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【いぐする記者@東京】なぜ宮城のアンテナショップだけ池袋にあるのか!

湯本勝大 湯本勝大
43,571 views 2014.03.14

仙台在住の学生記者以外でも、首都圏やほかの地域から仙台や宮城を“いぐする(良くする)”ために奮闘しています!

池袋駅から徒歩2分!東京の中心で宮城に触れる!

みなさんはアンテナショップに行ったことがありますか?
アンテナショップとは、主に首都圏で地方自治体の特産品を紹介する拠点施設のこと。ほとんどの都道府県が首都圏に出店しており、その多くは東京駅にほど近い銀座・有楽町界隈に集中しています。
一方、わが故郷である宮城県は、なぜか東京都豊島区の池袋に出店しています。どうして宮城の魅力発信の拠点として池袋を選んだのか?? 以前から気になっていた真相を探るために突撃取材してきました!

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楽天、金メダル効果でにぎわい

 宮城県のアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」は、県産品の販路を広げたり、観光情報をPRしようと2005年に開設されました。「coco みやぎ(コ・コ・みやぎ)」という愛称で、池袋を訪れるたくさんの人々に親しまれています。
笹かまぼこやずんだ餅、日本酒など全国に名のしれた特産品や伝統工芸品が約1300点も並んでいます。観光・情報コーナーを設置しているほか、仙台名物の牛タンを食べられるレストランも併設しています。また、開発したばかりの商品の試験販売や商談の支援も担っているそうです。
 昨年、東北楽天ゴールデンイーグルスが初の日本一に輝いたこともあり、お店の入口には「祝!日本一おめでとう!」の文字が!優勝が決まった直後はアンテナショップを訪れるお客さんが増えたとのこと。
また、ソチ五輪の男子フィギュアスケートで仙台市出身の羽生結弦選手が金メダルを獲得すると、これまた大にぎわい!宮城を元気付けるニュースが飛び込むと、アンテナショップで特産品を買ってお祝いするお客さんも多いようです。

開店前から行列ができる人気店

 取材当日、到着したのは開店10分前。入口の前で開店を待とうとすると、既に行列ができていました。池袋の大通り沿いに店を構えていることもあり、多くの人の目に着きやすいみたいです。
11時にお店が開くとあっという間に店内はにぎやかに。男女共に20~60代まで世代を問わず、毎日約1800人が訪れるそうです。
 人気商品は笹かまぼこやずんだ大福。お土産用として買うのではなく、自分や家族のおやつとして日常的に購入する人がほとんどだといいます。

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なぜ宮城のアンテナショップだけ池袋にあるのか!

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この取材の本題を店長代理の大蔵国孝さん(36)に聞いてみました!

湯本jpg湯本勝大(かつはる)
なぜ宮城のアンテナショップだけ池袋にあるんでしょうか?
※野球大好き!笑顔が爽やかな仙台出身男子。

okura大蔵国孝さん
休日になると埼玉方面から池袋に買い物や遊びに来る頻度が高いためリピーターが多いんです。地域に密着したお店を作ることができるので池袋にお店を構えることにしました。
※はんなり京都弁が醸し出す優しい雰囲気が魅力的。

大蔵さんは7年前にこの職に就くまでは、宮城県に全くなじみのない生活をしていました。京都府出身で、沖縄県内の大学を卒業後に沖縄県のアンテナショップで働いていました。
デパートの物産展などを通じてさまざまな出会いをしたことで、転機が訪れました。

okura沖縄と宮城の交流の架け橋となっている人がおり、宮城のアンテナショップで働くことを誘われたんです。

 当初はお店の店員として招かれました。ゼロから宮城県の地理や観光名所、特産品について勉強をしたり、実際に県内を訪れて知識を深めました。
今では年に5回宮城を訪れては取り扱っている商品の生産者と交流をしているそうです。

okura今まで宮城に関わりがなかった人も、一度アンテナショップに来てもらいたい。宮城のことを知ってもらって、実際に現地を訪れてほしいです。

池袋でできること、銀座でできないこと

 店舗開設を機に2005年10月、豊島区と宮城県は「相互交流宣言」を締結しました。これは両自治体が互いの魅力や価値を高めるために協力していくことを約束するものです。
例えば、豊島区内の小学校では宮城県産食材を使った給食で、食育体験の機会を設けています。また、豊島区の「東京よさこい」では宮城県知事賞を設けています。

 「これらは銀座ではできない、池袋だからこそできる強み」と大蔵さんは言います。
「アンテナショップ激戦区」と言われる銀座・有楽町は、デパートや有名ブランド店が立ち並んでいます。高級なイメージが強いため、普段の買い物というより、特別な日のお出かけに訪れることが多かったり、一度きりの観光客も多いためリピーターを十分に見込めないのだそうです。
それに比べ、池袋は立地でのメリットが大きいとか。住民が気軽に遊びに行ける場所なので、ついでに寄ってくれるリピーターが多いという点が、池袋にアンテナショップを置いた大きな理由です。

okura今まで宮城に関わりがなかった人も、一度アンテナショップに来てもらいたい。池袋から大宮まで電車で30分くらい。そこから新幹線に乗れば1時間ちょっとで仙台に着くでしょ。池袋に来る人たちにとって東北は身近に感じられる場所なんです。

宮城ふるさとプラザの願い

ある日の店内で、大蔵さんが印象深かった出来事がありました。
都内に住んでいるお客さんが何を買おうか品定めをしていました。すると偶然横に立っていた宮城出身のお客さんが、「それおいしいのよ。食べてみなさいよ」と話し掛けました。
「あら、そうなの。買ってみようかしら」と都内のお客さんは薦められた商品を手に取り、レジに並んだそうです。

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その光景は大蔵さんが理想とするものでした。
宮城出身の人にとっては懐かしい地元の食材が売っている憩いの場で、県外の人にとってはおいしい食材に出合ったり、珍しいものを楽しむことができる発見の場所。ふとした利用者同士の会話から宮城の魅力が広がっていく光景。
「宮城らしい空間を提供することで文化交流や情報提供の場にしていきたいんです」
大蔵さんの言葉に力がこもりました。

宮城ふるさとプラザは、24名のスタッフで年末年始を除いて毎日営業しています。営業時間は午前11時から午後8時。週末はもちろん、平日の仕事や学校帰りに池袋駅で電車を降りて、寄り道してみるのはいかがでしょうか!
目指すは宮城出身者にとっては、どことなく懐かしい故郷に再会でき、それ以外の人は新しい発見ができる場所
そう言われるような地域密着のお店を目指して、今日も池袋で宮城の魅力を伝え続けています。

取材を終えて

湯本jpg
東京に住み始めてから2年が経ちますが、こんな身近なところで宮城と再会できる場所があるのだと実感した取材でした。東京でも「宮城の物を買う」ことで、復興に少しばかりの貢献ができることに気付かされました。宮城から離れた土地で、アピールし続けている宮城ふるさとプラザの思いができるだけ多くのみなさんに伝わればと思います。東京在住の方はぜひ寄り道をしていただきたいです。

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