学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

新鮮野菜をお届けします!生産者と消費者を結ぶ「グッドラウンド」

葉坂真奈美 葉坂真奈美
2,140 views 2015.02.02
葉坂真奈美 葉坂真奈美 宮城学院女子大学(執筆当時)
昨年末、自分の中で空前の鍋ブームが起きました。毎日鍋、鍋鍋鍋…。気が付けば1カ月鍋生活。最近は新たに、素材の味を強く感じられる温野菜にハマっています。私って実は野菜好き?そんな時に出会ったのが、流通という形で野菜を扱っている「株式会社グッドラウンド」。今の自分に持ってこいの会社ではないだろうかと思い、取材してきました!

グッドラウンドって、こんな会社!

仙台市若林区連坊に事務所を構えるグッドラウンド。2012年5月に設立し、社員数は現在6名です。社名には「生産者と消費者が良い縁で結び付いてほしい」という社長の吉丸直登さん(29)の思いが込められています。

グッドラウンドの事業はズバリ流通。農家が作った農産物を、スーパーなど小売店へと配達するお仕事です。野菜を届けているのは宮城県内の大手スーパーや飲食店などで、要望があれば個人からも配達を請け負っています。現在、契約している集荷先の農家は約60軒に上ります。ほかに、県内各地を回り直接消費者に野菜を販売するマルシェを開催しています。

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泉中央駅の目の前にある「イトーヨーカドー アリオ仙台泉店」。ここではグッドラウンドの特設売り場を出店しており、県内の採れたて野菜約20種類が並んでいます。

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ダイコンやネギ、ホウレンソウといった定番から、サトイモの茎を干した「芋がら」や白いニンジンなど珍しい野菜までそろっています。生産者の顔を写した大きなパネルや、野菜の特徴が書かれたポップを見ながら、商品を選ぶことが出来ます。商品の生産者名義には「グッドラウンド」の文字が。

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こちらのさわやか笑顔のイケメンが社長の吉丸さん。取材中も同行したカメラマンに頻繁にちょっかいを出す、茶目っ気たっぷりな方です。

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仙台の企業魅力3つ

鮮度が自慢!甘みたっぷりのキャベツ

グッドラウンドの売りは、何といっても野菜の鮮度。「普通、野菜は市場に出荷すると保管されます。店頭に並ぶのは収穫されてから2~3日経過したものです」と吉丸さん。しかしグッドラウンドの野菜は違います。農家から採れたての野菜を自ら集荷して直接売り場に運ぶことで、収穫から1日で販売を可能にしているのです。

実は私、グッドラウンドの野菜が気になって取材前に食べてみたんです!「生の味を確かめたい」と思い選んだ野菜はキャベツ。蔵王町で採れたもので、1玉の値段は税込179円(12月18日現在)。ちなみに他のスーパーでは、愛知県産のものが税込245円でした(1月21日現在)。

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一般的なキャベツは外側の葉がヨレヨレで、ちぎって捨てられているのを売り場でよく見かけますよね。しかしグッドラウンドのキャベツの表面には水滴がびっしり付いており、みずみずしさが見てとれます。色はごく薄いきれいな緑色です。

では、いざ実食。〝違いの分からない女〟を自負している私…大学の友人らにも試食してもらいました。

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食感はパリパリ。甘みが強く感じられました。野菜好きの友人は「普段食べているキャベツより水分が多いように感じる。こんなに新鮮なら、食物繊維が豊富でお腹によさそう」と大満足の様子。

吉丸さんによると、雪の下で育つことで糖が沢山含まれ甘みが強くなる「雪下キャベツ」だったそうです。そのままでもおいしいキャベツ、ごちそうさまでした!ちなみに今が旬なのはホウレンソウなどの葉物野菜で、これからの2~3月はイチゴが特においしい時期だそうですよ。

農家との強い信頼関係

一般的な流通では、農家が自ら収穫した野菜を市場に持ちこまなければならない上、商品の価格決定権はありません。しかしグッドラウンドの流通は大きく異なります。社員がトラックで農家まで出向いて野菜を集荷し、そのまま小売店や飲食店などに配達するのです。しかも価格決定権は農家にあります。

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ミョウガタケを出荷した名取市の三浦隆弘さんです

「収穫した野菜を置いておけば、翌朝ウチが集荷しに来る。運ぶ手間が省けて、その上値段を自由に決められるなんて、農家さんにとって良いことづくしですよね」と吉丸さんは話します。

トラックのガソリン代がかかる上、野菜の売れ残りが出るので大変だと感じることもあります。しかしこれらの努力が、結果的にグッドラウンドが農家に支持してもらえる理由につながっています。「私たちは農家さんを支える黒子の存在。しかし農家さんにとって“なくてはならない存在”になっていきたいです」。

農家との関係を築くために、吉丸さんは普段から「face to face」を大切にしています。
吉丸さん「1週間のうち1日だけ、同じ人と3時間話す。もしくは毎日、5分だけ話す。どちらがいいと思いますか」
葉坂「うーん…1日3時間はきついですよね」
吉丸さん「そうですよね。会話は時間ではなく、回数を重ねることが大切なんです。顔を見せる、見せないでは、相手に与える安心感が大きく違ってきます」

「今日はいい天気ですね。どんな野菜が採れましたか?などとあいさつをするようにしています。何気ない会話ですが、普段から心掛けていることです」。ただ野菜を運ぶだけでは決して成り立たない、農家との強い信頼が見られました。

お客さんのリクエストに応えた品ぞろえ

「本日は鍋用のネギ、水菜などが100円と大変お買い得です」。場所は仙台市泉区高森のショッピングモール「キャラウェイ」。ほがらかに野菜を売り込む社員の声がフロアに響きわたります。

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グッドラウンドは流通事業だけでなく、直接多くの消費者に野菜を届けることに力を入れています。毎週火・木・日曜日のキャラウェイへの出店もその1つ。「地域のおばあちゃんたちにとって使い勝手のよいお店」がコンセプトで、頻繁に買い物に行くことが難しい年配者の声に応えた品ぞろえを意識しています。

ジャガイモやタマネギなど定番の野菜に加え、あんぽ柿や生卵、桑茶などお客さんの要望で取り入れた商品もあります。リクエストに応えたラインアップが、スーパーの売り場との大きな違いです。

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常連にも、初めて来店するお客さんにも、社員は積極的に話し掛けます。数ある野菜の中からキクラゲを発見し、「どうやって調理するのだろう…」と考え込む私に、「1分ほどゆでで、サラダや炒め物でいただくとおいしいですよ」と気さくに話しかけてくれました。

グッドラウンドは今後、東京や海外への進出を目指しています。しかし「県内の農家だけで販路拡大を進めている現状では、県外に売り込むのは難しい。まずは東北のイメージを作りたい」と考えています。例えば、東京の人に「宮城の野菜はいかがですか」と言っても、具体的な野菜をイメージしづらいですよね。しかし農業の範囲を東北まで広げると、山形にはサクランボが、青森にはリンゴがあります。まずは東北の枠を作り、「東北の野菜といえばグッドラウンド!と言っていただけるようにがんばります」と力強く語ります。

素直な社会人であれ

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社会人として、若いうちは「素直さ」が必要だと吉丸さんは言います。「俺は、私はこういう考えだから…」と我を持つ事も必要ですが、まず先輩方のやり方や考え方を素直に受け入れてみるのがよいと考えているそうです。社会に出ると学生時代の常識や経験が通用しないからです。「まずは先輩から吸収し、協調性のある人材になってほしいです」。

「ビジネスで成功している諸先輩方は、頑張っている若者を応援するのが大好き」とも話します。吉丸さん自身、会社立ち上げ時に出資をしてくれた方にこんなことを言われたそうです。「このお金はドブに捨てたと思っているから返さなくてもいい。だからあなたが私のような立場になった時、私がしたのと同じように頑張っている若者を手助けしてあげて」。人生の先輩に助けられた経験が「自分もいつか還元する側になって頑張っている若者を助けたい」という考えにつながっています。

起業の理由を聞くと、「車が欲しかったんです。フェラーリに乗りたくて」と記者もびっくりな答えが。最初はそんなスタートだったそうです。しかし今は「トラックをそろえて、社員にこのくらい給料を出して…」と会社のことを優先しています。いつの日かフェラーリに野菜を積んで配達するのでしょうか。今回の取材で、私たちの食生活を裏方として支えている存在を再認識することができました。生産者とグッドラウンドが野菜にかけている愛情を知り、今日もますます野菜がおいしく感じられます。

葉坂真奈美葉坂真奈美宮城学院女子大学(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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株式会社グッドラウンド
http://goodround.jp/
資本金5,000,000円
住所仙台市若林区連坊2丁目10-28 イースタンハイツ連坊A102
電話番号022-765-1977