【名亘で働きタイ×ワタレポ】ささ圭
(※)名亘地域:宮城県名取市、岩沼市、亘理町、山元町のこと。
震災からの再建を期に、若い世代が活躍する職場に
【株式会社ささ圭(名取市)】
名取市閖上で創業した株式会社ささ圭は、東日本大震災の津波被害により本社工場を全て失い、今は2012年9月に同市植松に竣工した新しい工場で笹かまぼこなど練り製品の製造・販売を行っています。
今回取材に応じていただいたのは、採用担当の赤川さんと、若手社員の下山さん。
▲左が赤川さん、右が下山さん
ささ圭は、若手従業員を積極的に製造責任者に採用するなどし、組織の刷新を図っているといいます。そのきっかけは、震災でした。
津波で本社工場や販売店を失い、事業の再建のため2011年6月に従業員を招集した際、20代の若いスタッフが数名集まりました。それまで社内の従業員は平均年齢が高めで、ベテラン従業員の多い職場になっていましたが、これを期に若い世代の従業員をチーフに任命。ベテラン従業員はその経験をフォロー役として活かしてもらうなど、大胆な役割の刷新を行いました。
▲若手チーフの皆さん
今の若い世代が実績を積んだベテランになり、また次の若い世代を育てられることで、経験に基づく良い意味での年功序列、根拠のある「年功序列」の組織をこれから改めて作っていく・・・。その先を見越した展望は、現社長のご子息、将来の三代目社長の世代となる10年後を見越した、長期的な戦略のようです。
現在は本社・工場もやや海から遠い国道4号線沿いに再建されたささ圭。工場でつくられる笹かまぼこは、毎朝欠かさず社長・責任者が口にして、納得できる製品を出荷しているそうです。
▲実際にかまぼこを製造している工場の様子
イチオシ商品・企画
おしゃれなパッケージに、すり身に宮城県産の野菜を練り込み、チーズを包んだ蒸しかまぼこ「みやぎの雫」。当日取材した学生スタッフもおいしくいただきました。
▲みやぎの雫
募集内容
新卒採用・通年採用どちらも募集しています。学歴は問いません。
現在募集中の職種は、製造職です。製造職を経験後、適性に応じて、販売職など別の部署に異動することがあります。
若手にチャンスのある、適材適所の配置を目指している職場ですので、業界のイメージにとらわれない意欲のある人材を募集しています。
編集後記
社員の得意を引き出し、伸ばす
ガシャン、ガシャン、ガシャン。隣にいる人との会話が困難なほどに、大きな音が歯切れの良いリズムで鳴り響く。ここはささかまぼこの製造・販売を行う「ささ圭」の工場。仙台から国道4号線を南に数キロ、名取市植松に本社・工場を置く。創業してから約50年。従業員はすべての部署を経験した上で、年齢ではなく知識や経験をもとに適材適所に配属する。工場がスムーズに動くような工夫を凝らしている。
2011年、東日本大震災で被災する前は、名取市閖上に工場があった。震災後の6月に社員が集まった。今後について話し合い、若手に対する期待と不安があったが、思い切って世代交代に踏み切った。製造責任者を20代の社員に託し、年配者は全体をフォロー。バランスを取れるような配置にした。
震災以前は工場長がトップ。その他の社員は同じ立場だった。震災後は工場長の下に若手のチーフを起用した。各部署ごとにまとまり、製品に磨きをかけるためだ。リズム良く動く機械のそばで働くため、チームで息を合わせることが重要な工場勤務。お互いの意見を交わしやすい環境を整えることで品質向上につながる。
工場で働いているとお客様の顔が見えにくいが、お客様から直接、感謝の声が届くこともある。良い声も悪い声も受け入れ、ひとつひとつの声を大切にし、改善することにより、常に安心安全な、おいしいかまぼこを提供している。
10年後、現在若手の社員がベテランとなる時には、根拠ある年功序列の組織にしたい。若い人が育つ環境をさらに整えていくためだ。仙台空港の民営化や、美田園周辺が発展する中で、閖上を忘れず、名取市はもちろん、県内、そして全国的にもささ圭の笹かまぼこを広げていくのが目標だ。震災前の閖上のような活気を取り戻すため、奮闘し続ける。
「声」のとび交う会社、ささ圭
笹かまぼこなどの水産ねり商品を取り扱う、株式会社ささ圭。
ささ圭には様々な「声」が存在する。
ささ圭は若い従業員を育てている。どのように育てているのか。
企業には年功序列のイメージがある人も多いのではないだろうか。すると、やはりベテランとされる従業員が若手に対して指示をし、ベテランを中心とした会社または雰囲気が出来上がっていくはずだ。会社だけでなく、私たちのような10代、20代の学生もどこかに所属していれば上下関係は経験しているだろう。目上の人に対する敬意や礼儀は欠かせないものだ。しかし、例えば若い従業員の持つアイディアがこれからは必要になる。
ささ圭は震災後に元々の従業員の方と新しく入社した社員とで再出発した。震災前からの従業員にはもちろん若い年代の人もいて、会社のカラーをよく知っている人たちだった。そのような従業員を伸ばすため、若い世代を責任者にした。世代交代を急にするのは中々難しいことらしいのだが、思い切って実施。部署ごとのチーフや製造責任者も20代の従業員なのだそうだ。
そして、ベテラン世代の従業員には、全体のフォローをしてもらう。
この世代交代、若い人を積極的に育てているのには将来を見越しての戦略なのだ。今の若い世代の従業員を育てていくことで、10年・20年後にに確かな経験のある上司となり、未来の新入社員をきちんと指導することができる、ということだ。これを継続することで、従業員全員で会社を支えていくことができるのだと感じた。
ささ圭には商品を購入したお客さんからの手紙が届く。声が届くことは嬉しいことだ。「すべての声を受け入れる」と赤川さんは言う。「ここがちょっと」と悪い声があっても「ありがとう!おいしかった!」という良い声だってある。その逆も言えるのだ。どちらも生かしながら、お客様の声を形にしていきたい。それがささ圭の味につながっていくのである。
若い世代の従業員の積極的な活躍を後押しし、従業員が活躍し、お客さんの意見を活かす会社、ささ圭。まさしく「声」の存在する会社だと言える。
取材協力:ささ圭
取材・執筆:及川愛結(宮城学院女子大学3年)、平塚亜加里(尚絅学院大学3年)
※記事(企業情報・求人情報)は、宮城県仙台地方振興事務所 「被災沿岸地域に対する商工観光連携促進事業」の一環で執筆したものです。
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