身近な大人に聞いてみた はたらくってどういうこと?
ワタシゴト

会社のために、お客様のために、夢のために。働くことが楽しい。

小林奈央 小林奈央
831 views 2014.10.06

高橋勝義さん(30歳) 株式会社一の坊

社員が働きやすい職場環境づくり

「働くって、楽しいですよ」。
高橋勝義さんは快活な笑顔で話します。大学卒業後に株式会社一の坊に入社。今年で7年目になります。

一の坊は、松島や作並温泉などにある4つの宿泊施設をはじめ、飲食店、さらにはガラス美術館を経営。お客様と社会に元気を提供している宮城を代表する企業のひとつです。高橋さんは人事主任として就職採用試験・面接や、社内報の作成などに従事しています。

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「社員が働きやすいと会社も元気になる。そして、お客様へのより良いサービスにつながるんです」。
従業員が働きやすいように職場環境を改善するのも人事の仕事。高橋さんは2012年、実行委員長となり、「二つの快適キャンペーン」に取り組みました。「二つ」とは従業員とお客様を指します。従業員一人ひとりの気づきを大切にして、業務の中で困っていることや気になることを集め、それを一つひとつ改善しています。

あるフロントスタッフから「毎朝多くのお客様から、朝食会場がわからないと場所を聞かれる」という声が上がりました。どうしたらお客様に分かりやすいか自分たちで考えて提案し、その結果、通路の角に案内板を設置することになりました。お客様は迷わずに朝食会場に行けるようになり、フロントスタッフも朝の仕事に集中できるようになったそうです。

趣味からつながった、やりたい仕事

出身は宮城県大河原町。東京の大学に進学し、学生時代はスノーボード愛好会で雪山を楽しむ日々を送っていました。
「合宿でペンション、ホテルに泊まる機会が多かったんです。旅行会社とやり取りしたり、実際に宿に行ったりするうちに、観光の仕事に興味を持ちました」。特にペンションは食堂やお風呂でほかの宿泊客と出会って話すうちに親しくなり、次の日ゲレンデで顔を合わせて挨拶したり。「人との温かいつながりができる場所」であることが、とても魅力的に思えたそうです。

「いつか自分でペンションを経営したい」という夢を抱き、勉強のために観光業への就職を考え始めます。大学4年の春休みに初めて参加した企業の合同説明会で、最初にのぞいたブースが一の坊でした。「地元で働きたい」と思っていたこともあり、内定をもらった際に就職を決意しました。

これからの一の坊とお客様のために

一の坊では高校生、大学生を問わず新卒者の採用を積極的に行っています。「一の坊で働きたい!という熱意を持っていてくれるとうれしい。自分のやりたいことをしっかりと持って、積極的な姿勢を見せて欲しいです」と高橋さん。

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今の若者は指示や機会などをとにかく「待つ」傾向にある、と高橋さんは言います。もちろん、見て学ぶのも大事ですが、教えてもらったこと以上のことを行ったり、感謝の気持ちを返そうとしたりする姿勢も大切だそうです。
採用した従業員は一の坊の今後を担う人材になります。「人事の立場からすると、従業員もお客様と同じくらい会社にとって大事なんです。これからも従業員とお客様に向き合う姿勢を大切にしていきたい。今は人事として、一の坊が末永く続いて行くように貢献したいですね」。ペンション経営の夢を温めながら、お客様のため、会社のため、従業員が働きやすい環境を目指して、経験を積む毎日です。

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就職活動をする学生がしておくべきことは二つ。「やりたいことを見つける」と「生涯の友を作る」です。就職すると、仕事が最優先事項になります。1日の大半を占める仕事の時間は、苦しむよりも楽しく感じたいもの。楽しむためには、自分の仕事に夢や目標を持つことが大切です。自分自身が仕事に対して考えたことや働きぶりによって仕事の可能性が無限に広がっていきます。取り組んだ仕事が完了した達成感や仲間・お客様との信頼関係が築かれるのを実感できることも大きな幸せです。
そして、辛いことがあった時の支えは切磋琢磨しあえる友人です。例え、すぐに会える距離にいなくても「あいつも頑張っているから、俺も頑張ろう」と思えます。

一番印象的だったのは「失敗とミスは違う」という高橋さんのお言葉。仕事での失敗・成功のエピソードを伺っていた時でした。反省することも多々あるとお話ししてくださいましたが、「失敗」はチャレンジの結果であり、「ミス」は決められたことが出来なかったときのものだそうです。そこから「挑戦した上での失敗」はたくさん経験し、反省して学ぶべきなんだと気付かされました。前向きに仕事をする高橋さんの「働くことを楽しむ」秘訣なのかもしれません。
小林奈央小林奈央東北学院大学3年(執筆当時)
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