見栄っ張りだけど憎いやつ!時代の伊達者に愛される「仙台箪笥」が見据える未来
「monmaya+」という挑戦
見る者の顔が映るほど丁寧に磨かれた漆塗り。龍や家紋など縁起物をあしらった華やかな金具。職人の技が一つの箪笥(たんす)に集約されている。
仙台市若林区南鍛冶町にある門間箪笥店。仙台箪笥を作り続けて141年の老舗だ。7代目、専務の門間一泰さん(39)は、仙台箪笥を「見栄っ張りだけど憎いやつ」と表す。
仙台箪笥は元々武士の箪笥だった。ほかの箪笥よりも漆を塗る回数が多く、たくさんの金具で飾る。「正直ここまでやる必要はない」という。仙台藩主、伊達政宗公の流れをくみ、“伊達男”たちの好みに合うよう、派手に作られてきた。見栄を張り続け、現代まで受け継がれている。
門間箪笥店では、仙台箪笥をビジネスとして市場に挑んでいる。その一環が「monmaya+(モンマヤプラス)」である。2人のデザイナーと共同でコンソールやローテーブルなど新たな作品を発表。時計や花瓶などを置く足付きの机は、欧米文化を感じさせる。日本の伝統工芸である箪笥を洋室にもマッチさせるように変化させた。
「誰が見てもカッコイイものを作りたい」。門間さんは意気込んだ。
「カッコよくないとみんな買わないでしょ」
▲monmaya+を横に将来の展望について熱く語る門間一泰さん
=2013年8月27日、門間屋箪笥店
100年後に残したいものとは
なぜ老舗の箪笥(たんす)屋が、箪笥の形にとらわれない商品を生み出しているのか。
「箪笥を作る技能を残したい」と門間さんは強調した。
それを強く実感したのは、東日本大震災だったという。
震災以降、箪笥の修理依頼件数は、20件から2倍へと増加した。地震の被害を受け、家の倉庫などを片付けていた際、祖母の箪笥をたまたま見つけたから。嫁入り道具としてもらったものだから。
直して、また使いたいと思ってくれる人がいることが、会社の価値だと思うようになったという。「100年後、修理を依頼されても、技能が残っていなくて直せなかったら無責任じゃないですか」
ターゲットは現代の、そして未来の伊達者
技能を残すためには「現代の生活様式に合わせることが必要」と訴える。
「monmaya+」のターゲットは30代から40代のファッション感覚を持っている富裕層。2014年には青葉通りに新店舗を出店予定で、2年後には首都圏に、将来的には海外進出も視野に入れているという。
「街中の人々の声を吸い上げて、時代のニーズに合ったものを作っていく。強気の情報発信をしたい」と力強く語る。
江戸時代から受け継がれてきた仙台箪笥は、平成という時代のもとでさらに「伊達な」ものへと変化しようとしている。
取材を終えて
取材協力:門間箪笥店
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