学生記者がお仕事の魅力を発見!仙台イケてる会社訪問
イケ社

あかもくブームの仕掛け人「シーフーズあかま」

佐々木佳 佐々木佳
5,987 views 2014.03.24
佐々木佳 佐々木佳 東北大学修士2年(執筆当時)
海藻は、美容と健康の強い味方!中でも、今年必ず来る期待の新星「あかもく」をご紹介しましょう!まだご存知なくても無理はありません。大昔から宮城の海に生えていたあかもくですが、県内の食卓にデビューしたのはわずか10年ほど前のこと。
そんなニューフェイスがついに東京でメジャーデビューを果たし、スター街道を駆け上がろうとしています。
海藻界では異例のスピード出世の裏側とは?秋葉原の大手アイドルグループの例を出すまでもなく、シンデレラストーリーには、名プロデューサーがつきものです。今回はその仕掛け人にお話を伺うため、仙石線で塩釜市に向かいました。

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「抜藻」≒「×藻」「バツモ」≒「スーパー海藻アカモク!」

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あかもくの価値に着目した商品づくりに取り組んでいる「シーフーズあかま」は、東塩釜駅に程近い住宅街にある、従業員数14名の水産加工会社です。お話を伺った赤間俊介さん(30)は、戦後すぐに操業を開始した釣り船「丸廣丸(まるこうまる)」の時代から数えて3代目にあたります。主にワカメやコンブなど海藻加工品の生産管理をしながら、あかもくの販路拡大にも力を注いでいます。

akama-kao赤間俊介さん
祖父はパイオニアでした。塩釜の活ハゼを初めて東京の市場に大量出荷することに成功し、松島湾でのコンブ養殖の第一人者でもあります。

1989年に今の会社を立ち上げた俊介さんのお父さんは、1990年に中国遼寧省大連市でワカメなどの養殖を教える経験をしました。その後も被災地域漁業者に指導したり、現在も自ら海に出て養殖に携わっているそうです。

akama-kao父は最近も、従来より収穫時期が1カ月ほど早いワカメ「金華の誉」の養殖に成功しました。あかもくに目を着けたのも、最初は父です。

今から12年ほど前、俊介さんのお父様は秋田の市場で、松島湾でも見覚えのある海藻と出会います。それが「ぎばさ」でした。「ぎばさ」とはあかもくの秋田県での呼び名で、日本海側の一部地域では昔から食べられていましたが……

ikesha-kai佐々木佳(かい)
その頃、宮城では一切食べられていなかったのですね。※海藻大好きな大学院生。特技はマイクパフォーマンス

akama-kaoそれどころか、船のスクリューに絡まる邪魔者ということで「バツモ」と呼ばれていました。

バツモ…「×藻」!?ひどい呼ばれ方……完全に「駄目な子」扱いです。
それでも商品化を目指した背景は、シーフーズあかまを創業した目的と重なります。

akama-kao父がこの会社を立ち上げたのも、傷などで値段のつかなくなった海藻を加工して付加価値をつけ、販路を拡げることが目的。同じように、これまで宮城で食べられてこなかったあかもくに価値を見出そうとしたのです。

他の海藻と比べ、丈が長く加工が難しかったということですが、短く切り揃えた上でメカブの製造ラインを使うことで「たたき」にすることに成功し、約10年前、「おさしみぎばさ」として発売を開始しました。
すると、その味に加え、栄養価の高さでも注目されるようになります。ミネラルや食物繊維、ポリフェノールに加え、生活習慣病の予防に効果があるとされるフコイダンを豊富に含むことから、健康食として売り上げは徐々に拡大し、今ではあかもく関連商品で年商の3分の1近くを占めるまでになりました。

生まれ変わって東京デビュー!

代々のパイオニア精神を受け継ぐ俊介さんは、あかもくの更なる販路拡大を目指します。これまでも「使う人の気持ちを考えた商品提案」を心掛け、100g単位からの小袋販売の開始、土産品の提案など、独自の営業活動を行ってきました。そしてこの春、俊介さんは新たに開発したチューブタイプのあかもく(パウチ型)で市場の拡大を狙います。

チューブタイプ?と思われるかもしれませんが、ちょうどゼリー飲料のような容器にあかもくを満たしたものです。使いたいときに使う分だけ出すことができ、キャップが付いて保存する際も安心。まさに、「使う人の気持ちを考えた」自信作です。

さらに、震災後から東北地方の食材のブランディングを手掛けている一般社団法人「東の食の会」と連携し、デザイナーの提供を行っているap bankの支援でモダンなパッケージデザインに生まれ変わりました。
そして3月5日、都内の百貨店で開かれた物産展で、あかもくは”からだかえる海藻アカモク”に生まれ変わってデビューを果たしました。もう「バツモ」とは呼ばせません。東京のメディアの注目度は高く、報道番組などに次々と取り上げられました。俊介さんも手ごたえを感じているようです。

akama-kaoこれから来ますよ「AKAMOKU」は。

ikesha-kai松島湾の新しい特産品になりそうですね。

akama-kaoいや、今回は「国産」と表記することにしました。

akama-kaiえっ!?

全国的に知名度の高い「松島」の看板を下ろすのは勿体ないような気もしますが、国産と表記することにももちろん理由がありました。

akama-kao今は市場があまりにも小さいので、あかもくの消費を拡大するためには供給も増やさないと。うちだけ独り勝ちを目指しても意味がないので。産地を国産と表記することで、他県の業者も参入しやすくする狙いがあります。

あかもくは松島湾だけではなく、食用とする文化があった東北地方の日本海側をはじめ、三陸海岸や関東甲信越、東海、九州地方など各地に生育しています。現在は岩手県山田町の漁業者もあかもくの生産に参加しており、今後さらに広げていきたいとのこと。

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▲チューブタイプの”AKAMOKU”

目指すはアカモクのレシピ100種!

「シーフーズあかま」としてあかもくの販路開拓はこれからが本番です。営業を専門に担当する社員がいなかった同社では、3月から営業活動を行うインターン生・東北大学2年の唐田惟芙紀(いぶき)さんを受け入れました。唐田さんが俊介さんらとともに取り組んでいるのが「あかもくプロジェクト」です。

これまで以上にターゲットを細分化し、ニーズに応じた商品開発を行うために目指しているのは、何と、「あかもくを使ったレシピを100種類集めること」!!
確かに、あかもく(ぎばさ)の調理法と言われてもなかなか思い付きません。ちなみに、とある有名レシピ投稿サイトで「あかもく」と検索すると19件、「ぎばさ」では10件ヒットしました(2014年3月10日時点)。料理好きな読者の皆さんも、新たな調理法を考えてみては?

実際に食べてみよう!

ところで、私は料理も得意ではないし、あかもくにもそれほど馴染みが無いのですが…

ikesha-kaiまずトライしてほしい食べ方はありますか?

akama-kaoAKGですね!

akama-kaiふぉ、48ですか?

akama-kaoいや、「あかもくかけご飯」!略してAKGです。

…というわけで、さっそくAKGにトライしてみました!

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私が食べても絵的にアレなので、ぴちぴちの女子大生にモデルをお願いしました。お店の許可を取って撮影しています。
学生記者の作間温子(左)と阿部梢がいただきます♪

あったかいご飯に、ネバネバのあかもく!おいしそうですね!
お醤油をかけて、いただきます!さて、お味は?
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ザクザクして、美味しい!」
「ご飯がどんどん進む~♪しかもヘルシーだね

ペロリと完食した様子からも美味しさは伝わってきますが、ザクザク……?
未知の食感は皆さんの舌でお確かめください

食品会社は就活生に最も人気がある業種の一つです。名の知れたメーカーともなれば数百倍の競争になるとも聞きます。食に疎い方の私は何がそんなに魅力なのか疑問でしたが、今回の取材を通して理解することができました。未知の食材の可能性を一から発掘し、消費者の好みを分析しながら、おいしい食べ方を提案すること。すなわち、日本の食卓シーンを塗り替えることでもあります。
シーフーズあかまは従業員数14名の小さな会社ですが、脈々と受け継がれるパイオニア精神によって、大手にも負けないスケールの仕事に挑戦しています。全国有数の水産県である宮城には、シーフーズあかま以外にも、独自の戦略で市場を切り拓こうと奮闘する食品会社がまだあるはず。そして、「小さな企業だからこそ実感できるビジネスの醍醐味もあるかもしれない」とワクワクすることのできた取材でした。

佐々木佳佐々木佳東北大学修士2年(執筆当時)
文章:名前(○大学○年)
写真:名前(○大学○年)
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株式会社 シーフーズあかま
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はたらく
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かう
「あかもく(ぎばさ)」の新しいレシピを考えて下さった読者の方に、もれなく「ぎばさトライアルセット」のプレゼントがあります!送り先はMAILまたはFAX:022-362-5654から。 あかもくのことをもっと知りたい方は、ホームページをチェック!「おさしみぎばさ」(120グラム10個入り1500円)を始め、自慢の商品を購入できます。 ※トライアルセットは120グラム5パックです。
住所宮城県塩釜市藤倉2-14-14
電話番号022-362-5653
営業時間11:00~19:00(平日・土曜)
13:00~19:00(日曜・祝日)