こさせる。ここは仙台市泉区朴沢(ほうざわ)の石材加工店、「ストーリー イン ストーン」。入り口に建つ石碑には、英語で刻まれた言葉がある。
「to make each of our customers happy through our best services」
(私たちは全力でお客さん一人ひとりの幸せを作る)

「自分たちの理念を忘れないために、創業した時に建てたんです」と社長の佐藤真也さん(41)は語る。

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(提供:ストーリー イン ストーン)

業務の柱は墓石の製造だ。顧客の多様なニーズに応えるために、石のサンプル約100種類を並べる。国会議事堂の壁に使われた広島産の石から、遠く海を渡ってやってきた南アフリカ産の石まで、多種多様に取り揃える。客の要望がどんなものであろうが、何回でも相談を受けて理想の墓を作り上げる。「何かを求めているなら、お客さんの気持ちが正しい。私たちは理想を形にするためのお手伝いをしたいんです」と佐藤さん。依頼者のためには苦労をいとわない。

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石に関わることは何でもやる。墓石のみならず、神社の灯篭や家の表札作りまで、石の可能性を追求する。2015年には歯磨きの大切さを広めたいという依頼を受け、子供たちに人気のキャラクターのモニュメントを地元小学校に設置した。

東日本大震災で青葉神社(青葉区)の大鳥居が倒壊した。仙台藩祖伊達政宗を祭る地域のシンボル。石鳥居は根元から崩れ落ち、原形を留めていなかった。14年に宮司の依頼を受け、3か月間で往時の雄姿を復元させた。

佐藤さんの下でデザイナーとして働く安食直樹さん(37)は、佐藤さんを「常に顧客のことを考えて仕事をする人」と評する。「お客さんが笑顔でありがとうと言ってくれる時が一番うれしい」。心を重ねて働いているうちに、社長と同じ言葉を使うようになった。

「人は笑っている時間が長いほど幸せになれるもの。石を通してお客さんを笑顔にしたいんです」。佐藤さんに迷いはない。石碑の言葉を胸に、石に魂を込めていく。

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取材後記

「杜の石屋 ストーリー イン ストーン」を取材先として選定したきっかけは、東日本大震災を通して、墓石を扱う会社はどのように変わったのかを知りたいという気持ちだった。深く調べるうちに、モニュメントの制作など、石に関わる様々な事業を手がけていることが分かった。
「興味深い話が聞けそうだ」。取材先が決定した。
店はとても開放的な外観で、来る人が入りやすそうな雰囲気。中に入ると社長が笑顔で迎えてくれた。外観と同様、とても明るい方だった。
社長はたくさんのことを語ってくれたが、その中でも心に響いたのは「当たり前のことを当たり前にやる」という言葉だった。率直に、「自分は取材でするべき、当たり前のことを出来ているのだろうか…」と考えさせられた。
取材が終わると、疲労感や充実感と同時に取材相手の言いたいことを聞けたのか、という気持ちが浮かんだ。そこで初めて取材の難しさを実感した。

取材協力

宮城、仙台のお墓・墓石のストーリーインストーン

文・写真

河北新報社インターンシップ14期C班 
中央大学1年 大塚雄大

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この記事を書いた人

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一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪