【名亘で働きタイ×ワタレポ】山元いちご農園
(※)名亘地域:宮城県名取市、岩沼市、亘理町、山元町のこと。
魅力ある仕事をつくり、農業に携わる若者を増やしたい!
【山元いちご農園株式会社(山元町)】
いちごジュースやパフェといった定番メニューと一緒に、いちごカレーやいちごピザ、社長の腹黒パンケーキなど、個性的なメニューが並んでいるのは、山元いちご農園内にあるカフェ「Berry Very Labo」。
▲Berry Very Labo
カフェ経営のほか、いちご狩りができる観光農園やいちごワインの生産など、多角的な事業を行っている山元いちご農園。これも、いかに若い人たちに農業に関わってもらうかを考えた結果だと、代表取締役の岩佐隆さんは語ります。
▲代表取締役 岩佐隆さん
36年間ずっと家族でいちご農家を営んできた岩佐さんは、東日本大震災の津波で家や農地を全て流されました。町全体も甚大な被害を受けた中で、被災した地域の人たちが前向きになるきっかけを作らなければならないと考えた岩佐さんは、まず自らが率先して事業を再開し「自立する」姿を見てもらおうと考えました。
そして同時に、ただ家業を再開するだけでなく、地域の復興、地域の自立を願った時に、まちに仕事をつくり、雇用創出をすることが必要だと考え、法人化の道を選びました。
個人経営の農家であれば、時間の使い方や労働時間を気にすることはありません。しかし会社として従業員を雇い、その勤務時間などを管理していくことになると、いちごの生産だけでは難しく、新しい仕事を考える必要がありました。
いかに安定的に働ける職場をつくり、雇用を生むか。
▲シーズン中の取材だったので、作業中
現在様々な事業を手がけている山元いちご農園ですが、元はそのような発想から加工業や観光業に力を入れていったのだそうです。もちろん、販売用や観光用の新鮮ないちごにも、一番の自信を持っています。
そしてそのような様々な事業に取り組む中で、いかに農業の担い手を増やすか、ということにも、岩佐さんは力を入れています。
これまで世襲制だった農業を法人化することで、家族経営とは違う引き継ぎの仕組みにすること。六次化以上の動きに取り組み商品価値で売上をのばすこと。営業・販売、加工、デザイン、商品開発など様々な仕事がある農業にすること。既存の農業の枠にとらわれない仕掛けをたくさん繰り出していく中で、お客様に満足していただくのはもちろん、仕事として携わる若者たちに農業に関心を持って欲しいというのが、岩佐さんの願いです。
冒頭で紹介した「Berry Very Labo」にある不思議なメニューも、岩佐さんが考えているそう。『いっぱい無駄なことをする』のがポリシーだと岩佐さんは笑いながらおっしゃっていましたが、一見無駄かもしれない、今まで誰も思いつかなかった様々なアイデアの中に、これからの農業をより魅力的なものにするための鍵が眠っているのではないかと感じました。
▲Berry Very Labo内の直売所にて
募集内容
高校卒、実践大学校卒、大学卒など様々な学歴の方を採用しています。
ハウスいちごの栽培管理から、加工品の製造、直売店や観光いちご園のスタッフなど様々な業務があります。特に、日本や地域の農業に関心があり、将来担い手になりたい方を募集しています。
今後一緒に会社を盛り上げていく方、将来独立するために勉強したい方、どちらも大歓迎です!
▲山元いちご農園のハウス
学生記者から見た、山元いちご農園
今回の取材では、入社2年目のノウジョ(農業女子)佐藤芹華さんにお話を伺いました。
▲佐藤芹華さん
現在佐藤さんは、いちごの収穫やパック詰め、いちごの加工、ワインのラベル貼りなどの仕事をしています。年の離れた人も多くいる職場。社内の雰囲気について「最初は慣れなかった」と話す佐藤さんですが、すぐに溶け込むことができました。
入社のきっかけは高校時代の担任の紹介。米農家の一人娘で、小さい頃から農業がずっと好きだった佐藤さん。苦手な接客業をしなくて良いかもという気持ちもあり、山元いちご農園に飛び込みました。
将来、実家の米農家を継ぎたいと考えている佐藤さん。「土や葉を触るのが好き」「女性が農業をやるのがカッコイイ」と語る男勝りな一面もありました。コンバインやトラクターなどの農業機械や、マニュアル仕様の軽トラックを運転することもあります。社長の岩佐さんも「手先が器用で覚えがいい」と太鼓判を押していました。
編集後記
取材・執筆:鎌田尭(東北学院大学4年)
取材前から、会社や岩佐社長の名前を新聞などで目にしていました。「農家の法人化」と「農業の6次産業化」を考え、将来の日本の農業を変えるかもしれない先進的な会社です。
今回の取材で出会った社長の岩佐隆さんは、強い熱意とエネルギーに満ち溢れている人でした。「被災地の復興をしたい」「山元町を元気にしたい」取材中、しきりに岩佐さんが口にしていた言葉です。
岩佐さんの強い思いは、会社のシンボルにも表れています。いちごと山元町の町の鳥である燕がモチーフとなっているロゴマーク。燕がいちごを咥えているように見えます。震災の復興を祈り燕がいちごをくわえて「みんなにとどける」という意味。そのほか、いちごが燕(=山元町)を「引っ張る」という意味も込められています。
震災後に立ちあがった山元いちご農園。農園を訪れる観光客は年々増えています。2012年当初約1500人だった観光客は昨年、約5万人にまで増えました。「交流人口を増やし、地域の良さを発信したい」「多くの人を雇用したい」と岩佐さん。傷ついた被災地から新しく頼もしい会社が生まれたのだと感じました。岩佐さんのような熱い人に出会い、私もエネルギーを分けていただいた気がします。
取材協力:山元いちご農園株式会社
※記事(企業情報・求人情報)は、宮城県仙台地方振興事務所 「被災沿岸地域に対する商工観光連携促進事業」の一環で執筆したものです。
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