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新しい宿泊スタイルを生み出し、社会問題に取り組む「百戦錬磨」

大熊望鈴 大熊望鈴
2,635 views 2015.01.30
大熊望鈴 大熊望鈴 宮城学院女子大学3年(執筆当時)
皆さん旅行は好きですか?見知らぬ土地にドキドキワクワクしながら、観光名所を見て、温泉で温まり、名産を味わう…まさに旅の王道コース!でも、そんなお決まりのコースだけではなく「その土地の暮らし」をそのまま体験できたらもっと楽しいと思いませんか?今までになかった「新しいスタイルの宿泊」を実現しようと動き出している会社があるらしいのです。一体どんな宿があるの?好奇心いっぱいでお邪魔してきました!

百戦錬磨って、こんな会社!

「株式会社 百戦錬磨」は、仙台市青葉区本町に本社を置くベンチャー企業です。創業は2012年。特徴的な社名は、「失敗を恐れず、何度でもチャレンジしよう」という思いを込めて名付けました。ほかには東京に2つのオフィスがあります。社員は総勢42名です。

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インターネットを通じた旅行事業を展開している百戦錬磨は、マンションや一軒家の空き部屋を宿泊先として旅行客に紹介するサービス「TOMARERU(とまれる)」の実用化を進めています。また、農林漁家民宿を仲介する「とまりーな」も行っています。取締役兼システム開発部部長の三口聡之介さん(39)にお話を伺いました。

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仙台の企業魅力3つ

時代を先読みする新しい「宿泊」

百戦錬磨は、「従来の旅行の形にとらわれず、新しいサービスを生み出すことを目標にしている」と言います。スピード感を大切にしているので、アイデアを出してから実際にサービスとして形になるまでに何と1カ月かからないこともあるとか。

その中の1つが、いま実用化を進めているTOMARERUです。今までの宿泊サービスとの一番大きな違いは、都市部の空き家やマンションの空き部屋を活用していること。中長期滞在をする方にお薦めだそうです。

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海外の法人が運営する宿泊サービスには空き部屋を活用したものがあったそうです。しかし、日本の法律では一般民家に旅行客が宿泊するには営業許可が必要です。三口さん達は諦めず2013年夏から国などに掛け合い、時間をかけて規制緩和を実現してきました。

まだ実際に稼働はしていませんが、実現したら日本法人が運営するサービスとして初の取り組み!現在は予約用のウェブサイトの制作を進めています。また、宿泊先として協力してくれる空き家のオーナー探しに奔走しているそうです。

「旅行先で暮らすように宿泊が出来ることで、現地の人と触れ合うことができ、一味違う旅行を楽しめます」。部屋の種類も幅広く、「アニメ部屋やアイドル部屋みたいに、オーナーの個性あふれる部屋もいいよね」と三口さんは夢を広げます。内装が画一的なホテルとはまた違う「民泊だけの面白さ」です。

「空き家の活用」は社会問題の解決にもつながります。現在、空き家は全国で約820万戸。ゴミの不法投棄や放火など犯罪の温床になりやすく、震災などの災害時には倒壊して避難経路をふさいでしまう恐れがあります。そこで、TOMARERUで空き家を活用して人が出入りすることで、管理も行き届きやすくなるといいます。

2020年東京五輪に向けて、TOMARERUは観光業界からさらに注目されています。訪日外国人の数は、五輪時は現在の倍近くの2000万人と予想されています。このままでは、宿泊地は一説によると1日あたり4万部屋も足りません。画期的なサービスの実現を目指したのは、「今後予想される日本の問題をどうにかしたい」という思いからでした。

斬新なアイデアを生み出す環境作り

「0から1を生み出せる人か、1から1000を作れる人に即戦力となってほしい」と話す三口さん。社員のクリエイティブな発想力を伸ばすために、職場の環境づくりを一工夫しています。

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社内にボードゲームを発見!まさか仕事中に遊んでいるのですか!?いえいえ、これには理由があります。ボードゲームはコマやカードを使って、頭を働かせる遊びです。社員同士でチームとなってゲームをすることで会話が盛り上がり、互いにどんな思考を持っているのかが分かるのだそうです。「コミュニケーションを取り合うことで、強いチームワークも生まれる」と言います。

また、仕事に必要な備品は環境整備費として、会社が社員一人ひとりに支援しています。入社時は年収の2%分にあたる金額内で、お気に入りのイスやペンを購入して、自分の落ち着く仕事場を作ることができるのです。

なるほど。時代に先駆けたアイデアを生み出す秘密の1つは、社員の自由な発想をサポートする環境なのかもしれません。

採用面接では「人生で転換期となる選択を迫られたときの答えと理由」を聞くようにしています。「納得のいく答えを返してくれる人なら、一緒に働く上で安心して判断を任せられる」のだそうです。

社員にはとにかく何でもやってみるように促します。自立して行動できる人になってほしいためです。一方で、チーム力も大事にしています。「アシストしてくれる人たちがいないと大きなものは作れないからね」と三口さんは言います。

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ビジネスを通じて社会問題に取り組む

百戦錬磨を運営するトップ陣は、旅行会社やオンラインゲーム会社など多彩な業界から集まったプロフェッショナル集団です。新たなサービスを生み出そうと集まりました。代表の上山康博さん(54)と三口さんは、前職の関係で知り合いました。上山さんが独立して百戦錬磨を立ち上げる際に、信頼を寄せていた三口さんを誘ったといいます。

上山さんが惚れ込むほど異彩を放つ三口さん。なんと大学生にしてすでに起業していたとか。起業のきっかけは大学に入学して、ボランティア活動を始めたこと。ボランティアを通して「無償で善意を行い続けるのはなんて難しいんだろうと感じました。でも、ビジネスなら継続や拡大するためのお金を稼ぎつつ、社会問題に取り組み続けることができると思ったんです」。この経験が糧となり、「空き家問題」や「訪日外国人の宿不足」といった2つの社会問題を一気に解決するアイデアへとつながっているのです。

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お客さんに信頼される会社へ

今の時代はアニメやドラマのロケ地を巡る「聖地巡礼」など、旅行会社に頼らずとも、「ユーザー自らがオリジナルの旅行を作り出している」と言います。旅行のスタイルが進化していく中で、百戦錬磨が目指すものは何でしょう。

「宿泊客とオーナーの両方に支持してもらえるサービスを作りたい」。TOMARERUは、宿泊客のメリットはもちろんですが、オーナーにとっても利益が出るような仕組みになっています。民泊で宿泊客が最も不安に思うであろう安全対策もできる限り講じています。騒音などにすぐに対応できるようにとコールセンターを設ける予定です。家具や部屋が壊されたときの保険も整えます。

アフターフォローをしっかりとすることで、「皆に信用される会社」を目指しています。「皆にとっていいものを作り続け、世界一の旅行会社になってみせます」と力強く話していました。

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百戦錬磨が困難にぶつかっても諦めずに奮闘するのは、ただ利益を生み出したいという気持ちではなく「お客さまに満足してもらった上で、社会問題を解決したい」という熱い気持ちがあるからだと分かりました。また、大学生のときに感じた思いを社会人になっても持ち続ける三口さんの姿に感動しました。大学3年生で就職中の私。就職しても自分の気持ちを大事にして、百戦錬磨のような情熱を傾けられる会社に入りたいなと思いました。無事就職できたら刺激を求めて、TOMARERUを真っ先に利用したいです!

大熊望鈴大熊望鈴宮城学院女子大学3年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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株式会社百戦錬磨
http://www.hyakuren.org/
従業員数42人
資本金162百万円
住所宮城県仙台市青葉区本町2-17-17 田畑ビル3F (仙台オフィス)
電話番号022-797-2590

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大熊望鈴
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