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【仙台いきもの図鑑】File No.4 おキクさん お茶を囲む団らんファミリー

シズカ シズカ
519 views 2014.04.14
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家族がいるって?!

普段はマジメな顔をしている会社やお店。そこに生息している謎の「いきもの」の働きっぷりから、企業の意外な一面が見えてくるかも?!
「おひとりさま」が多いゆるキャラ界。仲間はいても家族がいるキャラクターは珍しい。ところが仙台には、家族でお茶を囲んで団らんをたのしむ「いきもの」がいました!
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▲入口のカウンターの木の手すりが味わい深い

お茶の会社のおキクさん

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訪問したのは仙台市青葉区大町にある「お茶の井ヶ田株式会社」の本社。創業して94年の老舗です。常務取締役の今野順子さんにお話をうかがいました。
緑茶色の着物が似合う、福々しい顔立ちのおキクさん。「キク」は井ヶ田のオリジナルのお茶のお菓子「喜久福」や、甘味・お食事処の「喜久水庵」のキクに由来。2004年にひょっこり現れ、初売りを紹介するチラシに登場しました。
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▲おキクさん初お目見え

年の差ありすぎの幼なじみ?

ところで、おキクさんは「幼なじみの抹茶先生がいる井ヶ茶家に居候中」とのことですが、抹茶先生はおじいちゃん…ですよね。おキクさんとはだいぶ年の差があるような…。

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今野順子さん
おキクさんは、ちょっと大人になった座敷童子(ざしきわらし)です。
*常務取締役。お話される声が耳に心地よかったです。音大出身と伺って納得。

旧家に住みつき家を守ってくれる家神様の座敷童子がいるなんて、さすが老舗!でも、あれ?座敷童子って子供じゃなかったっけ。「ちょっと大人」に、なるの?
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会えたあなたは運がいい!

座敷童子は「姿を見た者は出世し、その家は栄える」と言われるほど珍しい存在。もちろん、井ヶ田のおキクさんだって同じ。でも、トクベツに(?)お茶の井ヶ田一番町本店や宮城県内に6店舗ある喜久水庵をはじめ県内外の販売店では、印刷やぬいぐるみの分身が活躍しているので、存在は社員にも浸透しています。リアルでは滅多に会えないし、見ることができないおキクさんが店頭に立つのは基本的に初売りの時だけ。それもお茶の井ヶ田一番町本店にしか出勤しません。もし会えたらラッキー!
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▲おキクさん初売り応援中!

ロマンチックになりそこねた

座敷童子でも時々は出張に行くようで、喜久水庵南吉成本店18周年を祝う周年祭に出たり、イベントに出ることもあります。私たちの世界に登場した時のおキクさんは、和服美人らしくチョコチョコと歩いておしとやか。あるイベントでは、リアルでの出動があまりに久しぶりすぎたせいなのか、ステージにあがる階段を登れず立ち往生。その間、ゲストは檀上でまちぼうけ。

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大丈夫です。スタッフ数人でステージに担ぎあげました。

女子の憧れ、お姫様抱っこだったらロマンチックだったのに…。

社是を体現、団らんファミリー

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「自然の恵みと日本文化の香りを大切に心豊かな和み溢れる絆を作り続ける私たちでありたい」という井ヶ田の社是にピッタリのおキクさんとそのファミリー。そういえばどことなくおキクさん達と社員をはじめとする井ヶ田の人々の人柄もカブるような…。
今野さんは、「今は『お茶の間』という空間や、お茶の間に『家族が集う』習慣、家族で『お茶を飲みながら団らんする』風景が少なくなってきている」といいます。「でも、震災をきっかけに『絆』という言葉をよく耳にするようになって、絆という言葉自体は一般化してしまったけれど、団らんの場が必要なのは確かだと思うんです」。

もてなす心を育む会社

井ヶ田の本社ではお昼や午後3時の他にも、仕事の合間にお茶で一服する習慣が今も根付いているそう。井ヶ田のお店でも、お客さまにお茶を振る舞います。

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接茶(せっちゃ)と言います。お茶をお出ししてもてなすことは基本です。

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新入社員は皆、入社すると、お茶っ葉の量、急須の使い方からお茶の淹れ方を習います。ペットボトルのお茶が一般化している今、なかには日常的に急須でお茶を淹れる習慣がない人も。ペットボトルの味に慣れた人は、急須のお茶を飲むと「苦い」と言うそうです。
店頭に立つ社員の中には日本茶インストラクターの資格をもつ人も。この資格試験は、お茶に関する専門的で幅広い知識が必要なだけでなく実技もあり、講座や受験料は割と高額。資格修得は義務ではないものの、会社では1回目の受験料を補助しています。時間もお金も掛るにも関わらず社員が自ら進んで勉強に取り組むのは、毎日お客さまのためにお茶を淹れて振る舞う接茶からコミュニケーションが生まれ、お客さまをもてなす心が自然に育まれていった結果なのかもしれません。

えっ?!あのお菓子がここで!

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最後にどうしても気になっていたことを伺いました。
あのぉ、隣の建物は煙突から湯気が出ていたけど、もしかして工場ですか?

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隣では喜久福を製造しています。工場の建物は1945年の仙台空襲の焼け野原の中に残っていた蔵。外装の石はそのままだけど、中はきれいに改装しました。今いるこの建物の2階ではどら焼きを作っています。こちらの建物は元々は製茶の工場でした。

「秘密工場みたいでしょ。うふふ」と、いたずらっぽく笑った顔が一瞬おキクさんになったような気がしました。
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仙台いきもの図鑑
名前 おキクさん
性別 ちょっと大人になった座敷童子
誕生日 ?(初お目見えは2004年)
年齢 不明(見ため年齢20歳)
生息場所 お茶の井ヶ田一番町本店、喜久水庵など各店舗
出没場所 お茶の井ヶ田一番町本店、喜久水庵など各店舗、新茶の季節は静岡の茶畑
仕事 初売りや店舗での販売の応援
好きなもの なんにでも興味津々。おいしいお茶が大好き!新茶の季節には静岡のお茶畑で茶摘みもしています。

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この記事を書いた人

シズカ
シズカ
ライター
「そんなに寒くないよ」と言われる仙台の冬が苦手な冬生まれ。
おいしいもの大好き。美味しいお店から発せられるオーラ(?)を感知するのが得意。
活字中毒気味。働いてなければ間違いなく冬ごもりします。