チャレンジ

【名亘で働きタイ×ワタレポ】岩沼精工

名亘ワタレポインターン
1,144 views 2016.03.31
「ワタシゴトレポート」は、地域の中小企業で活躍する方々への取材を通じ、地域の仕事や組織の魅力を発掘・発信するワカツクのインターンシッププログラム です。参加学生は将来のキャリアを考えるきっかけを見つけるため、取材・執筆 活動を行います。宮城県庁との連携で、名亘地域(※)に所在する企業を訪問しました!

(※)名亘地域:宮城県名取市、岩沼市、亘理町、山元町のこと。

若い人を育て、技術力ある製造業を目指す

【株式会社岩沼精工(岩沼市)】
海に近い岩沼市下野郷で1974年から事業を続ける株式会社岩沼精工。東日本大震災では津波に襲われ、工場内の設備・金型など大きな被害を受けましたが、地域の方々や隣県の同業者など様々な方の協力を得て、発災から1ヶ月後の2011年4月11日には操業を再開しました。

バッテリーの端子など金属部品の量産、および金型の設計〜製作、精密部品の加工などをしています。ほかにも雪かきスコップの刃先やタイヤの空気圧センサーなど、取材中に見ただけでも大小様々な製品をつくっていました。

最初にインタビューに応じていただいたのは、3年前に二代目社長に就任した千葉厚治さん。
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▲代表取締役社長 千葉厚治さん

「地元を盛り上げたい、震災時に助けていただいた恩返しをしたい」と語る千葉さんは、震災前に地元岩沼の沿岸部の松林に生えていた「アミタケ」というキノコをモチーフにした精密コマ「きのこま」を発案しました。

二代目社長として、発注元から言われた通りのものをつくるだけの中小企業ではなく、新しい技術を持って製品開発を主導していけるような組織をつくっていきたいという千葉さん。プレス金型に関する特許も取得しています。
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▲岩沼精工の技術によって作られた精密部品

コストの安い海外への製造移転が進んでいる時代。乗り越えていく鍵は「若い人を育てる」こと。若い従業員からも積極的に意見やアイデアが出る社風づくりに取り組んでいます。また、精密部品を造る技術を活かし、全国、そして海外からも製造業が集まる「全日本製造業 世界コマ大戦」に参加。若手従業員主導で開発に取り組み、2015年大会ではなんと第三位に輝きました。
地元の高校からのインターンシップ受け入れや、高専の学生と共同でプログラミングソフトをつくるなど、地域への働きかけもしています。

若手社員インタビュー

続いて、製造現場で働く若手社員4名、佐藤岳さん、丹野あゆ美さん、東海林大輔さん、伊藤千華さんの話を伺いました。
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▲右から佐藤さん、丹野さん、東海林さん、伊藤さん

今回も男女2名ずつ取材に応じていただきましたが、岩沼精工は製造メーカーと聞いてなんとなくイメージする男女比と異なり、従業員55名中20名が女性。なかには女性のほうが多い部署もあるそうです。

東海林さんは工業高専出身、伊藤さんもデザインを学んでいましたが、佐藤さんと丹野さんは文系出身で、工学の知識はまったくない状態からスタートしたといいます。実は岩沼精工は文理の区別なく社員を採用しており、知識のない文系出身の若者のほうが、むしろ他社で経験のある中途採用者よりも定着率が高いのだとか。

今回インタビューに応じていただいた皆さんは、他の部署の技術も身につけたい、機械のメンテナンスができるような知識も持ちたい、女性ができないと思われているような溶接などの仕事もできるようになりたい、と非常に向上心が高いのが印象的でした。

新しい工場も完成

最後に、製造部の佐々木勝記さんに工場を案内していただきました。
佐藤さんが担当する金型のプレス機、東海林さんが担当する図面を書いてプログラムするマシニングセンター(自動加工機)、伊藤さんが担当する切削用のフライス機など、工場内には様々な機械があります。また、丹野さんは、製品の検査や測定、梱包といったプロセスを担当しているそうです。工場内はとても整理整頓が行き届いており、機械や金属加工の大きな音が響いていました。

▼工場内を見学!
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募集内容

新卒・中途、学歴、文理等問わず募集しています。経験者歓迎ですが、未経験者も積極的に採用しています。
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▲岩沼精工本社

編集後記

取材・執筆:小林奈央(東北学院大学4年)

岩沼精工ーD7K_2268機械工業。高い専門技術を持つ男性社員が黙々と機械を動かし、精密な金属部品を生産している、まさに職人気質の仕事であるイメージです。文系かつ女性である私は、少し遠い世界だと思っていました。
しかし実際にお話を伺ってみると、従業員は採用されるまでに機械工業に携わった経験がない人が多いのだとか。さらに現在働く人のうち2割以上は女性だと聞いて驚きました。
「経験は問わず、自分のやりたいことを持っていて、目標に向かって頑張る人を求めている」と語る千葉社長。アイデアや製作意欲を大切にしてほしいと考え、社員が新しい仕事の分野にチャレンジしやすい環境づくりにも力を注いでいます。
インタビューに応じてくださった若手社員の皆さんも、普段から会社について意見を交わしたりお互いの仕事をフォローし合ったり。切磋琢磨が出来る職場の環境に「働きやすい!」と太鼓判。その上で「もっと複雑な機械を動かせるようになりたい」「仕事の幅を広げたい」と口を揃えます。金属部品の生産現場には、従業員一人ひとりの創意工夫と向上心が満ちていました。

取材協力:株式会社岩沼精工

※記事(企業情報・求人情報)は、宮城県仙台地方振興事務所 「被災沿岸地域に対する商工観光連携促進事業」の一環で執筆したものです。

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