広がれ 女性支援の輪「みやぎジョネット」
この9月に一般社団法人ワカツクと河北新報が主催した記者インターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。「被災地の中小企業」をテーマに、参加学生が7つの班に分かれて取材した記事を本日から連続で紹介します。
広がれ 女性支援の輪
被災者同士の交流サロンや悩み相談、託児、パソコンや裁縫の講座―。
白い大きなキャンピングカーを利用した宮城県南三陸町の「ジョネットハウス」は、地域の女性にさまざまな形で活用されている。
運営は仙台市の団体、みやぎジョネット。
東日本大震災で被災した女性を支援するため、2011年5月に設立した。
震災直後、代表の草野祐子さん(63)は、避難所で苦労する女性の姿を目の当たりにした。
男性もいる中で仕切りのない生活。
着替えも、布団の中でしなければならず不便を強いられていた。
「避難所のリーダーは男性が多く、女性の声は届きづらい。女性ならではの支援が必要だった」と話す。
3年半の間、草野さんらスタッフは積極的に被災地へ足を運び、苦労する女性を支援してきた。
南三陸町の千葉公子さん(62)は、ジョネットの助力で生活を再建させた一人だ。
千葉さんは、姉が社長を務める「ちばのり屋」の専務。
震災で工場と店舗を失い、廃業も考えた。
「何とか仮設住宅で店を始めた時、草野さんと出会いました。
全国の婦人会などに商品を紹介してくれたんです。
売り上げは震災前に比べて約2割伸びました」。
再建した「ちばのり屋」は、震災で失業した4人を新たに雇い入れた。
千葉さんは「他の女性の助けになれば」と、社有地をジョネットに提供。
そこに現在、ジョネットハウスが置かれ、被災地の女性の交流の場として役立っている。
「一人を立ち上がらせることで、周囲にも良い影響が及ぶ」と草野さんは強調する。
震災の発生から時は過ぎたが、常に揺れにおびえる子供を抱え、
身動きの取れない母親や、両親の介護に追われる人など、支援を必要とする女性はまだ大勢いる。
ジョネットのスタッフは現在約20人。
困っている女性全てに手を差し伸べるのは難しいかもしれない。
しかし、草野さんは「地道に支援を続ければ、助け合いの輪が広がるはず」と前を向く。
今日もみやぎジョネットの扉は、女性のために開け放たれている。
【被災地で開く交流サロンもジョネットの重要な活動の一つだ=宮城県南三陸町の老人ホーム】
中央大3年 市川紗瑛子
法政大3年 石崎健太
宮城学院女子大1年 葉坂真奈美
山形大2年 鈴木里緒
この記事を書いた人
- 一般社団法人ワカツクと河北新報社が主催するインターンシッププログラム「記者と駆けるインターン」。学生たちがチームを組んで、仙台の中小企業や団体を取材した記事を紹介します。ときに励まし合い、ときにぶつかりながら、チームで協力して取り組んだ“軌跡”をお楽しみに♪
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