言葉の壁を取り払い、東北のおもてなし力向上をサポート!「ライフブリッジ」
でも外国語での接客って難しそう・・・。
そんな時に知った「ライフブリッジ」の掲げる外国人ファンを増やす接客術。一体どんなことをしているの!?いざ、潜入!
ライフブリッジってこんな会社
仙台駅から地下鉄で約20分の泉中央駅。カフェや飲食店が並び、にぎわう駅ビル内をエスカレーターで上り、様々なオフィスが入るフロアを奥に進むと株式会社ライフブリッジがあります。
お話を伺ったのは社長の櫻井亮太郎さん(42)。
接客英語セミナーや翻訳、留学斡旋、企業へのバイリンガルな人材の紹介事業を行っている会社です。2006年に創業し、今年で10年目を迎える会社の社員は4人、平均年齢は26歳です。
ライフブリッジは仙台出身の櫻井さんが15歳でアメリカに留学、その後も大学、欧州の企業での勤務など10年間の海外生活を経て設立した会社。
「今まで訪れた33か国の中で、この先どこで生活していきたいかと考えた時に真っ先に思い浮かんだのが仙台やその周辺の東北の地域でした」。世界中にもっと日本のこと、東北のことを知ってほしいという思いがあったといいます。
会社を立ち上げたばかりの頃は、留学斡旋とバイリンガルの人材紹介が中心でした。当時、東北を訪れる外国人観光客は増えつつあり、松島で行った講演を皮切りに研修の依頼は増加していきました。
言葉の壁を取り除く研修で、東北のおもてなしを支えます
ライフブリッジでは「外国人おもてなし研修」という接客英語セミナーを提供しています。「研修の目的は英語が上達することではなく、商品を売れるようにすること、お店の売り上げを上げることです」と櫻井さん。
研修にはオリジナルのテキストを使います。櫻井さんが海外で英語を勉強する中で経験した上達のコツを盛り込んだものですが、そのままでは使いません。研修の前に依頼主にアンケートをとり、問題点を洗い出した上で、要望や地域の特徴に合わせてテキストにアレンジを加えます。お客さんに合わせたオーダーメイドです。
▲実際に使用しているテキスト
研修では英語の苦手意識を取り払うことから始めます。大事なのは、「英語を話すこと」ではなく、「伝えたい内容が相手に伝わること」。
きちんとした文法の英語を話そうとするよりも、「はい、ワンハンドレットエンお釣りね」と日本語の中に知っている英語の単語を混ぜるだけで伝わるのだといいます。
覚えやすく、すぐに使うことができるように、会話の例文は接客だけに絞り込み、4単語以内のフレーズにしています。「発音矯正」ではカタカナを用いて言葉を学ぶことで、ネイティブ並の発音に。さらにロールプレイ形式の接客練習を行うことで、誰でも臆せず英語でコミュニケーションが取れるようになるのです。
「日本語で普段接客しているときと同じように、外国人に対してもシンプルな英語とジェスチャーを交えながら方言や笑顔で温かみのある接客をしてほしいんです」と櫻井さん。
▲接客のロールプレイ。皆さん真剣な表情です。
これまで秋保温泉・鳴子温泉・小野川温泉街の旅館やホテル、他にもアパレル、飲食店、観光施設、交通機関の企業に対し研修を行ってきました。昨年だけで60回以上開催した研修は、受講者から、外国人への接客に対する不安が減った、英語での接客ができるようになった!と喜びの声がたくさん届いています。
英語をただ学ぶだけでは、接客に生かし売り上げを伸ばすまでにとても時間がかかってしまいます。どうすればお客さんの宿泊施設や観光が外国人にも心地よい接客ができるのかを本気で考え、すぐに実践できるプログラムを提供する。
研修を通して東北のおもてなしを支えています。
イメージできる翻訳を重視!東北の情報発信を支えます
日本の商品やサービスを海外に発信するため、ライフブリッジは8か国語の翻訳業務を行っています。メニューやウェブサイト、商品カタログだけではなく、契約書や医療機器マニュアルや論文といった専門的なものまで対応しています。
支えているのは社員の他に、8か国語に対応した在宅の登録スタッフ。言語の種類や得意分野、状況に合わせて仕事を各スタッフに依頼する方法をとっています。
重視しているのは「イメージできるように翻訳すること」です。
日本では日本語をそのままローマ字表記に変えているだけのことがとても多いと櫻井さんはいいます。例えば、ラーメン屋さんのメニュー。「つけ麺」を「Tsukemen」と書いてあっても、外国人のお客さんがどんな料理なのかを知らなければ伝わりません。これを「Dipping Noodle」と訳すだけで、イメージが伝わり、購買意欲にも繋がります。
翻訳の依頼は研修を受けたホテルや企業からが多いそう。「伝わること」を重視しているライフブリッジだからこそ、お客さんは商品やサービスの情報をより正確に発信するために、社員の英語研修と翻訳を組み合わせて依頼してくれるのです。
今が東北を世界へ売り込むチャンス!
櫻井さんと共に研修を担当している阿部千賀子さん(29)にお話を伺いました。
ライフブリッジで働き始めて3年目の阿部さん。18歳の時の初めての留学ではライフブリッジのサポートを受けました。イギリスやスイス、アラブ首長国連邦を回りホテル経営などを学んだのち帰国。海外で過ごした約8年間の経験から日本のことをもっと発信していきたいと感じ、仕事を探していたといいます。櫻井さんの研修に同行したことがきっかけでライフブリッジに就職しました。
会社での仕事は、外国語での接客に自信がない、でもきちんとおもてなしをしたいというニーズに応じた取り組みです。しかもライフブリッジのサポートをきっかけに海外から東北に来る観光客が増えるかもしれない夢のある事業だと考えており、やりがいを感じるといいます。
「全く英語を話せなかった人も、自分から外国人のお客さんに声を掛けて、寄り添ってあげられるようになってくれたらいいな」と、嬉しそうに話してくれました。
ライフブリッジは2015年の4月に、大阪で営業所を立ち上げ、東北で提供してきた研修を西日本でも行えるようになりました。すでに三重や静岡といった観光地から依頼が来ており、活躍の場が広がっています。
国や県の動きも意識していると櫻井さんはいいます。宮城県秋保温泉でG7財務相・中央銀行総裁会議が2016年5月に開催されることが決定しました。北海道新幹線の開通や東京オリンピックもあります。
「東北を盛り上げるチャンスだと考えています。ライフブリッジではさらに研修や翻訳に力を入れて、お客さんをサポートし、しっかりした外国人観光客の受け入れ態勢を作っておきたいですね」。
地元の人たちが、この問いにどれだけ答えられるか、考えずに答えられるかがその地域の価値であり、数がリピーターの可能性を表しているといいます。
上手く答えられなかった私ですが、「東北のためになにかしたい」と漠然と考えているよりも、まず東北を知ることから始めていけばいいのではないかと気が付きました。
「今取り組んでいる研修は、すぐに目に見える結果が出るものではないけれど、継続していくことが大切。だから会社が一丸となって頑張っていきたい」と、櫻井さんも阿部さんもそれぞれ話していました。外国人観光客を受け入れる体制がどんどん整い、東北に足を運ぶ人が増えていく・・・。社員全員の強い気持ちが一つになっているライフブリッジが、東北の未来を変えていくのではと感じました。
大好きな東北への思いと自分自身の経験や強み、さらに将来をしっかりと見据えたニーズを組み合わせることで私にも出来ることがあるのかも!まずは、留学生の友達を連れて、東北を知る旅、始めようかなあ。
この記事を書いた人
- 生粋の田舎娘、‘すげのちさ’ と読みます。仙台は都会ですね。よく迷子になります(いつもか)。グーグルマップが手放せません。でも地図を読むのが苦手なので使いこなせない…。笑 こんな私ですが、読者の皆さんを取材現場に連れて行くことが出来るような記事を書いていきたいです!
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