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【河北インターンシップ】津波被災地で“未来の記者”たちが感じたこと

近藤 京子 近藤京子
605 views 2014.03.12
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閖上の風景

「いぐする仙台」の運営団体である一般社団法人ワカツクが河北新報社と協力して実施している記者育成プログラム「記者と駆けるインターン」。
東日本大震災の発生から3年を迎えた3月11日。インターンシッププログラム6日目となるこの日、インターン生26人は津波被災地の名取市閖上地区を訪れました。

案内してくれたのは、笹かまぼこ店「ささ圭」の女将、佐々木靖子さん。ご自身も閖上の工場や店舗、自宅を津波で失いました。

最初に訪ねたのは、日和山。10mほどの「丘」ですが、20mを超える津波をかぶっても残り、震災後は閖上のシンボル的存在になっています。

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佐々木さんから震災当時の話を聞き、ひとりずつ線香を手向け、手を合わせました。

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東北学院大2年の中澤直哉さんは線香をあげた後、日和山から風景を眺めました。家の基礎だけが残っている閖上のその先、仙台市街のほうを見ると高いビルが建っている。その対比に心がざわざわしたそうです。「この風景を見て、閖上の人はどんな気持ちになるんだろうか」

時が止まった学校

バスに乗ってほどなく、閖上中学校に到着。校舎の時計は震災が起こった2時46分を指したまま止まっていました。

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閖上中学校では14人の生徒が津波の犠牲になったそうです。インターン生みんなで黙祷をささげました。校舎の前に建立された慰霊碑に手を当てる人もいました。

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続いて向かったのは閖上小学校。体育館には、がれきの中から見つかったさまざまな物が保管されていました。位牌やアルバムなど、どれも大切なもの。佐々木さんは引き取りに来たくても来られない遺族の心情にも触れました。大切な話を漏らさず書きとめようと、みんな必死にペンを走らせます。

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熱心にメモを取るインターン生のほとんどが足をそろえて直立不動で話を聞いていました。「閖上のいま」と誠実に向き合っていました。

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東北大2年の木部翔さんは「津波の被害を受けた場所を実際に見て、話を聞いて、触ることができました」。ステージの床を手でなぞると、土ぼこりのざらりとした感触が伝わったそう。「新聞やテレビのニュースからは分からない、『体感』でした」

仮設商店街で閖上の名産品をゲット!

続いて仮設商店街「閖上さいかい市場」へ。ここでお昼ご飯をいただき、その後は各自、自由時間です。お店に飛び込んで話を聞いたり、閖上の名産品からお土産を探したり。お腹が満たされ、緊張もほどけて、笑顔も見えます。

インターン生の取材を受けていた鮮魚店のご主人に、こっそりと「どうでしたか?」と感想をうかがうと、「いや~、熱心だね。こっちがタジタジですよ」と笑っていました。

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名取市追悼式に参列

最後に向かったのは名取市文化会館。名取市主催の追悼式に参加しました。2階席から望む祭壇に圧倒されながら、追悼の言葉を静かに聞きます。そして、午後2時46分、黙祷。

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「追悼式に出るのも、献花をするのも初めて。貴重な体験でした」と尚絅学院大2年の桜田俊介さん。「防災グッズを用意したり、備えておくことが大事ですよね」と防災意識を新たにしていました。

被災地に来てよかった

「思っていた以上に震災の傷は深く、その傷が回復するのには長い時間がかかるんだなと思いました」。広島大2年の酒井春佳さんはインターンに参加するまで被災地に「希望」や「復興」といった明るいイメージを持っていたそうです。
「被災地に来れてよかったです。私たちが受け継ぐものがいっぱいあったから」

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津波被災地をめぐり、自分の目で見て、地元の人の話を聞き、言葉を交わした「3.11」。インターン生たちは翌日まで閖上視察の記事を書き上げました。

「記者と駆けるインターン」はこれから本番を迎えます。「被災地の中小企業」をテーマに取材し、記事執筆に取り組みます。それぞれのゴールを目指して、スピードを上げ始めたところでしょう。さあ、最後まで息切れすることなく駆け抜けて!

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この記事を書いた人

近藤 京子
近藤 京子
編集長/ライター
編集長の近藤です。ライター歴は十数年になってしまいました。座右の銘は「止まない雨はない」。裏の座右の銘は「締切はゴムひも」。でもこれは撤回しようかなと思っております。最近は「涙腺がゴムひも」。年取ると涙腺が破壊されます…。